OUTSIDE IN TOKYO
SEBASTIEN BETBEDER INTERVIEW

セバスチャン・ベベデール『メニルモンタン 2つの秋と3つの冬』インタヴュー

2. 一通りカメラの前で語っている、モノローグだけのバージョンが存在しています

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OIT:ヴァンサン・マケーニュの存在ありきの企画だったのでしょうか?
セバスチャン・ベベデール:そうじゃないですね、そういう風に考えないようにしたんです。主演を誰にするかということは、シナリオを書く前に敢えて考えないようにしました。一つの映像に限定されてしまうので、そうしたくなかったのです。でも撮影が終わってから、やはりキャスティングが一番重要だったということを感じました。ヴァンサンのことはあまりよく知らなくて、短編の作品を見ていたくらいだったのです。会った時には、彼がアルマンだとすぐにピンときました。

OIT:ヴァンサンが出演していたギヨーム・ブラックの作品も見ていませんか?
セバスチャン・ベベデール:短編は見ていました。彼は、他の短編にも沢山出ているんです。フランスでは、短編映画は、新しい俳優を発見するための登竜門になっているんです。

OIT:撮影現場はどのような雰囲気だったのでしょうか?
セバスチャン・ベベデール:そうですね、素晴らしい雰囲気でした。私は撮影の前にテーブルに着いて、テストをするとか、勉強をするとか、そういうのは嫌なんですね。撮影時のフレッシュな感覚を活かしたいんです、だからリハーサルも全然やりません。その代わりに、コーヒーとか、ちょっとお酒とかを一緒に飲む機会を沢山設けて、登場人物について色々と話し合いました。私の頭の中では登場人物に関して迷いは全くありませんでした。この映画の中で人物像がどういう風になっていくかということに関しては、はっきりしたイメージを持っていたんです。しかし映画の中で何かが生まれる瞬間とか、そうした表現は実際の撮影の時に初めてやってみて、新鮮な感覚を保つようにしたんです。

OIT:結果的には、あまり無駄なテイクも撮ってないという感じですか?
セバスチャン・ベベデール:そうですね、大体三回か四回くらいのテイクです。かなり集中してやりましたから。

OIT:あまり無駄なテイクは撮ってないという感じですか?
セバスチャン・ベベデール:構造が凄く特別だったので、物語全体がモノローグの形で一応存在しているんです。一通りカメラの前で語っているバージョンが一つあるんです。後の編集の段階で、じゃあこのモノローグをどこで消すか、どこのモノローグのどの部分を途中で入れ込むかっていう、そうしたことが問題になるわけです。ロケの自然の背景で撮る場所を考えて、それを編集で繋げたり、一つの映像から別の映像にするには、どうするかということを考えました。

OIT:ということは、編集作業はかなり入り組んだものになったのですか?
セバスチャン・ベベデール:もちろんシナリオが無かったわけではありませんが、楽譜みたいなものでした。ここの部分とか、あそこの部分をどのように繋げるというような書き込みは一応存在していました。モノローグでちゃんとベースで作っておいて、そこをオンにするかオフにするかというのは最初に撮った段階ではまだ解っていません。最初から決まっている部分と、編集の時にここはオフにしようと決めた部分があります。


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