OUTSIDE IN TOKYO
Julian Schnabel INTERVIEW

ジュリアン・シュナーベル『ミラル』インタヴュー

3. タルコフスキーの『アンドレイ・ルブリョフ』とジロ・ポンテコルヴォの『アルジェの戦い』

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OIT:撮影の前に、どれぐらい固めて撮影に望みますか?例えばストーリーボードは作りますか?
JS:ストーリーボードは作らないですね、今まで一度も作った事がない。脚本をルーラに書いてもらって、彼女といろいろ話しをして、ロケーションに行って役者をそこに入れてどういう反応があるかを見る、あまりリハーサルもしないで臨みます。

OIT:音楽は一番最後につけるんですか?あるいは、初めからこの曲を使いたいという明確なイメージがあるのでしょうか?
JS:初めから完全に明確なイメージを持っています。アメリカの映画監督としてこの作品を作る上で国際的な雰囲気も醸し出したかったし、同時にアメリカ的なセンスも入れたかったので、中東の音楽だけではなくて、色々な音楽を使いたかった。その地域性だけを強調したいわけではなかったので、トム・ウェイツの音楽は非常に感情的にも重要だったし、ローリー・アンダーソンのバイオリンの曲もこの映画のために特別に作曲してもらって、パレスチナ問題のテンションとか不可能性を表現するのに非常に貢献してくれた。特に二人の女の子がドライブしてくる所に同じ音楽が使われているところには注目してほしいね。そういった意味で音楽というのは非常に重要な物語、ストーリーラインと同じくらいに重要な役目を持ってます。音楽は私の映画にとってあまりにも重要です。

OIT:今、監督は、アメリカン・ダイレクターであるとご自分のことをおっしゃったんですけれども、それを何か定義する事は出来ますか?
JS:アメリカ生まれなのでアメリカ人だという事なんですけれども、ショーン・ペンの映画を作った時にはアメリカ人らしい、けれどもキューバのアレナスの同性愛者を描いた時にはキューバ的な、あるいはフランスの映画の時、『潜水服は蝶の夢を見る』の時はアメリカ映画を作ってほしいって言われたんですけれども、フランス語でフランス的な映画を作ってしまった、けれども私はアメリカ人なのでアメリカ人映画監督っていう事になるんじゃないでしょうか。

OIT:最後の質問です。最近ご覧になって良かったと思える映画はありますか?
JS:マイケル・ケイン主演の『Harry Brown』(09)はとても良かった。

OIT:新作ですか?
JS:2年くらい前の作品です。マリックの『トゥリー・オブ・ライフ』はまだ観てないけどとても興味があります。最も好きな映画を挙げるとすれば、タルコフスキーの『アンドレイ・ルブリョフ』(67)とジロ・ポンテコルヴォの『アルジェの戦い』(66)の2本です。

OIT:今日は貴重なお時間をありがとうございました。これからの作品も楽しみにしています。
JS:日本の皆さんの幸運を祈ります。アリガトウ!


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