OUTSIDE IN TOKYO
Ounie Lecomte INTERVIEW

ウニー・ルコント『めぐりあう日』インタビュー

4. イブラヒム・マーロフは、ピアノとトランペットを使って、
 映像を見ながらその場で作曲をしてくれたのです

1  |  2  |  3  |  4



OIT:イブラヒム・マーロフの音楽が素晴らしかったのですが、本作品の音楽について質問をさせてください。アンドレ・ブルトンの詩に至る、あの流れも大変素晴らしかったのですが、イブラヒム・マーロフを使うというのは、監督のアイディアだったのですか?
ウニー・ルコント:そうです、彼の音楽は素晴らしいですね。イブラヒム・マーロフの音楽は、この映画を撮るまでは知らなかったのですが、シナリオを書いている時に、彼の「ベイルート」という曲を聴く機会があって、彼はレバノン出身のミュージシャンですが、音楽がとても映画的である、映画に見合った音楽だと思ったんですね。音楽はこの映画にとって、凄く重要なエッセンスであるということは分かっていました。この映画には、語られない部分、凄くメランコリックな部分があって、音楽は演じている役者の演技に寄り添って行くものでなければなりませんでした。ですから、彼しかいない、彼が適任だと思ったのです。イブラヒム・マーロフは、フランスのみならず海外でも広く認知されているミュージシャンですから、この仕事を受けてくれて、とても幸運だったと思っています。イブラヒムには、まずシナリオを読んでもらい、彼自身のイメージでこういう感じ、という感触を持ってもらいました。その後、編集の第一段階の映像を彼に見せました。そこで、2~3曲、映画のテーマ曲的なものを彼の頭の中で思い浮かべてもらったんです。それから、編集を終えた映像を見てもらって、スタジオで曲を演奏してもらったのです。イブラヒムは、今回、2つの楽器を演奏しています。ひとつは勿論、トランペットです。彼の父親もトランペット奏者として有名でしたが、彼はコンセルヴァトワールでクラシック音楽の厳格な教育を受けています。彼の母親がピアニストだったのですか、イブラヒムはピアノに関しては特に厳格な教育を受けているわけではなく、母親の手助けを受けながら、独学でピアノを学びました。ですから、ピアノに関しては自由な解釈で演奏をしていますね。事前にイメージを持っていたので、即興というわけではありませんが、ピアノとトランペットを使って、彼はその場で映像を見ながら作曲をしてくれたのです。その音楽それ自体も、彼の存在も、この映画の中のとても重要なエッセンスとして成り立っていて、とても良かったと思っています。イブラヒムを起用することが出来たのは本当に幸運なことでした。


←前ページ    1  |  2  |  3  |  4