OUTSIDE IN TOKYO
AHARON KESHALES & NAVOT PAPUSHADO INTERVIEW

アハロン・ケシャレス&ナヴォット・パプシャド
『オオカミは嘘をつく』インタヴュー

5. アハロンは、ヘブライ語を愛し、敬意を表しながらもポップカルチャー的なアプローチで
 批評を書くことができるんです(ナヴォット・パプシャド)

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OIT:お話を伺っていると、ナボットさんがあなたを映画作りの世界に引きずりこんだように聞こえますが?
ナヴォット・パプシャド:アハロンは、私に取っては、ただのフィルムの教授ではなく敬愛する映画批評家だったのです。ヘブライ語を愛し、敬意を表しながらもポップカルチャー的なアプローチで批評を書くことができるんです。まるでタランティーノ映画の批評版を観ているような感覚です。言語を高尚に保ちながら、伝わる批評を書くことができる。これこそジャンル映画の台本を書くのに最適な手法だと思っていました。世界のジャンル映画をヘブライ語に翻訳するにもです。言語の良さを失わずにポップカルチャー的な語りができるんです。いつか一緒にジャンル映画を作る時がくると信じていました。全く思い通りにはならなかったので陰で糸を引いていたとは言えませんね。影の首謀者というよりは、忍耐の勝利といったところでしょう。それと少しは悪の黒幕的要素もあるかもしれません。
アハロン・ケシャレス:ドクターデビルですよ。
ナヴォット・パプシャド:そう。ドクターデビル。(笑)
OIT:Facebookは英語で書いているんですか?
アハロン・ケシャレス:たまに英語でも書きますが、普段はヘブライ語です。でもグーグル翻訳で訳したら元の文章より良くなるかもしれません。
OIT:イスラエルの映画というと、これまではアモス・ギタイなどが知られていると思うのですが、ジャンル映画というのはそんなにありませんでしたね。やはりここ7年程で台頭してきたのでしょうか?
アハロン・ケシャレス:80年代までは結構あったんですが、批評が悪く一掃されましたね。ジャンル映画を撮っていた監督は独り残らず渡米したと思います。『オーバー・ザ・トップ』(87)のメナヘム・ゴーランをご存知でしょう?彼もジャンル映画を撮っていて、映画を撮り続ける為にアメリカに渡った監督の1人です。『グローイング・アップ』(78)のボアズ・デイヴィットソンもそうです。最近では『エクスペンダブルズ』(10)を撮った監督です。とにかく皆、アメリカに渡りました。20年から殆ど30年程ジャンル映画が途絶えたことになります。
OIT:イスラエル映画というと、日本では今年『フットノート』(11)という映画が上映されて、とても良く出来ている映画でしたが、ご覧になりましたか?その作品も脚本が大変優れていましたね。
アハロン・ケシャレス:観ました。いい映画です。(本作で刑事役を演じているリオール・アフケナズィは)『フットノート』と同じ俳優なんですよ。
OIT:あー!たしかにそうですね。『フットノート』の息子役の方ですね。気がつかなかった。いい役者さんですね。ところで、(本作の)父親役(ツァヒ・グラッド)は、字幕で“45歳”と出ていましたが、字幕の間違いではないですよね?
アハロン・ケシャレス:ああ、それは結構指摘されるのですが、多分もう20歳の頃から50歳位に見えていたのだと思います。幾つの時でも50歳に見える人っていますよね。(笑)
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