OUTSIDE IN TOKYO
michael winterbottom INTERVIEW

マイケル・ウィンターボトム『いとしきエブリデイ』オフィシャル・インタヴュー

2. 子供たちにも演技している意識はあった

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Q:子供たちが混乱することは?
MW:当時彼らがどれだけ理解していたかを知るのは難しい。それでも最初から自然で反応がよかった。逆に、成立させるにはそれしかなかった。シャーリーとジョンからシーンの雰囲気がどんなものか、本当の親のように、何が起きているかを感じて反応してもらう。ブリクストン刑務所に収監された父親に会いに行くシーンでも、4歳のショーンは待合室に入った瞬間、ジョンに向かって駆け出すとがっちり抱きついたんだ。

Q:子供たちも演技している意識があったのですか?
MW:あったと思う。状況も違えば、年齢も違うから一口に言えないけど、何をすべきか分かっていても細かくは教えていなかった。しかも何テイクも繰り返すことがあって、さっきはよかったからもう一回やってよと言うと、同じようにやってくれる。それに彼らは本物の兄弟だから、家族のやさしさも、家族だからこその乱暴さもあった。違う子供を4人使っていたら全く違っただろうね。

Q:5年間でどこまで撮影するという全体の地図はあったのですか?
MW:うん、でも長く関わってもらうのは難しい。シャーリーもジョンも仕事でも友人としても長いつきあいで、流動的に関わってくれると約束してくれた。それで1週間のブロックで作業し、間隔を空けることにした。パターンはないけど、毎年、数週間まとめて家を訪ねた。そこに定期的に間隔を空けて季節も採り入れた。それにジョンとシャーリーと、僕のスケジュールもある。でもパターンが出来上がればクリスマスの季節に1回、夏に1回という感じになった。

Q:他の作品も動いていたわけですね。
MW:そう、でも毎日何かを作っている実感があって楽しかった。子供たちはスタッフにもジョンとシャーリーに懐いていた。だから他の仕事から戻ってくると新鮮で、彼らがどう変わっていくかを見るのが楽しみになった。そして彼らの変化とともに、不在の父と、子供の面倒を見なければならない母との関係を探り、実際に起きた変化にどう対処していくか考える必要があった。

Q:スタッフは何人でしたか?
MW:状況に応じて変わるけど平均で10人。それが狭いスペースにぎゅっと入る。それでも空間や風景を捉えることが大切だった。空間に制限のある刑務所だけでなく、家も小さいし、すでに子供たち4人とシャーリーもいる。学校も限られた空間だ。撮影はできる限りシンプルでなければならなかった。

Q:ドキュメンタリーとドラマの感覚を織り交ぜたあなたの他の小さな映画と同じようなアプローチと言っていいですか?
MW:そうだね。僕の映画はほとんどがフィクションだけど、僕らがストーリーを構成してコントロールしていく中で役者が役柄を演じていく。そうしながら、より新鮮な何かを映画で捉えたいと思う。『イン・ディス・ワールド』(02)はパキスタン人難民がイギリスまで移動する話だけど、観察的な映画など様々な要素が混ざっている。フィクションを前提とした構成で語り、親密さを表現する。それはドキュメンタリーでは難しい。ドキュメンタリーでは寝室に入ってベッドの様子を撮影できないからね。

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