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ウェイン・クラマー(監督) インタヴュー
映画について
今の米国が抱える移民問題をLAに住む人々を通してリアルに描こうと思ったんだ。帰化、グリーンカード、9.11後 の移民とテロの関係、取調べの際に受ける扱いなど、あらゆる角度からこの問題を取り上げている。この国に移住して働こうと思ったら役所での手続きがどれほど煩雑で大変なことなのか、普通にアメリカに生まれた人や世界中の人々に知ってもらいたかったんだ。
アメリカへ移住することの魅力について
移民問題に関しては、ずっと考えさせられてきた。私も渡米して、グリーンカードを得て、帰化しているしね。アメリカは自分達が一番で、この国に来れば自由と素晴らしい人生が待っていると、世界中に喧伝し続けている。そのメッセージを受け取った人が「そうか、アメリカに行ってみたいな」と願うけれど、いざ行こうとしたら扉は固く閉ざされている。こんなにも多くの人が移住を願って行動を起こすこと自体、凄いことだと思うよ。
ハリソン・フォードを主役に選んだ理由
人間くささを表現できる人が必要で、ハリソンは最適だった。こういう堅気で真面目な捜査官役は演じたことがないんじゃないかな。『今そこにある危機』のジャック・ライアンみたいな役はあったけれど。あるいは『刑事ジョン・ブック 目撃者』の20年後の姿と言えるかもしれない。もちろん俳優としての素晴らしさは折り紙つきだ。自分の出番は当然だけど、全ての状況を把握している。どのレンズを使っているか、とかね。全てにおいて正確なんだ。一緒に仕事が出来たことを光栄に思っているよ。
アシュレイ・ジャッドについて
彼女はとても優しく、穏やかで、人間味のある女性だ。もちろん美しいし、実際に世界中の難民キャンプなどで活動している。悪者をやっつけるというよりも、人々のために献身的に何かをする、というこの役はピッタリだと思ったんだ。この役に興味を持ってくれて、とても嬉しかったよ。
レイ・リオッタの演技について
レイはとにかく特殊な俳優だよ。この役に必要な棘と危険な香りを持っていて、なおかつ不思議な優しさも感じられる。男同士なら一杯飲みに行きたくなるような親近感も抱かせてくれるけど、その裏にあるダークな部分も時折垣間見えるんだ。今回はかなり強力なパフォーマンスを見せてくれているから、彼の演技にビックリする人も多いんじゃないかな。
キャストとスタッフの多様性について
アリス・イヴはイギリス人だけれどオーストラリア人女優、クリフ・カーティスはニュージーランド人だけれどイラン系アメリカ人でマックスの相棒を演じている。様々な役者が、自分の出自とは異なる役を演じているんだ。衣装や制作担当はじめ、主要スタッフも5、6人は帰化したアメリカ人じゃないかな。まさに「人種のるつぼ」といっていい撮影現場だった。エンドクレジットに多種多様な民族を思わせる名前が並んでいるのを見ると素晴らしいと思う。なにしろ本当にLAに住む移民と、その経験を描いた作品だからね。
映画を作るにあたって一番大変だったこと
とにかく役者の数とロケ現場の数が多くて大変だった。予算も限られていたし、全部で100近い役柄があった。一人の役者やロケ地に慣れて、撮影が乗ってきたなと思ったら次のシチュエーションに変わってしまう。週替わりで、別な話を撮っているみたいだった。エピソードごとに違うリズムを作っていかなくてはならなかったけれど、だからこそ新鮮さが保てたから、結果的には良かったと思っているよ。
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