OUTSIDE IN TOKYO
Yoshida Daihachi Interview

吉田大八『桐島、部活やめるってよ』インタヴュー

4. 屋上のシーンは、僕もちょっとうるうるしながら編集した

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OIT:じゃあ、かつては8mmフィルムを撮っていた?
YD:そうですね、大学生の時はやってました。

OIT:その後は、16mmフィルムですか?
YD:16mmは僕の周りではあんまり使ってる人がいなかったですね、お金がかかるので。8mmの後は、コマーシャルの会社に就職して演出の仕事を始めたので、いきなり35mmを使うようになった。16mmはコマーシャルで何回か狙いで使ったことはあります。学生の時は本当に16mmでやりたくてしょうがなかったですけど、やっぱり予算の面で手が出なかったですね。

でも、正直なところ、僕は学生の時から自分で回してなかったですからね、8mmも。8mmってやっぱり自分で回した方がいいと思うんですけど、それでさえ面倒くさい。誰かに回してもらって横で見てた方がいいです。

OIT:ディレクションしながら(笑)。
YD:横でなんか言うだけ(笑)。だから全然前田っぽくないんですけど。

OIT:本編の中で出てきた8mmの場面は実際の8mmで撮影したものですか?
YD:実際には、16mmを増感して8mmのトーンに近づけました。前田が使っているカメラは、助監督の私物です。

OIT:やっぱりああいう映画部の人達が最初に作るのはゾンビ映画なのか、あるいは、恋愛映画なのか人によってどちらかなのかもしれないですけど。
YD:まず最初は自分の好きな映画を真似しますよね。『SUPER 8/スーパーエイト』(11)でもゾンビ映画だったし、それはやっぱり分かるなーと。

OIT:屋上のシーンは、僕はちょっと泣いちゃったんですけど、あそこは泣くとこですよね?
YD:あそこは、僕もちょっとうるうるしながら編集したんですけど、高校生の多い試写だとあそこは大爆笑になることもあって。

OIT:あー、爆笑されちゃうんだ。
YD:拍手したりね。だから観客のノリもそれぞれ高校でどんなポジションにいたか、によるのかも。映画部に近い子だったらゾンビに気持ちをのせて泣けちゃったり、逆に運動部で活躍していたような子達は、なんか面白いあいつら、頑張ってるけど笑える、みたいな感じで楽しむみたいです。

OIT:野球部の丸刈りキャプテンが凄く良かったなと、当然宏樹も良かったんですけど、キャプテンも良かったなと。自分は黙々と練習してて、宏樹には絶対出て来いとは言わないんですよね。あの感じは、昔の部活っぽくない感じなんだけど、ストイックさはある。
YD:まあ強くない野球部なんでしょうね、きっと。宏樹はもっと強い学校行ってもレギュラーとれるくらいのレベル。本来だったら、後輩に試合だけでも来てくれないかって、そうとう卑屈じゃないですか、キャプテンとしては。それがあんまり卑屈に見えないっていうのは、本当に野球が好きで野球にすべてを捧げているような、あのキャプテンのたたずまいに拠る所が大きいと思います。


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