シネマ・ノーヴォ特集



一昨年の「ジョアキン・ペドロ・デ・アンドラーデ監督特集」、今年5月の「ネルソン・ペレイラ・ドス・サントス監督特集2010」(共にアテネ・フランセ文化センター)で着火したシネマ・ノーヴォ再評価の火がまだメラメラと燃え盛っている。まさに"怪作"というべき『マクナイーマ』も面白いが、ネルソン・ペレイラ・ドス・サントス監督の名作『リオ40度』は、シネマ・ノーヴォの発火点とされる最重要作品、日本初公開となるクラウベル・ローシャ監督『切られた首』も併せて、是非この機会にお見逃し無く! 

<以下、リリースより転用>
50~60年代―それは世界中の映画愛好家たちが新しい潮流を巻き起こした時代。イタリアではネオレアリズムが起こり、フランスではヌーベル・ヴァーグが起こりました。時を同じくして、ブラジルで起こったのがシネマ・ノーヴォです。反ハリウッドモデルを特徴とする映画愛好家たちの一世を風靡した伝説の作品群は、今、世界的に再評価されており、ヴェネチア映画祭やニューヨーク映画祭でデジタル修復による回顧上映も行われました。その個性的な作風が世界的に注目を浴びているシネマ・ノーヴォ。なかでも、特に代表的な3人の映画作家たちによる計5作品をこのたび『シネマ・ノーヴォ特集』と称して一挙上映することとなりました。
2010.11.29 update

 

Jaquim Pedro de Andrade ジョアキン・ペドロ・デ・アンドラーデ
1932年、リオデジャネイロ生まれ。大学で物理学を専攻するが、在学中にシネクラブを立ち上げ、映画の上映、批評、自主製作活動を行う。2本の短編ドキュメンタリーを監督した後、61年にシネマ・ノーヴォの象徴的作品として知られる「five times favera」の一篇、『キャット・スキン』を監督。長編第二作にあたる『マクナイーマ』は批評、興行面双方で成功を収め、その後も劇映画、ドキュメンタリーの双方で活躍するが、56歳の若さでガンのため死去。

Nelson Pereira dos Santos ネルソン・ペレイラ・ドス・サントス
1928年、サン・パウロ生まれ。サン・パウロ法科大学に学び、弁護士、ジャーナリスト、 映画評論家、助監督を経て、リオのスラムを舞台にした「リオ40度」(56年)で長篇監督デビュー。本作は後に、新しいブラジル映画(シネマ・ノーヴォ)の先駆的作品とみなされるようになる。

Glauber Rocha グラウベル・ローシャ
1938年、北東部バイーア州生まれ。監督になる前は映画評論家として活躍。シネクラブ を中心とする文化活動の中心人物でもある。ネルソン・ペレイラの『乾いた人生』に協力 し、62年『バラヴェント』で監督デビュー。次回作『黒い神と白い悪魔』('64)によってシネマ・ノーヴォの代表的な監督の一人となる。
2010年12月4日(土)~24日(金)
会場:シアター・イメージフォーラム
当日料金:一般 1,500円/学生 1,200円/中高シニア 1,000円
前売鑑賞券発売:特別鑑賞共通券1回券 1,300円/回数券(5回券)5,500円
劇場窓口にてお買い求めの方に限り、西山カルロスさとし氏作"特製キャラクターシール"プレゼント!尚、回数券は劇場窓口のみにて販売。
公式サイト:http://espace-sarou.co.jp/macnovo/
上映スケジュール
12月4日(土)~6日(月)
13:15
リオ40度
(100分)
15:30
マクナイーマ
(105分)
17:45
マクナイーマ
(105分)
20:00
マクナイーマ
(105分)
12月7日(火)~10日(金)
13:15
乾いた人生
(105分)
15:30
マクナイーマ
(105分)
17:45
マクナイーマ
(105分)
20:00
マクナイーマ
(105分)
12月11日(土)~13日(月)
13:15
夫婦間戦争
(88分)
15:30
マクナイーマ
(105分)
17:45
マクナイーマ
(105分)
20:00
マクナイーマ
(105分)
12月14日(火)~17日(金)
13:15
切られた首
(94分)
15:30
マクナイーマ
(105分)
17:45
マクナイーマ
(105分)
20:00
マクナイーマ
(105分)
12月18日(土)~24(金)
13:15
マクナイーマ
(105分)
15:45
マクナイーマ
(105分)
18:15
マクナイーマ
(105分)
上映プログラム

(C) FILMES DO SERRO
『マクナイーマ』[デジタルリマスター版]
1969年/105分/カラー
監督:ジョアキン・ペドロ・デ・アンドラーデ
原作:マリオ・デ・アンドラーデ
撮影:ギド・コズリッチ
美術:アントニオ・メデイロス
出演:グランデ・オテロ、パウロ・ジョゼ、ディナ・スファト、ミルトン・ゴンサルヴェ 

アマゾンの密林に響き渡る産声。老婆から産まれ出でしは中年男の姿をした赤子。男は不運を呼ぶという"マクナイーマ"と名づけられる...
『リオ40度』
1956年/100分/モノクロ
監督・原作・脚本:ネルソン・ペレイラ・ドス・サントス
撮影:エリオ・シルヴァ
出演:ジェゼ・ヴァラダン、グラウセ・ローシャ、ロベルト・バタリン 

灼熱のリオ。カブスの丘のスラムに暮らす5人のピーナッツ売り少年を中心に、金と欲の力関係に翻弄される人間たちの姿を縦横無尽に交錯させた、都市生活者のタペストリー。ネオレアリスモなどに影響を受けつつ、政治状況への積極的な加担と連帯への希望を表明したこの作品は、新しいブラジル映画(シネマ・ノーヴォ)の到来を告げることになった。

『乾いた人生』
1963年/105分/モノクロ
監督・脚本:ネルソン・ペレイラ・ドス・サントス
原作:グラシリアーノ・ラモス
撮影:ジョゼ・ローサ、ルイス・カルロス・バレット
製作:エルベルト・リッシャー
出演:アッチラ・イオリオ、マリア・リベイロ、オルランド・マセード

干ばつのために難民生活を強いられたファビアーノ一家。ようやく見つけた農場での生活も、権力者の搾取と横暴からは逃れられない。そして、新たな干ばつが一家をふたたび「地獄」へと突き落とした。ブラジル東北部(ノルデスチ)の内陸に生きる零細農民の苛酷な現実を、地を這うような目線でドキュメンタリー・タッチに描く。

『夫婦間戦争』[デジタルリマスター版]
1975年/88分/カラー
監督・脚本:ジョアキン・ペドロ・デ・アンドラーデ
原作:ダウトン・トレヴィザン
撮影:ペドロ・デ・モラエス
音楽:イアン・ゲスト
出演:クリスティーナ・アシェー、リマ・ドゥアルチ、イタラー・ナンディ、カルロス・グレゴリオ 

ブラジル南部の街クチバを舞台に3つの物語(クライアントの女性を誘惑しようとする弁護士、究極の快楽を与えてくれる女性を探す男、そして諍いを繰り返す初老の夫婦)が並行して語られる。艶笑コメディの形式をとりつつ、ブラジル社会を鋭く批評した作品。
『切られた首』※日本未公開作品
1970年/94分/カラー
監督・原案・脚本:グラウベル・ローシャ
撮影:ハイメ・デウ・カサス
美術:ファビアン・プレイグセルペル
音楽:スペインの民謡
出演:フランシスコ・ラバル、ピエール・クレマンティ、マルタ・メイ、ローザ・マリア・ペンナ 

とある第三国の城の中、ディアスは狂乱的に仮想国(エルドラド)の権力者になることを夢見るが、 地元の原住民や労働者農民たちから猛烈に反発をうけていた。ある日彼の元に奇跡を起こす羊飼いが現れる。 羊飼いはディアスを魅了し脅し続ける。反発者たちの脅威を危険を察知したディアスは、ある日、 まるで純潔の象徴ともいうべき美しい田舎娘を見つけ、彼女を監禁し自分の葬式を行おうとするが・・・。


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