『フランシスカ』日本語字幕版劇場初上映
オリヴェイラ・シンポジウム~オリヴェイラの随伴者ヴァレリー・ロワズルーを迎えて



今年初頭に行われた「永遠のオリヴェイラ マノエル・ド・オリヴェイラ監督追悼特集 PART1」に続いて、7月13日(水)草月ホールにて、1日限りの"永遠のオリヴェイラ"特別企画が開催される。当イベントでは、オリヴェイラ監督がパウロ・ブランコと初めて組んだ大作『フランシスカ』(81)の日本語字幕付35ミリフィルム日本初上映に加えて、1991年の『神曲』以降、『レステロの老人』(14)に至るまで、ほとんどすべてのオリヴェイラ作品の編集を手がけてきたヴァレリー・ロワズルーさんを迎えてのシンポジウムが行われる。聞き手として、山形国際ドキュメンタリー映画祭の秀逸なプログラム「Double Shadows/二重の影――映画が映画を映すとき」の記憶も新しい土田環氏、筒井武文監督の登壇も予定されている。この顔ぶれで、面白くならないはずがない。映画ならではの奇妙なマジックと、僥倖という他ない奇跡的な瞬間に満ちたオリヴェイラ監督の映画が、まさに編み上げられて行くその瞬間に立ち会ったロワズルーさんの口から一体どのような言葉が発せられるのか、その貴重な証言を見届けるためにも、万難を排して会場に駆けつけたい。
(上原輝樹)
2016.7.8 update
2016年7月13日(水)草月ホールにて開催決定!!
日時:2016年7月13日(水)
13:00〜15:26 『フランシスカ』上映
16:00〜18:00 オリヴェイラ・シンポジウム「オリヴェイラの映画づくりを語る」
パネリスト:ヴァレリー・ロワズルー(映画編集者)、筒井武文(映画監督・編集者/東京藝術大学大学院教授)
司会:土田環(映画研究者/早稲田大学理工学術院講師)
参考上映『レステロの老人』(14)
18:30〜21:16 『フランシスカ』上映

会場:草月ホール(青山)
東京都港区赤坂7-2-21 03-3408-9113

料金:
一般1,500円、大学専門学校学生/アテネ・フランセ文化センター会員1,300円、高校生以下1,000円
当日券のみ(『フランシスカ』上映1回+シンポジウム)

公式サイト:http://jc3.jp/oliveira/
上映作品『フランシスカ』Francisca 日本語字幕付35ミリフィルム初上映

1981年/166分/カラー
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ
原作:アグスティナ・ベッサ=ルイス「ファニー・オーウェン」
撮影:エルソ・ロク
録音:ジャン=ポール・ミッシェル
音楽:ジョアン・パエシュ
美術:アントニオ・カジミーロ
衣装:リタ・アゼヴェド・ゴメス
編集:モニク・ルトラー
出演: フランシスカ(ファニー)...テレサ・メネデス、ジョゼ・アウグスト...ディオゴ・ドーリア、 カミーロ・カステロ・ブランコ...マリオ・バローゾ、ラケル...マヌエラ・ド・フレイタス、 ジュディド...セシリア・ギマランイス、医師...パウロ・ローシャ
エグゼクティブ・プロデューサー:パウロ・ブランコ
製作代行:リカルド・コルデイロ
製作:V.O.フィルメス

1850年代のポルト。小説家カミーロ・カステロ・ブランコと友人のジョゼ・アウグスト、そして「フランシスカ」と呼ばれる英国人の娘ファニー・オーウェン、実際にあった3人の恋の物語をもとに、アグスティナ・ベッサ=ルイスが書いた小説「ファニー・オーウェン」の映画化作品。二人の男に愛されたフランシスカはジョゼを選ぶが、3人の関係は悲劇的な結末を迎える。
『過去と現在 昔の恋、今の恋』、『ベニルデまたは聖母』、『破滅の恋』とともに「挫折した愛の四部作」を構成する。
オリヴェイラが、プロデューサーのパウロ・ブランコと組んだ最初の作品。以後、ブランコは30年にわたり、オリヴェイラの全盛時代を支えた。
<シンポジウム・パネリスト>

ヴァレリー・ロワズルー(映画編集者) Valerie Loiseleux
撮影監督ジャック・ロワズルーの娘。高等映画学院(IDHEC)卒業。オリヴェイラ作品には、1991年の『神曲』以降、『O Dia do Desespero(絶望の日)』(92)、『アブラハム渓谷』(93)、『階段通りの人々』(94)、『メフィストの誘い』(95)、『 Party (パーティ)』(96)、『世界のはじまりへの旅』(97) 『不安』(98)『クレーヴの奥方』(99)『Palavra e Utopia(言葉とユートピア)』(00)、『家路』(01)『わが幼少時代のポルト』(01)『永遠の語らい』(03)『O Quinto Império - Ontem Como Hoje(第五帝国──今日という昨日)』(04)『Espelho Mágicoマジック・ミラー 』(05)『夜顔』(06)『唯一の出会い(『それぞれのシネマ』所収)』(07)『コロンブス 永遠の海』(07)『アンジェリカの微笑み』(10) 『家族の灯り』(12)『ポルトガル、ここに誕生す〜ギマランイス歴史地区』(12)『レステロの老人』(14)とほとんどの作品に携わっている。他に、『優しい女』(05/ソフィー・フィリエール監督)、『雲の南側』(03/ジャン=フランソワ・アミゲ監督)、『サイの季節』(12/バフマン・ゴバディ監督)等多数。

筒井武文(映画監督・映画編集者/東京藝術大学大学院教授)
東京造形大学時代より、映画製作を開始。1987年サイレント映画『ゆめこの大冒険』(86)で劇場デビュー。編集、監督の仕事の傍ら、映画批評を多数執筆。主な監督作品に、『オーバードライヴ』(04)、『バッハの肖像』(10)、『孤独な惑星』(11)。新作に、『映像の発見=松本俊夫の時代』5部作(15)、『自由なファンシィ』(15)がある。

司会:土田環(映画研究者/早稲田大学理工学術院講師)

参考上映作品:レステロの老人 O Velho do Restelo
2014年/19分/カラー/デジタル
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ
撮影:レナート・ベルタ 編集:ヴァレリー・ロワズルー
出演:ルイス・ミゲル・シントラ、リカルド・トレパ、ディオゴ・ドーリア

ポルトガルの大航海時代を詠った国民詩人カモンイス、「ドン・キホーテ」の作者セルヴァンテス、『破滅の愛』の原作者である19世紀ポルトガル・ロマン派の小説家カステロ・ブランコ、20世紀初頭の詩人パスコアイス。4人の文学者がポルトガルの過去と未来について語り合う。
タイトルである"レステロの老人"は、大航海時代の栄光に異を唱える人物として、カモンイスの詩『ウズ・ルジアダス』の中に登場する。




『フランシスカ』日本語字幕版劇場初上映
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