OUTSIDE IN TOKYO
ELISE GIRARD INTERVIEW

ギデンズ・コー『あの頃、君を追いかけた』インタヴュー

2. 映画を撮る時のカット割りも、かなり漫画の影響を受けています

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OIT:ご自分が作家で、ご自分の原作があると、それに拘り過ぎて映画に持っていききれない人も多いと思うんですけど、そこは上手く捨てられたんですか?
ギデンズ・コー:自分は、映画を観るのも大好きなのですが、漫画も凄く好きなんですね。実は漫画家になりたかったくらいなのです。漫画家っていうのは、この世の職業の中で一番格好いい、クールな職業だと自分では思っていて、とてもなりたかった。映画監督と小説家っていうのはその次の選択でした。それほど漫画が好きなので、映画を撮る時のカット割りも、かなり漫画の影響を受けています。また、この作品を撮る時は、自分が5人分の役割を果たしてたので凄くやりやすかった。つまり、監督、脚本、原作も自分ですよね、そして出資も自分で、物語の主人公も自分、昔の自分なわけです。だから色々調整する時に最後に決めるのは全部自分です。例えば、原作小説にある部分を削ろうとする。別の作家の原作小説を使ったとすると、そこをカットされちゃ困るっていう風に作家からも意見が出たりとかしますよね。でもこの5人が全部自分なので、そういうところは独裁的に自分が決めることができました。そういう風に独裁出来たっていうのは、結果的には良かったですね。

OIT:今のお答えで、僕の質問が幾つか枝分かれしていったんですけれども、まず自分を美化したくならなかったですか?
ギデンズ・コー:そうですね、この僕を演じるクー・チェンドン君は、オーディションに応募してきた時に第一印象がとても悪かったんです。彼は僕よりちょっと背が高いし、あんまりしゃべらないんですね。自分がオーディションに応募してきたくせに、あんまり自己表現をしないタイプだった。だから何を考えているのかよく分からなくて、自分の方が色々聞かなきゃならなかったわけなんです。ちょっとその態度が気に食わなかった、ちょっと偉そうな感じに見えたんですよ。でも何度もインタビューを繰り返して会う内に、彼という人間が分かってきた。彼はとても気が小さいので、なかなか上手く自己表現が出来ないタイプだっていうのが分かってきたんです。そうすると、今度は凄く可愛いやつだなって思えるようになりました。結局、最終的にクー・チェンドン君をキャスティングしたのは、(ヒロインの)ミシェル・チェンに、あなたの相手役だったら誰に恋をするって聞いたら、クー・チェンドン君がいいって言われたんです、それで最終候補の中から彼に決めました。それと、これは偶然ですけど、僕の本名は柯(クー)といいますが、彼も同じ名字だった、この柯(クー)っていう名字は台湾ではとても少ないんです。

OIT:じゃあ、ミシェルが選んだっていうことですね、自分に似ていたっていうことではないんですね、その頃の自分に。
ギデンズ・コー:彼をキャスティングする時に、ヒロインのシェン・チアイー役はミシェル・チェンに100%決めてたんです、だからミシェル・チェンの感覚を凄く大事にしました。何人かの候補と相手役になって演技をしてもらったんですけど、結果的にクー・チェンドンの雰囲気をミシェル・チェンが気に入って彼とならっていうことで決まったわけです。その時、僕には彼が本当に演技がちゃんと出来るのかっていう不安がありましたが、彼はちゃんとやってくれた。その不安を払拭するために、教室で彼ともう一人の友達があれ(自慰)をするところがありますよね、そのシーンからわざと撮影を始めたんです。ああいうやりにくい演技を、恥をばーっと出すような感じで、最初にガンとぶつけてやらせれば、あとはどんな演技でも、どんな場面でも演じられるっていうことになりますよね。


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