初音映莉子『ミツコ感覚』インタヴュー

初音：難しいか難しくないかで考えるとそのどちらでもないっていうか。もちろん稽古を積み重ねたり、台詞もきちんと喋ってますけど、芝居をしてた感覚がないくらいなんです。山内さんは昔から知ってて、私の喜怒哀楽のほとんどを知ってる。舞台の時は納得いかないことがあると泣いて訴えたりとか、一緒にごはん食べてバババババって言って、もう嫌なことがあったら、芝居のことですけど、私はここが分りませんって言っちゃう。

初音：私はそういうタイプです。（『ミツコ感覚』では）芝居していたより生活してたっていうか。本当に日常を描いてますけど、日常の中に自然に、例えば、コメディ要素があったりとか、不思議な世界に入ってく、でもそれと同時に悲劇が起こっていたり、でもそうした全てがなんてことのない日常に全部詰まってる。そういう何てことのない日常を出せる人達、私が無防備になれるっていうか、監督を始め、そういう人達と一緒に作品を作る時間を過ごすことができたんです。どこにカメラがあるかとかも全然気にならなかったです。

初音：全然です、本当に。

初音：全く無防備でした。そのシェアードしてる（広く共有されている）感覚が正直なかったので、私こういう顔してるんだとか、この顔ひどいなとか（笑）。ひどい顔も何撮られても全然もう関係ないというか、それは私と山内さんの関係もそうだし、一緒に出ていた（石橋）けいちゃんの関係もそうだし、何も気にしない。稽古を沢山するけど結局は何も気にしないっていうか、そこまでオープンにできるみんなとの関係が出来上がっていたからだと思います。

初音：大変だと思ってなかったですね、自分では。人によって表現の出し方も違うし、私も相手が変われば、私が感覚を貰ったりとか。山内さんは衣装とか気にしないんですよ、似合ってたら何でもいいっていう、色とかも、色も別に気にしない。だけど『ノルウェイの森』の監督のトランは徹底的に拘る方だったので。

初音：気にしてましたけど（笑）。その質問はすごく分りますね、気にしてるんですけどある程度、気にしてないっていうか。

初音：そうですね、曇り多かったですね。

初音：確かにピーカンに晴れた日があったかっていうとなかった記憶が、一枚薄い雲がいつも張っていたっていうか、漂っていたっていうか。その感じは、この作品に似てるなって思いましたね。

初音：最近しないですけど、撮っていた時期がありますね、ここにぶら下げて持ち歩いて、ありますね。

初音：うん、好きでした。エンドロールの中の写真、私が撮ったやつもあったりして。そう、大好きでした。だから本当に大好きだったんです、もう撮らなくていいよって言われるくらい、ちょっとした（石橋）けいちゃんの気の抜けた表情とか、あーすごくいいなぁって。

初音：出てないと思います。
※公開日12/17（土）より、初音映莉子自身が劇中・撮影中に実際に撮った、『ミツコ感覚』の世界！
「ハツネ感覚」第1回写真展を、テアトル新宿ロビーにて開催。

初音：ちょっとカメラを持って歩いてた時期はありますね。それは別に山内さんに言ってないんですけど。たまたま『ミツコ感覚』も川のシーンが最初で。昔の話ですけど、私、なんか悩みごととかでウーってなっちゃった時は近所の川に行くんです。その川の夕焼けから夜になる瞬間が、最高にきれいでした。川の向こうに工業地帯があって、その煙突から炎がばんばん出てるんですよ。それで自然に夜になっていって飛行機が見えたりとかして。

初音：多摩川です（笑）。