OUTSIDE IN TOKYO
HARRISON FORD & WAYNE KRAMER INTERVIEW

『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』
ハリソン・フォード&ウェイン・クラマー オフィシャル・インタヴュー

ハリソン・フォードの長いキャリアでも初めてのハリウッド・メジャースタジオ以外の作品への出演となった本作だが、その脚本の完成度の高さとテーマの重要性から出演を快諾したという。短いコメントながらも、役者として新しい事に挑戦したかったという意欲が窺える。そもそもこの映画が日本で公開されたのもハリソンが主演しているからこそと思えば、多くを語らずも身をもって”スター”の責任を果たしていると言うべきだろう。一方、監督、脚本、製作を努めたウェイン・クラマーは、本作が長編3作目の俊英。前作のサスペンス・アクション『ワイルド・バレット』がタランティーノからも絶賛され興行的にも成功を収めているが、全米の映画検閲を行う業界団体MPAA(Motion Picture Association of America)の不透明なシステムを批判したドキュメンタリー映画『This Film Is Not Yet Rated』(06/カービー・ディック)にも堂々と登場してMPAAを批判する肝の据わった映画人ぶりは本作でも貫かれている。

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ハリソン・フォード(主演) インタヴュー



キャラクターについて
私が今回演じたマックス・ブローガンは、ICEで働くベテラン捜査官だ。ICEの職務は、移民問題に関わる法執行官ということになる。比較的最近になってアメリカの安全保障のために新たに設置された機関だ。
彼は、ちょっとくたびれた感じの男というのかな。プライベートでは離婚を経験して、さらに一人娘との関係も疎遠になっている。仕事のうえでも、昔気質でルールよりも感情で動いてしまうところがあって、新米刑事や同僚とぶつかる事も多い。自分の周りの人たちと、どうにもうまく馴染めなくなっているんだ。

移民問題について
アメリカの移民問題に関して、私たちは狭い考え方で捉えがちだ。だが実際は、幾つもの国と様々な人種が絡んだ複雑な問題だと思うよ。

監督ウェイン・クラマーについて
ウェインは非常に明確な映像プランの持ち主だね。あらかじめ全シーンの絵コンテを用意しているんだ。あそこまで綿密なプランを持った監督には、今まで出会ったことがない。ただそれだけじゃなくて、撮影現場では周囲の意見を聞く余裕をちゃんと持ち合わせている。一緒に仕事をするうえで、本当にありがたい存在だ。

他作品との比較に関して
『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』と『インディ・ジョーンズ』シリーズほど、かけ離れた作品はないよ。全く異なるタイプの作品に出演して、自分が演じる役に今までとは違う新たな可能性を得ることができたのは、素晴らしいことだと思う。客層の幅も広がるしね。俳優として様々な役を演じることができることは最大の喜びだし、そんな機会を与えてもらったことに、感謝の気持ちでいっぱいだよ。

ハリソン・フォード プロフィール
1942年7月13日、イリノイ州シカゴ出身。
ウィスコンシン州リポン・カレッジで哲学と英文学を専攻するも役者を志し中退、LAの演技学校で学ぶ。66年に『現金作戦』の端役で映画デビュー。『テキサスの七人』(68)などに出演するが陽の目を見ず、一時は俳優をあきらめ大工として生活していた。
73年のジョージ・ルーカス監督作『アメリカン・グラフィティ』から注目され始め、『スター・ウォーズ』旧三部作(77年/80年/83年)のハン・ソロ役で大ブレイク。さらに『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(81)に始まるインディ・ジョーンズ役でトップスターとしての地位を確立し、以後は次々と話題作に出演。90年代には『パトリオット・ゲーム』(92)、『今そこにある危機』(94)でさらなる当り役ジャック・ライアンを演じ、08年には19年ぶりのシリーズ第4作『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』で現役っぷりを見せつけるなど、まさにハリウッドを代表する大スター。
初期は「タフな中にも繊細な心を秘めた現代版ヒーロー」といった役柄が目立ったが、90年代以降は内面的な苦悩を描く社会派ヒューマンドラマに一層の冴えを見せ、アクションとロマンス双方で円熟味を増した演技を披露、幅広いファンを獲得している。
85年の『刑事ジョン・ブック/目撃者』ではアカデミー賞とゴールデングローブ賞の主演男優賞にノミネートされた(ゴールデングローブ賞には『モスキート・コースト』(86)、『逃亡者』(93)、『サブリナ』(95)でもノミネート)。98年には「ピープル」誌の「もっともセクシーな男性」に、99年にはピープルズ・チョイス賞の「映画史上もっとも人気の高い映画スター」に選ばれている。2001年には「世界で最も裕福な俳優」としてギネスブックに認定され、03年にはハリウッドの殿堂「ウォーク・オブ・フェイム」に名前が刻まれている。
気に入った脚本がないと出演せず、山奥でのんびりと過ごすことでも有名で、ワイオミング州に広大な農場を所有。自ら操縦する飛行機やヘリコプターで人命救助を行い「インディ・ジョーンズばりの私生活」と話題になったことも。二度の離婚を経験し、09年女優のキャリスタ・フロックハート(「アリー・マイ・ラブ」)と結婚。82年の『ブレードランナー』で初来日以降、08年の『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』まで公式には計9回来日を果たしており、さらにお忍びでも度々日本を訪れていると言われる親日派でもある。

■主な出演作
『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2008) 『ファイヤーウォール』(2006) 『ハリウッド的殺人事件』(2003) 『K-19』(2002) 『ホワット・ライズ・ビニース』(2000) 『ランダム・ハーツ』(1999) 『6デイズ/7ナイツ』(1998) 『デビル』(1997) 『エアフォース・ワン』(1997) 『サブリナ』(1995) 『今そこにある危機』(1994) 『逃亡者』(1993) 『パトリオット・ゲーム』(1992) 『心の旅』(1991) 『推定無罪』(1990) 『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(1989) 『フランティック』(1988) 『ワーキング・ガール』(1988) 『モスキート・コースト』(1986) 『刑事ジョン・ブック/目撃者』(1985) 『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984) 『スター・ウォーズ/ジェダイの復讐』(1983) 『ブレードランナー』(1982) 『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981) 『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』(1980) 『地獄の黙示録』(1979) 『スター・ウォーズ』(1977) 『カンバセーション…盗聴…』(1973) 『アメリカン・グラフィティ』(1973)

『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』
原題:Crossing Over

9月19日(土)、TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー

監督/脚本/製作:ウェイン・クラマー
製作:フランク・マーシャル
共同製作:グレッグ・テイラー
製作総指揮:マイケル・ビューグ、ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン
撮影:ジェームズ・ウィテカー
美術:トビー・コーベット
衣装デザイン:クリスティン・M・バーク
編集:アーサー・コバーン
キャスティング:アン・マッカーシー、ジェイ・スカリー
音楽:マーク・アイシャム
音楽監修:ブライアン・ロス
出演:ハリソン・フォード、レイ・リオッタ、アシュレイ・ジャッド、ジム・スタージェス、クリフ・カーティス、サマー・ビシル、アリシー・ブラガ、アリス・イヴ、メロディ・カザエ、ジャスティン・チョン、メリク・タドロス

2008年/アメリカ/英語/カラー/スコープサイズ/1時間53分
配給:ショウゲート

写真:© 2008 The Weinstein Company, LLC All Rights Reserved.

『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』
オフィシャルサイト
http://www.seiginoyukue.jp/

『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』
 レビュー


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