OUTSIDE IN TOKYO
Felix Dufour-Laperriere Interview

フェリックス・デュフール=ラペリエール『新しい街 ヴィル・ヌーヴ』インタヴュー

3. 親密なものが波のように襲ってきて、
 それが段々と集合的になるというものを目指していました

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OIT:凄い面白いですね、お話し伺っていてちょっと思ったのが、例えば実写の映画だとよく言われるのが演出の映画と撮影の映画があるということです。演出の映画の場合は事前に大体プランが出来ている、撮影の映画っていうのは撮影の現場で作られていく映画、そういう言い方をされることがありますが、それで言うと、この作品は撮影の映画ですね、現場で有機的に作られた映画、実は観ている時もそれを感じながら観ていましたが、今のお話し伺って、そのことがよく分かりました。
フェリックス・デュフール=ラペリエール:そうなんです、その”自由さ”は意図して、意識的に行ったものです。自分が紙の上で考えたものを、その親密さや即興性みたいなものを追求していくという手法は、むしろ短編アニメーションの作り方に近いんです。短編アニメーションにおけるその”自由さ”を長編でも守ろうとしていくという試みがこの映画なんです。次回作も仕上げに入ってきているのですが、次回作ではもっとその方向に走っていて、より即興的で、より自由なものを目指しています。

OIT:次回作については最後にお聞きしたいと思っていまして、その前にこの映画で凄く良かったの”音”について聞かせてください。例えば料理をする音、泳いでる時の音はリアリズムの音ですが、対照的に、色々な音楽やサウンドエフェクトがこの映画では聴こえていました。道端で歩いてると若い人達がライブやっている、突然、そういうものに出くわしたりしますね。そのバンドのサウンドもとても良かったりするわけですが。音楽は、監督の弟さん(ガブリエル・デュフール=ラペリエール)がやってるということは存じ上げていますが、音や音楽を、どういう風に作っていったのかということを教えていただけますか?
フェリックス・デュフール=ラペリエール:弟と一緒に音を作りましたが、弟とは今までの短編作品で何度も一緒に仕事をしてきましたが、普段は現代作曲家でオーケストラ用に作曲をしたりしている人間です。今回、私たちは初めて長編作品で一緒に協働することになりましたが、今までやってきたような雰囲気を如何に維持していくかっていうことが非常に大きなチャレンジになりました。大体どういう方向で行こうっていうのはお互い分かっていましたから。例えば、長いスピーチとかモノローグがありますが、そういう時はちゃんと観客が言葉を聞き取れるようにしたい、と同時に色々なキャラクターを親密に表すためにそれぞれのキャラクターのサウンドスケープが欲しいけれども、それが波のように交錯していく、他の人のキャラクターのサウンドスケープがあって、もう一人の別の人のサウンドスケープがある、リアリスティックなものではなくて、とても親密なものが欲しい、親密なものが波のように襲ってきて、それが段々と集合的になるというものを目指していました。ガブリエルはよくやってくれたと思います。スピーチ、言葉がはっきり聞こえるようにしつつ、親密さを波のように表現するっていうことを達成してくれたと思います。



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