第21回 カイエ・デュ・シネマ週間



昨年の「アラン・ギロディ特集」、一昨年の「シャンタル・アケルマン追悼特集」、一昨々年の「ブリュノ・デュモン」&「ジャン・エプシュタイン」特集と、毎年、その時節に応じたフランス映画の注目作品、重要作品を映画史に照らし合わせながら紹介してくれる唯一無二の特集上映「カイエ・デュ・シネマ週間」が今年もアンスティチュ・フランセで行われる。第21回を迎える今回は、"自伝的要素から離れ、いまを生きる若者たち、とくに女性たちを描いている"フィリップ・ガレルの「現代の恋愛についての3部作」を始めてとして、ダミアン・マニヴェル セレクション、第70回カンヌ国際映画祭で新人賞を受賞したレオノール・セライユ『若い女』(17)、サフディ兄弟『グッド・タイム』(17)、ケリー・ライヒャルトの『ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択』(16)といった"若者たち、女性たち"に特にフォーカスした作品群がラインナップされている。「シャンタル・アケルマン追悼特集」以来の再登場となるカイエ誌のNY特派員ニコラ・エリオットのレクチャー、骨太な傑作『勝手にふるえてろ』(17)で名を馳せた大九明子監督のトークショーも見逃せない。
(上原輝樹)
2018.3.29 update
2018年4月1日(日)~4月15日(日)
プログラム協力・ゲスト:ニコラ・エリオット(「カイエ・デュ・シネマ」NY特派員)
ゲスト:ダミアン・マニヴェル(映画監督)、大九明子(映画監督)、五所純子(文筆家)、渡辺進也(「Nobody」編集長)、結城秀勇(映画批評家)

会場:アンスティチュ・フランセ東京 エスパス・イマージュ
料金:一般1,200円、学生800円、会員500円
チケット販売時間:映当日各回の30分前から上映開始10分後まで。チケット販売時間内には、当日すべての回のチケットをご購入いただけます。
開場時間:15分前

公式サイト:http://www.institutfrancais.jp/tokyo/events-manager/cinema1804010415/
上映スケジュール
4月1日(日)
12:00
さよならは言わない
(99分)
14:30
ヴィクトリア
(97分)




17:00
ジャネット、ジャンヌ・ダルクの幼年期
(105分)
上映後:
ニコラ・エリオットによるティーチ・インあり
4月5日(木)
13:45
ヴィクトリア
(97分)
16:00
さよならは言わない
(99分)




18:30
フランスでの日々
(141分)
上映前:
ニコラ・エリオットによる作品紹介あり


4月6日(金)
16:00
グッド・タイム
(100分)
18:30
ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択
(106分)
上映後:
ニコラ・エリオットと渡辺進也による対談あり
4月7日(土)
13:30
ジェラシー
(77分)
15:30
パリ、恋人たちの影
(77分)




17:30
特別先行上映
つかのまの愛人
(76分)
上映後:
ニコラ・エリオットによる講演あり
4月8日(日)
18:30
ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択
(106分)
4月13日(金)
14:15
パリ、恋人たちの影
(77分)

16:15
ジョゼフの息子
(115分)

19:00
パーク
(72分)
監督によるティーチ・インあり

4月14日(土)
11:30
ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択
(106分)
14:00
フランスでの日々
(141分)

17:00
イスマエルの亡霊たち
(135分)
上映後:
トークショーあり(ゲスト:五所純子、結城秀勇)
4月15日(日)
12:00
ソルフェリーノの戦い
(94分)

14:30
レット・ザ・サンシャイン・イン
(95分)
17:00
若い女(原題)
(97分)
上映後:
トークショーあり(ゲスト:大九明子)
*全席自由。整理番号順での入場とさせていただきます。また、上映開始10分後以降の入場は、他のお客さまへの迷惑となりますので、固くお断りいたします。
上映プログラム

フィリップ・ガレル 現代の恋愛についての3部作

『ジェラシー』(La Jalousie)
フランス/2013年/77分/モノクロ/デジタル/日本語字幕
監督:フィリップ・ガレル
出演:ルイ・ガレル、アナ・ムグラリス、レベッカ・コンヴナン、エステール・ガレル
撮影:ウィリー・クラン
音楽:ジャン=ルイ・オベール

舞台俳優のルイは、妻と娘と別れ、新たな恋人である女優のクローディアと同棲生活を送っている。ルイには次々に出演依頼がくるが、クローディアにはこない。クローディアはルイを愛しているが、いつか彼が離れていくのを恐れている。ある晩、彼女はひとりの建築家と出会い、仕事をもちかけられる。ルイはクローディアを愛しているが、今は彼の方が彼女が離れていくことを恐れている。そして彼らの間には、ルイの娘、シャルロットがいる。

「いま私が映画で探求しようとしていることは、女性のリビドーと男性のリビドーが同じ強さである、という考えだ。」フィリップ・ガレル

「『純粋さ』という言葉は濫用されるきらいがあるが、この作品で問題となっているのはまさにその「純粋さ」である。純粋なる状態の映画、銀幕に映し出される顔たち、そこに感情が迸り、瞬間の強度とともに私たちは人生そのものと向き合うことになる。」ニコラ・エリオット「カイエ・デュ・シネマ」
『パリ、恋人たちの影』(L'Ombre des femmes)
フランス/2015年/73分/モノクロ/デジタル/日本語字幕
監督:フィリップ・ガレル
出演:クロチルド・クロ、スタニスラス・メラール、レナ・ポーガム、ルイ・ガレル(声のみ)
撮影:レナート・ベルタ

ピエールとマノンは貧しく、ちょっとした仕事をして生計を立てながら、わずかな予算でドキュメンタリーを作っている。ピエールは研修生の若い女性、エリザベスと出会い、彼女と付き合い始めるが、彼女のためにマノンと別れる気はなく、二人とも失いたくない。ある日、エリザベスはマノンが他の男性を会っているところを目撃し、ピエールにそのことを告げる...。

「私は、無意識から何を理解できるか、ということに興味があります。私にとってこの作品は、映画が到達しうる最高の男女平等についての映画といえます。女性のキャラクターに強力な支持を与え、男性への風当たりを強くしました。多くの映画は男性によって設計されているので、描写、視点、語り方についての決定は男性が下しています。例えばスクリーンで女性が心情を吐露するシーン、ほとんどの場合は男性がセリフを書いています。これを解消するため、本作では女性2人、男性2人からなる4人のチームで脚本を作りました。しかし、男性と女性の登場人物を対等な関係においたとしても、映画の機能は、男性の立場を強化する傾向に働くと考えています。釣り合いを取るため、私は女性の側に立ち、男性に不利になるようにしました。最終的に、ピエールはそんなに悪い状態には陥らず、彼とマノンは実際、同じくらいの力を持ってバランスを保ちます。やはり、この映画は男性の視点から作られているのかもしれません。ただし、女性の視点から何が起きているかを見ようとする男性だといえます。そして、本作は母の死とも関わっています。私にとって、『パリ、恋人たちの影』もまた、これまでの作品のように個人的なできごとに大きく影響されているのです。」フィリップ・ガレル
特別先行上映『つかのまの愛人』(L'Amant d'un jour)
フランス/2017年/76分/モノクロ/デジタル/日本語字幕
監督:フィリップ・ガレル
出演:エリック・カラヴァカ、エステール・ガレル、ルイーズ・シュヴィロット
撮影:レナート・ベルタ

3ヶ月前からアリアンヌは哲学の教師ジルと付き合っている。ジルにはアリアンヌと同じ歳の娘ジャンヌがいる。人生で初めての大きな恋愛の終わりに絶望し、父親のもとに身を寄せるジャンヌは、歳の近い父の恋人アリアンヌと徐々に親しくなり、愛すること、女性として欲望を抱くについて語り合う。

「『つかのまの愛人』は裂け目から始まる。ひとりの女子学生がすさまじい勢いで階段を駆け下り、大学のトイレで恋人である哲学教師と落ち合う。立ったまま、人目を忍んで、ふたりは愛を交わす。今までガレル作品でこんなシーンは見たことはなかった。今まで映画の中でこんなオルガスムを聞いたことはなかった。激しい息づかい、あえぎがすべてを凌駕する。ルイーズ・シュヴィロットの真に迫った演技が文字通りスクリーンを切り裂く。次のシーン。先ほどの学生と同年齢と思われる若い女性、エステール・ガレル演じる女が夜、路上に座り込み、大きな声を上げて泣いている。あえぐように泣くその声がさらに奥から聞こえてきて、私たちの想像の中で先ほどのオルガスムのあえぎ声と泣き声がシンクロして聞こえ、快楽と悲痛な叫びが重なり合う。このふたつのシーンのつなぎによって、ある意味、このふたりの登場人物についてすべてが語られているといえるだろう。快楽を求め、その場限りの関係も辞さない女、そして目から涙を流すしかない苦悩する女。」ステファン・ドゥローム「カイエ・デュ・シネマ」

8月18日(土)より、シネマヴェーラ渋谷 他全国順次公開

フィリップ・ガレル Philippe Garrel
「女たちは、時に、地上に影を投影する雲のようだ。彼女たちは陽光が射すのを妨げ、そこにできた影は私たちをかすめ、周囲を動いていく。彼女たちが私たちに与えたもの、それは愛であり、それはもうここにはない」―フィリップ・ガレル

『パリ、恋人たちの影(原題:女性たちの影)』の脚本に書き留められ、タイトルとなった詩である。モノクロ、約75分の長さ、そして息子のルイや娘のエステールや、ガレルが教鞭を取る国立演劇学校の若者たちと共に撮られた『ジェラシー』、『パリ、恋人たちの影』、『つかのまの愛人』の三部作は、それまでの作品に濃厚に存在していた自伝的な要素からは徐々に離れ、いまを生きる若者たち、とくに女性たちを描いている。ガレル自らが「フロイド的三部作」と呼ぶこれらの作品は、女性たちの無意識、欲望、苦悩、恋愛における様々な感情、ふるまい、そして身体にこれまでになく迫っていく。
オープニング上映

『ジャネット、ジャンヌ・ダルクの幼年期』(Jeannette, l'enfance de Jeanne d'Arc de Bruno Dumont)
フランス/2017年/カラー/105分/デジタル
監督:ブリュノ・デュモン
出演:リーズ・ルプラ・プリュドム、ジャンヌ・ヴォワザン、リュシル・グーティエ

1425年、フランス、ドンレミ村。8歳のジャネットは、まだジェンヌ・ダルクではなかったものの、すでにイギリス人をフランス王国から追い出したいと思っていた。詩人・思想家のシャルル・ペギーによる『ジャンヌ・ダルク(1897年)』と『ジャンヌ・ダルクの愛の秘義(1910年)』を元にブリュノ・デュモンは、未来の聖女の幼年期をミュージカルで描き出した。

「ブリュノ・デュモンは『ジャネット、ジャンヌ・ダルクの幼年期』によってこれまででもっとも不純で、奇妙で、様々なものがいっぱい詰っていると同時に、果敢なほどミニマルですばらしい作品を作り出した。この小さな傑作によって彼の映画は決定的に解き放たれた!」シリル・ベガン「カイエ・デュ・シネマ」
クロージング上映

特別先行上映『若い女(原題)』(Jeune Femme de Leonor Serraille)
フランス/2017年/97分/デジタル/カラー/日本字幕
監督:レオノール・セライユ
出演:レティシア・ドッシュ、グレゴワール・モンサンジョン、スレマン・サイエ・ンディアエ

30年代の女性ポーラは、著名カメラマンの恋人とメキシコから久しぶりにパリに戻るも、その彼と喧嘩をしてアパートメントを追い出され、友人たちからも見放され、仕事もなく、一文無しのまま猫を抱えて路頭に迷う。人も街もよそよそいく、絶望しかかった時に、ある偶然の間違いから、周囲の世界との接点を見出していく。
新人女性監督レオノール・セライユのカンヌ国際映画祭カメラドール2017年(新人賞)受賞作品。冒頭からレティシア・ドッシュが文字通り体当たりで、世界と対峙していくその様からとにかく目が離せない。

「ポーラはその中心を失うが、それは完全に周辺に追いやられるのではなく、新たな冒険の始まりを意味している。ポーラの道程に寄り添う夢想的フリー・ジャズの調べのように、この世にあらかじめ定められたものはなく、すべてはこれから作られていくのだ。」ステファン・デュ・メスニルド、「カイエ・デュ・シネマ」

今夏、ユーロスペースほか全国ロードショー
ダミアン・マニヴェル 特別セレクション

『パーク』(Le Parc de Damien Manivel)
フランス/2016年/カラー/72分/デジタル/日本語字幕
監督:ダミアン・マニヴェル
出演:ナオミ・ヴォクト・ロビー、マキシム・バシュルリー、ソベール・セスマ

夏。とある公園で二人のティーンエイジャーが初デートをする。始めは戸惑い、恥じらっていた彼らも散歩が進むままに距離が縮まり、恋に落ちる。日が落ちて、別れの時間...。そして暗い夜が始まり、公園がそれまでと異なる表情、位相を見せ始める。

「彼らの究極的な明白さと原形とも言えるような清貧さにおいて、平凡さと言葉を紡ぐ奥行きの混在が感動的な人物像の構成に至っている。」ローラ・チュイエ、「カイエ・デュ・シネマ」
『ジョゼフの息子』(Le Fils de Joseph d'Eugène Green)
フランス=ベルギー/2016年/カラー/115分/デジタル/日本語字幕
監督:ウジェーヌ・グリーン
出演:ヴィクトル・エゼンフィ、ナターシャ・レニエ、ファブリツィオ・ロンジョーネ、マチュー・アマルリック

思春期を迎えたヴァンサンは、母マリーから愛情深く育てられたが、父が誰なのか知らずにいる。ある日自分の父が冷血で皮肉屋の編集者オスカー・ポルムノールだと知ったヴァンサンは父への復讐を企てるが、一風変わったジョセフという男との出会いがヴァンサンたちの人生に変化をもたらしていく。

ダミアン・マニヴェル Damien Manivel
五十嵐耕平との奇跡のように美しい日仏共同監督作品『泳ぎすぎた夜』が今春公開予定のフランスの新鋭監督、 ダミアン・マニヴェルを迎え、2016 年カンヌ国際映画祭で絶賛された前作『パーク』、そして彼の友人であり敬愛するウジェーヌ・グリーンの『ジョゼフの息子』を、監督自身たっての願いで同時上映する。
新作ベスト・セレクション2013-2017

『さよならは言わない』(Sans Adieu de Christophe Agou)
フランス/2017年/カラー/99分/デジタル/日本語字幕
監督:クリストフ・アグ

フランス南部マッシフサントラルの東、フォレズの農場で75歳になるクローデットは尊厳を保つため、彼女にとっては受け入れがたく、またその変化についていくのが難しくなった社会と闘っていた。現代社会は毎日少しずつより多く彼女の土地や家畜、また隣人たちの土地や家畜をむさぼっていた。2017年カンヌ国際映画祭ACID部門で注目されたドキュメンタリー。

「クリストフ・アグの視線にはまったく郷愁的なものはなく、世界についての歌と政治的現状が出会う場としてドキュメンタリー作品を構築している。」ルイ・セギャン「カイエ・デュ・シネマ」

「それによって人間の感情のカオスと不調和が流れ込んでくるような忘れられない仕草が奇跡的にとらえられた偉大な映画。」マチュー・マシュレ(「ル・モンド」)
『ソルフェリーノの戦い』(La Bataille de Solférino de Justin Triet)
フランス/2013年/94分/カラー/デジタル/英語字幕
監督:ジュスティーヌ・トリエ
出演:レティシア・ドッシュ、ヴァンサン・マケーニュ、アルチュール・アラリ

2012年5月6日、大統領選の第二回投票を取材するテレビリポーターのレティシアのもとに、元夫のヴァンサンが娘たちに会いに押しかけて来て...さぁ、戦いが始まった!実際に大統領選が行われている現場で、現在のフランス映画でもっとも輝いているレティシア・ドッシュとヴァンサン・マケーニュ共演で撮られたJ・トリエの処女長編。
『ヴィクトリア』(Victoria de Justin Triet)
フランス/2016年/97分/デジタル/カラー/日本語字幕
監督:ジュスティーヌ・トリエ
出演:ヴィルジニー・エフィラ、ヴァンサン・ラコスト、メルヴィル・プポー

弁護士のヴィクトリアは出席した結婚式で、昔の友人ヴァンサンと、以前担当した薬物事件の依頼人サムに再会する。ヴァンサンはその晩、恋人の殺害未遂容疑で逮捕され、仕方なく弁護を引き受けたヴィクトリアだったが、元夫の迷惑行為に対応したり、なぜかサムを住込みのベビーシッターとして雇うことになったり、数々の波乱が巻き起こる...。人気沸騰中の女優ヴィルジニー・エフィラ(『ELLE エル』、『大人の恋の測り方』)が仕事、家庭、恋愛の間で、自分の生き方を模索する現代的女性を魅力的に演じ、新世代の注目株ヴァンサン・ラコストもその魅力を十二分に発揮、さらにメルヴィル・プポーが油断のならない二枚目中年役を好演。監督は『ソルフェリーノの戦い』の女流監督ジュスティーヌ・トリエとなればただのドタバタコメディではありません。本国でも大ヒットの恋愛コメディ!
『フランスでの日々』(Jours de France de Jérôme Reybaud)
フランス/2016年/カラー/141分/デジタル/英語字幕
監督:ジェローム・レイボー
出演:パスカル・セルヴォ、アルチュール・イグアル、ファビエンヌ・ベイブ、ナタリー・リシャール、レティシア・ドッシュ

ある朝早く、ピエールはポールの元を去った。ピエールは自分のアルファ・ロメオで草原や山を特に行く宛てもなく駆け回り、フランスを横断する。ピエールはグラインダーというナンパにうってつけの場所を教えてくれるアプリを使い、ポールはこのアプリを頼りにピエールを追いかけていた。4泊4日の出会いの日々、彼らは再会を果たせるのだろうか?

「この作品はフランス映画の中で『独りでもあり、共にもある』。(...)そうした意味で、本作は登場人物たちにもその可能性を与えている、つまり孤独をよき仲間にすることを。」ジョアキム・ルパスティエ「カイエ・デュ・シネマ」

「『フランスでの日々』は低予算で撮られたロード・ムーヴィーながら非常に野心的な作品であり、各々のシチュエーションがふたりの人物のデュオの形でのみ作られていくのだが、そのふたりは2分前には見知らぬ人物たちであるか、長い間会うことも、話すこともなかったふたりの間でそうしたやり取りが行われるのだ。」ディディエ・ペロン、「リベラシオン」
『レット・ザ・サンシャイン・イン』(Un beau soleil intérieur de Claire Denis)
フランス/2017年/95分/デジタル/日本語字幕
監督:クレール・ドゥニ
出演:ジュリエット・ビノシュ、グザヴィエ・ボーヴォワ、フィリップ・カトリーヌ、ニコラ・デュヴォシェル、ジェラール・ドパルデュー

離婚し、シングルマザーのイザベルは愛を探している、真実の愛を。

「(小説家の)クリスティーヌ・アンゴと共同で書かれた本作はドゥニの中でも最も饒舌で、最も笑いを誘う作品となっている」ジャン=セバスチャン・ショーヴァン 「カイエ・デュ・シネマ」
『イスマエルの亡霊たち』(Les Fantômes d'Ismaël d'Arnaud Desplechin)
フランス/2017年/カラー/135分/デジタル/日本語字幕
監督: アルノー・デプレシャン
出演:マチュー・アマルリック、マリオン・コティヤール、シャルロット・ゲンズブール、ルイ・ガレル、ラズロ・サボー

映画監督のイスマエルは、外交官の弟イヴァンを題材にスパイ映画を準備中だ。イスマエルはシルヴィアという恋人がいるが、若い頃に突然失踪した元妻のシルヴィアの記憶に取り憑かれている。ある日、そのシルヴィアが突然彼らのもとに現れる...。

「結局のところ、僕の前作『あの頃エッフェル塔の下で』との違いは『イスマエルの亡霊』がノスタルジーに抵抗している、ということです。重要なのは、現在だけなのです。ここと今。各々が絶えず新しい人生を再び考え出し、自分のために再び作り出すこと。撮影の間に私たちを宿した映画の中には、つまり、ノスタルジーの拒否があるのです。」アルノー・デプレシャン
『グッド・タイム』(Good time de Josh & Benny Safdie)
アメリカ/2017年/カラー/100分/デジタル/日本語字幕
監督:ジョシュ&ベニー・サフディ 出演:ロバート・パティンソン、ベニー・サフディ、ジェニファー・ジェイソン・リー、バーカッド・アブディ

コニーとニックの兄弟は銀行を襲った。兄のコニーは逃げ切ったが、知的障害を持つ弟のニックはつかまってしまう。コニーはニックの保釈金一万ドルを何とかかき集めようとするが、残されたもうひとつの選択肢は脱走させることだった。ニューヨークの最下層で生きる兄弟の長い夜が始まった...。

「『グッド・タイム』は率直でダイレクトで、緊張感を持って撮られていながら、また多くの側面を持ち合わせてもいる作品だ。」ジョアキム・ルパスティエ「カイエ・デュ・シネマ」
『ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択』(Certaines Femmes de Kelly Reichardt)
アメリカ/2016年/カラー/106分/DVD/日本語字幕
監督:ケリー・ライヒャルト
出演:ローラ・ダーン、クリステン・スチュワート、ミシェル・ウィリアムズ、リリー・グラッドストーン

アメリカ北西部モンタナの小さな町で生活する4人の女性。厄介なクライアントに振り回される弁護士のローラ、新居の建設のことしか頭にないジーナ、弁護士をしながら夜間学校で市民向けに法律を教えるエリザベス、牧場で孤独に馬と向き合うジェイミー。それぞれ懸命に生きる彼女たちのたどり着く先は...。

「別々に撮られながらも、同じ空間、同じ美学、同じ演出によって幾人かの登場人物たちによって結び付けられた心揺さぶる3つのストーリー。」ニコラ・アザルベール、「カイエ・デュ・シネマ」

「複数の、現代的な女性たちを描く『ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択(原題:幾人かの女性たち)』は穏やかなる『OK牧場の決斗』、あるいは素晴らしいローファイのカントリーのアルバムを思い起こさせる。」セルジュ・カガンスキー、「レザンロキュプティーブル」




第21回 カイエ・デュ・シネマ週間について、皆様のご意見・ご感想をお待ちしております。
なお、ご投稿頂いたものを掲載するか否かの判断については、
OUTSIDE IN TOKYO 編集部の判断に一任頂きますので、ご了承ください。





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