OUTSIDE IN TOKYO
M. Night Shyamalan Interview

『シックス・センス』『アンブレイカブル』『ヴィレッジ』などを代表作に、サスペンス、ミステリー、SFなど様々なジャンルに挑んできたM・ナイト・シャマラン。だがいつしか、観客は自ら期待しながら、“どんでん返しの名手”という賛辞から、またどんでん返しか、という声も聞かれるようになる。だがそんな声をよそに、シャマランは意欲的に、どんどん作品を生み続ける。そして興行的な成功には必ずしもつながらないジレンマを抱えながら、パート2、パート3まで、シリーズ化を想定した新作『エアベンダー』を発表。テレビ・アニメとして放映されていた同シリーズの映画化に踏み出したことを意外に思うかもしれないが、彼はファミリー層に愛された『スチュアート・リトル』の脚本も書いているのだ。だが、映画自体は、もうひとつ彼の手腕が発揮されていないのでは、というのが正直なところ。それでも、そんな彼がそこに傾ける野心やエネルギーには注目したいと思い、今回はグループ取材に参加させてもらった。短い時間ながらも、彼の前向きなエネルギーのベクトルを感じ取ることができた。そして、必ず、彼なりの作品を生み出すことを予感させた。

1. 今までは、リアリズムの中でハイパーリアルを描いてきた、今回はその真逆ってことだね

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Q:この映画の劇中に登場する、アッバーやモモといったキャラクターが、ご自身も好きだと言われる宮崎(駿)アニメを彷彿とさせるのですが、そんな宮崎アニメを意識した点はありますか?
M・ナイト・シャマラン(以降MNS):とても影響を受けているよ。特に自然界の精霊、木に宿る魂や水に宿る魂や川の精霊とか、そんな宮崎アニメの持つ、霊的な部分が自分もとても好きだから。自分の映画にも(主人公)アンが精神的な世界にいく時や魚のシーンにも表れているけど、特にパート2と3になると、もっといろんなクリーチャーが登場して、神がかり的な要素が出てきたりして、ファンタジーと現実の境界がより曖昧になるという、そんなところでもとても影響を受けているね。

Q:取り合ったという、原題にある“アバター”について聞かないわけにいかないのですが、何がどう起きたのですか?
MNS:いや、実はとてもシンプルなことなんだ。テレビ番組が『Avatar: the Final Airbender』というタイトルだったから、『アバター』と呼ぼうと考えていた。そして発表しようとする時、ジェームズ・キャメロンの『アバター』の話を聞いたんだ。結果的に、すぐに彼がもう何年も前に権利を持っていたことを知ったんだ。それで終わりさ(笑)。それだけのこと。でも幸運なことに、僕らのタイトルには後半のパートがあったから。

Q:では、特に個人的な恨みもなく?
MNS:うん、全くそういうのはないよ。見るからに、全く似たところもないしね。

Q:今回、全く新しい作品で驚きました。これまでは現実世界に則しながら、目に見えないものを信じる力や、恐ろしいことや、希望などが描かれていたと思うのですが、今回は全く舞台から(して)、壮大なファンタジーになりましたね。その理由はどこにあったのでしょう。
MNS:ただ興味を惹かれたから。昔から『スチュアート・リトル』(の脚本を)書いているくらいだからファンタジーはすごく好きだった。それも楽しんで書いていて、僕はファンタジー映画の持つ言語が大好きだし、要は、ファンタジーをいかにリアルに見せるとか、信じられるように見せるというのがチャレンジだったね。今までは、現実でも、本当に地に(足が)ついていながらもハイパーリアルを描いてきたりしたので、今回は描いていることが真逆ってことだよね(笑)。

『エアベンダー』
原題:THE LAST AIRBENDER

7月17日(土)全国超拡大ロードショー

監督・脚本:M・ナイト・シャマラン
製作:M・ナイト・シャマラン、サム・マーサー、フランク・マーシャル
製作総指揮:キャスリーン・ケネディ、スコット・アバーサノ、マイケル・ダンテ・ディマーティノ、ブライアン・コニーツコ
原作:マイケル・ダンテ・ディマーティノ、ブライアン・コニーツコ
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演:ノア・リンガー、ニコラ・ペルツ、デヴ・パテル、ジャクソン・ラスボーン、ショーン・トーブ、アーシフ・マンドヴィ、クリフ・カーティス 他

2010年/アメリカ/カラー/103分
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン

©2010 PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.

『エアベンダー』
オフィシャルサイト
http://www.airbender.jp/
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