OUTSIDE IN TOKYO
Timo Vuorensola INTERVIEW

ティモ・ブオレンソラ『アイアン・スカイ』インタヴュー

2.(ステファニーが演じる米大統領役は)見た目はサラ・ペイリン、
 話している内容にはジョージ・W・ブッシュなど評判の悪かった大統領や大統領候補を反映させました

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OIT:そうしたブラックユーモアは、フィンランド人が得意とする分野のひとつでしょうか?
TV:一年の半分が真っ暗な冬なので、ユーモアでその暗さを紛らわせているんです。

OIT:本作では、そのようなブラックユーモアと壮大なSF的空想の融合が見られます。スターウォーズ的戦闘場面の出来映えには満足していますか?これを実現した主要スタッフについて教えて下さい。
TV:アクションシーンには満足しています。エフェクトはフィンランドのaTuotantoyhtiö Energiaという会社が製作しました。本作を担当したのは小さなチームでした。チームを率いたのはSamuli Torssonenです。彼は若いのに、とても経験豊富で、様々な国から集まった国際的なチームをひっぱってくれました。彼らは約1年間、このプロジェクトのために働いてくれました。

OIT:ペーター・サージェント(Peta Sergeant)とステファニー・ポール(Stephanie Paul)、二人の女優の怪演が光っていました。俳優陣に対する演出はどのようにされましたか?
TV:ステファニーとは彼女の役について話し合いました。彼女のキャラクターは見た目はサラ・ペイリンみたいですが、話している内容にはジョージ・W・ブッシュなど評判の悪かった大統領や大統領候補を反映させました。観客に親しみがあり、かつユニークなキャラクターを作ろうと努力しました。
ペーターの役はもともと2人の別々のキャラクターになるはずでした。しかし、2人も必要なく、一人のキャラクターに圧縮してしまった方が良いと考えたので、脚本を書き直しました。ペーターとはたくさん話し合いました。彼女はとても自分勝手で、自分の権力をつかって周囲を言いなりにさせるタイプです。彼女を特別なキャラクターにするため、とにかくペーターとよく話しました。

OIT:80年代のリアルタイムでライバッハを聴いていたものとして、彼らの名前をクレジットで発見した時に喜びを覚えました。映画の内容的に、彼らが参加しているのはとても自然な事に思えましたが、このコラボレーションはどのように実現したのですか?
TV:企画を練っていた2006年に彼らがリリースしたアルバム(恐らく『VOLK』のこと。日本の「君が代」を含む各国国家をライバッハアレンジで料理、一部では傑作とも評される)を聞いて衝撃を受けました。あのアルバムはこの作品に大きな影響を与えました。彼らに連絡を取ることが出来、サントラをお願いしたところ、快く引き受けてくれました。

OIT:フィンランドというと、どうしてもカウリスマキ監督の名前を思い浮かべるわけですが、カウリスマキ監督はあなたにとってどのような存在ですか?
TV:彼は素晴らしい監督だと思います。独特のスタイルを持った監督です。フィンランド人監督の多くは彼のような作品を撮ろうとします。僕は彼の真似をしたいとは思いません。彼はとてもユニークで、誰も真似出来ない名監督です。私は彼の作品が大好きですし、よく彼の作品を観ます。ですが、私は彼とは真逆の大きなSFアクションが撮りたいんです。フィンランドの映画業界にはそういうジャンルの映画を作る監督も必要だと思います。


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