OUTSIDE IN TOKYO
ANDO SAKURA INTERVIEW

安藤サクラ『トルソ』インタヴュー

3. いろんなことに敏感でいられるように生活したい、ちゃんと生きて、“生き物”でいたい

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OIT:日々のペースだったり?
A:はい、敏感に。自然にあるものだったり、それこそ感覚的なものだったり、ぜんぶ受け止めて感じられるように敏感でいたい。でもそうやって自然なことをやったり、自分の感覚だったり、そういうことばかりに頼っていると、安心はできるけど、そうなると、現実に入った時に急に怖くなったりするから、ちゃんと現実というものを感じて、そこにきっちりいながら、全ての自然だったり、いろんなことに敏感でいられるように生活したいと思いますね。それってなんだか簡単なようでとてもむずかしいんだけど、そういうふうに、ちゃんと生きて、“生き物”でいたい。普段からいっぱい生きていて、全て自分の身体を使うから、そうじゃないと。自分勝手に何かを表現するのもぜんぜんいいんですけど、それこそ、監督がいて、脚本があって、そのもとにいるから、やっぱり、健康であることが大切だったりする気はします。

OIT:映画の役で、逆に気持ちが追い込まれたり、逆にいやな余韻が残ることはありましたか?
A:うーん、例えば、現場にいて、その時のコミュニケーションだったり、カメラが回っている時の変なコミュニケーションだったり、変なエネルギーだったりを、自分自身が身体を使っているから、そういうのを受けて、あまり気分がよくなくなる時もありますけど。それは人じゃなくても、いろんなものだったりして。でもカメラが回っている時は、そんなに気にしてないですけど。そういうものにあまり引きずり込まれないように、自分の身体のベースを持っていたいと思うので。それがたぶん、さっきの感覚と現実とのバランスなのかなって。

OIT:本当に抜け出すのが大変だという人もいるみたいですしね。
A:あ、イタコとかもそんなことがあるのかなって、ちょっと思った(笑)。

OIT:イタコも肉体的に激しい時がありそうですからね。あれは、どうなるんだろう、肉体的な疲れは残らないのかな?
A:それはまた強くいる修行をしてるからじゃないですかね。

OIT:演技もイタコに近い部分はありますよね。
A:ああ、ありますね。

OIT:下りてくる感じとかはあるんですか?
A:下りてくるというか、いや、自然ですね。作品によってまた違うでしょうし、別に私、下りてきてかどうこうっていうのは分からないですね。いろんな感覚が味わえますけど。あまり経験はしてないですけど、すごくおもしろいです。ふつうに生きているだけでは味わえない感覚がたくさんあるのかな。

OIT:山崎監督が、最初に会ったオーディションの時に、他の人とぜんぜん印象が違ったという話をしていました。演技が始まると、他の人たちと表現がぜんぜん違うというか、すごい、ってことを言っていたんです。体現するとか成り切るという言葉にしちゃうと違うのかもしれないけど、自分の感覚としてはどうなんだろうというのが不思議ですね。
A:いまオーディションの時を思い返してみて、山崎さんと会ったのって『俺たちに明日はないッス』のオーディションの時で、(部屋に)入っていって、挨拶したら、「大丈夫?具合悪い?」って聞かれて。ちゃんとしゃべれないし、目も見られないし、ずっともじもじしてるしで(笑)。でもすごくオーディションに受かりたいな、やりたいなとは思っていて。でも緊張するとダメで、自分から挨拶するのも苦手で。でもその後のお芝居から腹をくくって。だって、書いてあることだし、台詞が用意されていることだから、自分が思っていることを言うよりも(楽なので)。わりとオーディションの時はそんな気持ちです。だから(山崎さんが)違うと言うならそうだと思います(笑)。

OIT:『トルソ』では妹の役で、実生活でもお姉さんがいる、妹ですよね。自分に接点がある立場だとやりやすかったりしますか?
A:私は妹だし、(今までも)妹でしかなったけど、ふだんから、やっぱりお姉ちゃんはお姉ちゃんだねって言われるし、妹はやっぱり末っ子っぽくて、妹だねって言われるから。私はお姉ちゃんになったことないから分からないけど、身についているというか、妹気質というのが元々あるんですよね。そういう意味で、あまり妹だからって意識はしなかったです。

OIT:逆にお姉ちゃん役を依頼されたら、お姉ちゃんを想像しながらやるものですか?
A:いや、それはないと思います。さっきから当たり前のことを言ってるけど、でも、私はずっとお姉ちゃんを見てきたから、それなりに姉というものがインプットされていて、その頭と身体になって、出てくると、どこかでうちの姉らしさが関わってくるのかもしれないですね。でもあまり具体的に、自分の頭の中で、誰々を(想像して)ということはないです。

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