OUTSIDE IN TOKYO
HATSUNE ERIKO INTERVIEW

初音映莉子『ミツコ感覚』インタヴュー

3. 私は、一人でどこにでも行くタイプです、一人でも飲みに行きます

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OIT:映画館で映画を観ることはありますか?
初音:うん、行きます。でも最近行ってないな。

OIT:劇場に一人でふらっとなかなか行きづらいですよね?
初音:あ、私一人でどこにでも行くタイプです。昔からですね、10代の時から映画館も行くし、大人になってから一人でも飲みに行くし。

OIT:一人で飲みに?
初音:全然行きます、一人で。THE居酒屋っていう街のちっちゃい居酒屋とかも一人で行ったりとか、大好きですね、一人の時間。お買い物も、あんまりショッピングしないですけど、一人で行くし、食べることがすごく好きなので、一人でどこにでも(笑)。

OIT:好きな映画とか、特に好きな監督はいらっしゃいますか?
初音:全部好きっていう人はまだいないですけど、ウォン・カーウァイの『花様年華』は好きです。トム・フォードの『シングルマン』も好きでした、早く次の作品観たいなぁって。

OIT:邦画よりも洋画ですか。
初音:邦画だったらもう結構古いのが好きですね。『浮雲』とか『しとやかな獣』とか好きですね。

OIT:この映画の台詞が昔の大映映画みたいな感じだなと思ったんです。古舘さん、石橋さん、初音さんのアンサンブルが昔の日本映画っぽい感じで、語尾が流れなくてしっかりしてますよね、テンポがよくて。最近の邦画は、ちょっと流れたりふわっとしちゃうのが多いんですけど、この映画はそういうところがしっかりしている。山内監督から他の映画の話をされることはありますか?
初音:山内さんはルイス・ブニュエルが大好きなんです。

OIT:ああ!そういう感じですよね。ちょっとシュールな。
初音:はい、その台詞がいわゆる現代的、言い方を変えると現代的ではないのかもしれないですけど、やってる私達としては、今っぽくない話し方だなっていう感覚はなかったです。映画の時は違いますけど、舞台の稽古の時とか、山内さん芝居を見てない時があるんですね、目をつぶって音だけ聞いてる、音で全部芝居が分るっていうか、山内さんの台詞が私達をそうさせるって感じですね。そこに全く無理はないっていうか。

OIT:なるほど。音楽は、撮影の現場では流してない?
初音:流してなかったです。でも舞台の時は山内さん結構クラシックとか、バッハとかモーツァルトとかも使ったりしています。

OIT:『ミツコ感覚』でもクラシックが使われていますね。
初音:なんか面白いとこで(笑)。ここでこれ流れるんだっていうか。

OIT:でもその目をつぶって聞いてるっていうのは面白いですね。『ミツコ感覚』は、台詞がストレートにすごく入ってきます。
初音:だいたい山内さんは本を書いている段階で、自分の中では200%出来上がってるんですよね。だけどそれを演じる私達がまた変えていくっていう。以前面白い話を聞いたんですけど、山内さんがある人に、僕、実はこういうCM作りたいんだ、こうこうこうで、こうこうこうでって事細かに話すんですって。だけど作りたいけど作りたくない、それは何でかって言うと自分の頭の中で完璧に出来てるから、映像にしたら、CMになったら違う色んな問題があったり、だけど自分の想像力の中で完璧に仕上がってるから、だから僕は作品にしたくない。だけど舞台とかですと、その役者の気持ちとか、完全に違う反応が生まれるっていうか、それは演出家と私達だけの関係じゃなくて、もちろん役者同士の関係、その影響はすごく好きみたいですね。事細かにこのカットはこうこうこうで、っていうのはもうCMをたくさんやってる人ですから、今はもっと人間の気持ちに興味があるのかもしれません。

OIT:それは初音さんが何年も一緒にやられてきて、それを形にしてくれる信頼があるんでしょうね、山内さんから初音さんへの。
初音:私ももう信頼だけですね、山内さんには。何でも言えます、嬉しいこと、嫌なことも何でも。別に嫌われてもいい、関係ない、ただ信頼してるから全部見せられるっていうか。それがあったから、これがあるのかなと。

OIT:急に出来上がったもんじゃないっていうことですね。
初音:昔からの信頼関係が、仕事じゃない時もご飯食べたりとか、舞台の時は泣きながら、ここが納得いかなーいって言ったり、そういう私のいいところ、悪いところ、全部知ってる人ですね。

OIT:これからも山内さんとの作品が沢山観れるといいなと思います。もちろん、山内監督以外の作品も含めて、女優初音映莉子さんのご活躍を楽しみにしています。


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