OUTSIDE IN TOKYO
CEDRIC KAHN INTERVIEW

セドリック・カーン『よりよき人生』インタヴュー

4. 映画の世界というのは、何かを修復するとか、いい方向に向かうとか、
 そういったものを描くことがすごく重要だと思っています

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OIT:今回の映画は、最初フランスからスタートしてカナダに行くわけですが、撮影の順番はどうでしたか?
CK:カナダは真ん中でやりました。フランスからカナダへ行って、またフランスに戻って撮影をしました。それは季節的な問題で。どうしてもカナダでは雪が必要だったので、その雪が溶けてしまう前に冬の間にカナダに行きました。

OIT:撮影は、いつも順撮りではなくて、組み立ててやっているのですか?
CK:私は基本的に、出来る限り順撮りで撮りたいと思っています。しかし、今回は子供もいましたし、とはいえ、子供にとってロジックに分るように順撮りが理想的ではあるんですけど、雪がある時にカナダに行く必要もありましたし、同じシーンが度々登場すると美術をまたやり直すと大変なので、そういう箇所はまとめて撮るということはもちろんしています。極力順撮りで撮影はしたいんですけど、映画の中では夏も冬も登場し、主人公のギョーム・カネも髭をはやしたり髭がなかったり、色々とありましたので、どう撮り方をまとめて構成していくかが、すごく大変でしたね。

OIT:ギョーム・カネはこの間、他の映画にも出演していますか?
CK:それは無理ですね、彼はこの間はこの映画だけでした。

OIT:撮影期間はどれくらいだったんですか?
CK:三ヵ月でした。やっぱり彼は主人公でほとんど全部の場面に出ていますし、凄く重要なので、この期間はこの映画に専念してくれました。

OIT:クライマックスの刑務所のシーンがとても感動的でした。どういう風に最後向き合うのか、ハラハラして観てたんですけど、あそこはプラン通りの動きだったんですか?
CK:シナリオで、最初からそのように予定していました。

OIT:子供の表情が素晴らしい。
CK:撮影はすごく大変なシーンでした。

OIT:何回もやり直しましたか?
CK:しました。一番撮影が大変だったシーンとも言えます。あのシーンはクライマックスでしたので、本当に完璧でなければいけなかったので、本当に撮影は苦労しました。

OIT:多くの人が泣いてしまうシーンだと思います。
CK:昨日そうでしたか?

OIT:はい。昨日は一番前の席で観てたんですけど、そこまでテンションがずっと継続していて、あのシーンで一気に決壊しました。子供の表情がすごいいいんですね。
CK:あれは本当にユニバーサルなもので、久しぶりに再会した親子は、ああいう風になると思います。

OIT:実際に血の繋がってない親子が絆を結ぶというのは、とても映画的な話ですよね。例えば、両親が離婚して感化院に送られたトリュフォーは、映画を作ることの中に家族を見つけていった、そういうことをちょっと思い出しました。
CK:トリュフォーは子供を扱った映画をいっぱい撮っていますし、如何にしてそういった結びつきを通じて、人が成長していくかということを描いていますね。映画の世界というのは何かを修復するとか、いい方向に向かうとか、そういったものを描くことがすごく重要だと思っています。


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