<再開!>第2回 映画批評月間 ~フランス映画の現在をめぐって~

東京都の緊急事態宣言を受け、新型コロナ感染拡大防止のため中断していた「第二回映画批評月間」がアンスティチュ・フランセ東京で再開されようとしている。
中断前の内容を引き継いで開催される、オリヴィエ・ペール氏セレクションによる「第二回映画批評月間」では、現代フランス映画の中でも多彩なフィルモグラフィーで異彩を放つセルジュ・ボゾン監督の作品群、2019年8月に惜しくもこの世を去ったカルト的映画作家ジャン=ピエール・モッキーの追悼特集が予定されている。『ジャン・ドゥーシェ、ある映画批評家の肖像』上映後に予定されているトークショーも、その顔ぶれに期待が膨らむ。
腐敗した政治権力とコロナ禍の生活で深い霧に覆われたような日々を過ごしているように感じる今の東京でも、光りを探る術はまだ残されているはずだ。現実と虚構の世界が互いに影響しあうさまを見事に描いたスピルバーグの傑作『レディー・プレイヤー1』にならって、鬱屈した日常に生の活力を取り戻すべく、還ってきた映画館の暗闇に今再び沈み込みたいと思う。
(上原輝樹)
※オリヴィエ・ペール氏によるジャン=ピエール・モッキーについての講演全文が以下に採録されています。
「ジャン=ピエール・モッキーと奇跡の小径」
2020.7.7 update
7月9日(木)~8月2日(日)
会場:アンスティチュ・フランセ東京 エスパス・イマージュ
公式サイト:https://www.institutfrancais.jp/tokyo/agenda/cinema20200709/

【上映について】
1回の上映につき、他の方と座席ひとつ間隔を空けてのご案内になります。そのため定員数が通常の50%程度になります。
上映会場内は、上映の合間に換気を行っております。
料金:一般:1200円 学生:800円 会員:500円
チケットはPeatix(https://ifjtokyo.peatix.com/)にて順次発売。記載のプログラムについて当日券の販売はございませんのでご注意ください。
開場時間:15分前
整理番号順の入場とさせていただきます。また、上映開始10分後以降の入場は、他のお客さまへの迷惑となりますので、固くお断りいたします。

【感染予防 ご協力のお願い】
アンスティチュ・フランセ東京では、すべての人にとって安心できる環境を確保するため、感染症対策として以下の入館要件の遵守をお願いしております。
・マスクの着用義務
・無症状であること。目安となる症状:37.5度以上の発熱、乾いた咳、強い倦怠感、くしゃみ、息切れ、消化器不調など
また、アンスティチュ館内では、こまめな手洗いと社会的距離の保持などの感染症対策が強く推奨されます。これらの慣行を奨励及び促進するために、アンスティチュ・フランセ東京では、以下の措置を実施いたします。
・共用部分(建物の入口、入口ホール、教室、トイレ)における手指消毒用アルコール液の設置
・共用部分(廊下、入口ホール、階段)における進行方向の標示
・入口ホールや教室前の混雑を避けるため、対人間隔を確保した待合場所の設置(一階ならびに二階のギャラリースペース)
・共用部分および不特定多数の人が触れる表面の清掃の強化、換気の徹底
アンスティチュ・フランセ東京のすべての職員はマスクを着用し、受付等では安全にお客様を応対するために窓口に透明の仕切り板を設置しました。

みなさまのご協力のほど、何卒よろしくお願いいたします。
上映スケジュール

<アンスティチュ・フランセ東京>
7月9日(木)
16:45
今晩おひま?
(78分)
19:00
見えない太陽
(102分)


7月10日(金)
16:15
アリスと市長
(105分)
19:00
今晩おひま?
(78分)
上映前にクレモン・ロジェによる作品紹介あり。
7月18日(土)
12:00
今晩おひま?
(78分)
14:30
奇跡にあずかった男
(87分)


17:00
赤いトキ
(80分)




7月19日(日)
11:15
言い知れぬ恐怖の町
(92分)
14:00
赤いトキ
(80分)
上映前にクレモン・ロジェによる作品紹介あり。
17:00
ジャン・ドゥーシェ、ある映画批評家の肖像
(85分)
アフタートークあり(ゲスト:廣瀬純、岡田秀則、須藤健太郎)

7月30日(木)
16:15
言い知れぬ恐怖の町
(92分)

19:00
奇跡にあずかった男
(87分)
7月31日(金)
16:15
赤いトキ
(80分)

19:00
奇跡にあずかった男
(87分)
8月1日(土)
17:00
言い知れぬ恐怖の町
(92分)

8月2日(日)
10:45
ジャン・ドゥーシェ、ある映画批評家の肖像
(85分)
14:00
アリスと市長
(105分)
17:00
見えない太陽
(102分)

上映プログラム

2019年ベストセレクション アルテ共同製作作品
アルテ・フランス・シネマ(Arte France Cinéma)
アルテ(Arte、Association Relative à la Télévision Européenne)は、1992年5月30日に開局したドイツとフランスの共同出資によるテレビ局で、フランス語およびドイツ語で放送。アルテ・シネマ・フランスは同局の映画部門。1990年、プロデューサーのピエール・シュヴァリエが同テレビ局で良質のテレビプログラム・映画作品を製作すべくセット=アルテからセット・シネマを立ち上げた。2000年にセット=シネマは新たにアルテ・フランス・シネマに。アサイヤス、アケルマン、クレール・ドゥニらがそれぞれ自らの思春期について撮ったシリーズ「彼らの時代のすべての少年、少女たち」はシュヴァリエによる企画。創立以来、アルテ・フランス・シネマは良質なプログラムを提供し、新しい才能を支援し、ヨーロッパのみならず世界中のクリエーションに活力を与えることをその役割としている。2012年より、オリヴィエ・ペールがディレクターに就任。ワン・ビン、ジャ・ジャンクー、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン、アリーチェ・ロルヴァケル、マルコ・ヴェロッキオ、ラヴ・ディアス、黒沢清ほか数多くの作家たちの作品を製作支援している。

©2019 Bac Films Distribution All rights reserved
『アリスと市長』(Alice et le Maire de Nicholas Pariser)
フランス/2019年/105分/カラー/デジタル
監督:ニコラ・パリゼール
出演:ファブリス・ルキーニ、アナイス・ドゥムースティエ、ノラ・ハムザウ ほか

リヨンの市長ポール・テラノーは、「考え」が一切浮かばなくなり、若き哲学者アリスに助けを求めることに。『木と市長とメディアテーク』では高校教師を揚々と演じたルキーニが26年後、まさにロメール的コメディで、燻し銀の魅力で老いとともに人生を見つめ直す市長を演じる。そして、大きな瞳と溌剌とした魅力で、観客の心を捉える人気の若手女優、ドゥムースティエ演じる哲学者との真摯で、遊戯に満ち、心打たれる対話によって、互いに「思考」を、そして「人生」を取り戻していく。第72回カンヌ国際映画祭監督週間出品。
©Curiosa Films ? Bellini Films ? Arte France Cinema
『見えない太陽』(L'Adieu à la nuit d'André Techiné)
フランス=ドイツ/2019年/102分/カラー/デジタル
監督:アンドレ・テシネ
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ケイシー・モッテ・クライン、ウーヤラ・アマムラ ほか

2015年春。地方で牧場や農場を営むミュリエルは、久しぶりに帰ってきた孫息子アレックスとの再会に心躍らせる。しかしアレックスがイスラム教に入信し、しかもその教団がシリアのイスラム教テロリストたちとつながりがあり、アレックス自身もシリアに向かおうとしていることを知ったミュリエルはなんとか彼を引きとめようとするのだが......。ドヌーヴがもっとも信頼を置くと明言している名匠アンドレ・テシネとの8本目の本作で、つねに目の前の対象に開かれ、その度に繊細な演技をみせてきた大女優の魅力が最大限に引き出されている。

DVD発売中:KKDS-891 4,800円(税抜)
発売元:ビターズ・エンド、ミッドシップ 販売元:紀伊國屋書店
©memento films
『カブールのツバメ』(Les Hirondelles de Kaboul)
フランス=ルクセンブルク=スイス/2019年/82分/カラー
監督・脚本:ザブー・ブライトマン&エレア・ゴべ・メヴェレック ほか
声の出演:ジタ・アンロ、スワン・アルロー、シモン・アブカリアン、ヒアム・アッバス

1998年夏、アフガニスタンのカブールはタリバン勢力の支配下に。
ズナイラとモーセンのカップルは、暴力と悲惨な現実の中でも希望を持ち続けていたが、ある行動が災いし...。大文字の歴史の中で翻弄される夫婦や恋人たちの日常のささやかなやり取り、感情が繊細に描かれ、心を打つ傑作アニメーション。スワン・アルローら、フランスで現在人気上昇中の俳優たちが声で出演している。

2019年カンヌ国際映画祭ある視点部門コンペティション出品。

Olivier Père オリヴィエ・ペール
1971年フランス生まれ。ソルボンヌ大学で文学を学んだ後、シネマテーク・フランセーズで、シネマテークの上映プログラムの企画に携わる。その一方で、「レ・ザンロキュプティーブル」誌などで映画批評を執筆。2004年から2009年まで、カンヌ国際映画祭監督週間のディレクターを務め、2008年から2012年までロカルノ国際映画祭のアーティスティック・ディレクターを務めた。同映画祭のディレクション中、富田克也の『サウダージ』、三宅唱の『Playback』などがコンペティションに選ばれ、2012年には青山真治に金豹賞(グランプリ)審査員特別賞が贈られた。2012年以降はアルテ・フランス・シネマのディレクターを務め、フランスをはじめ、世界中の映画作家の作品を支援し、共同製作している。またアルテのサイトにて定期的に映画評も執筆し続けている。
セルジュ・ボゾン特集

©Les Films Pelleas
『モッズ』
(Mods)
フランス/2003年/60分/カラー/35ミリ
*英語字幕・日本語同時通訳
出演:シルヴィー・テステュー、パスカル・グレゴリー、ギョーム・ドパルデュー、ジャン=クリストフ・ブーヴェ、ギョーム・ヴェルディエ、フランソワ・ネグレ、ピエール・レオン

大学のキャンパス、そこに病におかされた学生がいる。彼の兄弟であるふたりの兵士が救いにやってくる。自分達に似ることのないこの世界で居場所がない我らが二人の兵士達はそこで様々な人々と出会い、驚きを重ね、病気の弟が残した記憶や、他の場所から聞こえてくる噂、あるいは何処からか聞こえてくる歌に耳を傾ける。
©DR
『フランス』
(La France)
フランス/2007年/102分/カラー/35ミリ
*英語字幕・日本語同時通訳
出演:シルヴィー・テステュー、パスカル・グレゴリー、ギョーム・ドパルデュー、ジャン=クリストフ・ブーヴェ、ギョーム・ヴェルディエ、フランソワ・ネグレ、ピエール・レオン

1917年秋。第一次世界大戦の戦火が最も激しくなった頃、若いフランス人女性カミーユは戦地から届く夫の便りのみを待つ日々を送っていたが、ある日、別れの手紙を受け取る。彼女は深く動揺し、愛する夫に会うため、男に変装し危険に満ちた旅に出ようと決意する。その旅の途中で出会った、奇妙な連隊に加わる。彼らは時に、その場でこしらえた楽器を演奏し、ポップ・ソングを歌う。

「古典的映画の中で、登場人物たちが歌う歌は必ずしも史実に基づいて選ばれたものではありません。『リオ・ブラボ-』でのリッキーのように。」セルジュ・ボゾン
©DR
『ティップ・トップ ふたりは最高』(Tip Top)
フランス=ルクセンブルク/2013年/107分/カラー/デジタル
出演:イザベル・ユペール、サンドリン・キーベルラン、フランソワ・ダミアン ほか

フランス北部でアルジェリア系の情報屋が殺された。その情報屋は、地域のドラッグの密売に関わっていたが、警察署内部を探るため、ふたりの女性監察官、エスターとサリが派遣された。ひとりは殴りこみをかけ、もうひとりは覗き見る...そう、ふたりは最高のコンビ!

「ボゾンはかつてゴダールが取った方法を応用してみせる。犯罪映画を口実にまったく別のものを語ること。では本作では何が語れているのか、おそらく傑出した前作のタイトルの中にその答はあるだろう、つまり『フランス』である」。オリヴィエ・ペール
©Les Films Pelleas
『マダム・ハイド』(Madame Hyde)
フランス/2017年/96分/カラー/デジタル
出演:イザベル・ユペール、ロマン・デュリス、ジョゼ・ガルシア ほか

パリ郊外の高校に勤める内気な物理学の女性教師ジキルは生徒たちから見下されている。ある日、彼女は、実験中に失神し、神秘的で危険な力を感じるようになる。スティーヴンソンの代表作『ジキル博士とハイド氏』を、19世紀後半のブルジョワ社会ではなくパリ郊外、現在を舞台に、また男性ではなく女性を主人公に、自由に脚色されたボゾンの最新作。

「トリュフォーが『野生の少年』で試みたように、学ぶということを映画でどう描くか、教育の重要性、難しさを見せたかった。そのため、冒頭で主人公はまだにそこに至っておらず、ふつうの方法では変えられない状況にいる。そこにスティーヴンソンが介入してくるわけだ。」セルジュ・ボゾン

Serge Bozon セルジュ・ボゾン
1972年、フランスのエクス=アン=プロヴァンス生まれ。1988年に初長編作『友情』を発表。次作のミュージカルコメディ『モッズ』(2003年)でベルフォール国際映画祭にてレオ・シェア賞を受賞、その他30以上の国際映画祭にノミネートされる。第一次世界大戦を描いたシルヴィー・テステュー主演の『フランス』(2007年)でジャン・ヴィゴ賞を受賞。その後、イザベル・ユペール、サンドリン・キーベルラン、フランソワ・ダミアン出演によるコメディ『ティップ・トップ ふたりは最高』(2013年)を発表、カンヌ国際映画祭の監督週間にて上映。さらにイザベル・ユペール主演の最新作『マダム・ハイド』では、第70回ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門に選出、ユペールは本作で主演女優賞受賞。また監督以外にも映画批評家、俳優としても活躍している。
ジャン=ピエール・モッキー特集

© M. Films
『今晩おひま?』(Les Dragueurs)
フランス/1959年/78分/モノクロ/デジタル
出演:ジャック・シャリエ、シャルル・アズナブール、ダニー・ロバン、アヌーク・エーメ ほか

土曜日の夕暮、フレディとジョゼフは、セーヌ河岸で偶然出会い、女の子を「ひっかけに」街に繰り出す。二十歳の装飾家でプレイボーイのフレディは「理想の女性」を探し求めている。かたやまじめな銀行員ジョゼフは妻を見つけ、家庭を持つことを望んでいる。アンバリッド、サン=ジェルマン=デ=プレ、シャンゼリゼ通り、モンマルトル、彼らは、様々な女性たちと出会い、彼女たちの人生を垣間見ることに。29歳のジャン・ピエール・モッキーが自伝的な要素を交え、ささやかなテーマながら大胆な作風で、ほとんどロケで撮り上げた処女作。日本で公開された唯一のモッキー監督作品でもある。
© M. Films
『言い知れぬ恐怖の町』(La Cité de l'indicible peur)
フランス/1964年/92分/モノクロ/デジタル
出演:ブールヴィル、フランシス・ブランシュ、ジャン・ポワレ、ヴェロニク・ノルデー ほか

逃亡した偽札偽造者の捜索に乗り出したシモン・トリケ警部は、オーヴェルニュ地方の想像の村、バルジュにたどり着くのだが、そこには摩訶不思議な住民たち、出来事があふれていた......。ベルギーの幻想小説家ジャン・レーの原作を自由に、幸福感と繊細さとともにモッキーが映画化。モッキー作品にかかせない俳優のひとり、ブールヴィルが風変わりな警部役を魅力一杯に演じている。撮影はラング、オフュルス、ロッセンらの作品も手がけた偉大なカメラマン、オイゲン・シュフタン。製作当時あまりにも「とっぴな」作品とされ再編集を強いられたこの傑作「詩的幻想映画」を、今回は監督自ら「ディレクター・カット」として蘇らせたバージョンで上映!
© M. Films
『赤いトキ』(L'Ibis rouge)
フランス/1975年/80分/カラー/デジタル
出演:ミシェル・セロー、ミシェル・シモン、エヴリーヌ・バイル ほか

孤独な会社員ジェレミーは赤いマフラーで次から次に女性たちを絞め殺してきた。同じ界隈に住み、賭博好きレーモンは、借金を返済するために愛する妻のエヴリーヌに宝石を売るよう頼む。そんなふたりが出会い、ある計画が立てられることに......。

「フレドリック・ブラウンの推理小説『3、1、2とノックせよ』から着想を得た本作は、ファンタスティックかつポエティックにフランス社会を描いたモッキーの代表作のひとつ。本作が遺作となった偉大な俳優ミシェル・シモンへのオマージュでもあり、サン=マルタン運河沿いで多く撮られていることもあり、とりわけ『素晴らしき放浪者』や『アタラント号』の記憶が蘇ってくる。」オリヴィエ・ペール
© M. Films
『奇跡にあずかった男』(Le Miraculé)
フランス/1986年/87分/カラー/デジタル
出演:ミシェル・セロー、ジャンヌ・モロー、ジャン・ポワレ

非合法すれすれでなんとか暮らす気ままなパピュは、、保険金欲しさに事故で足が麻痺したと偽り、献身的な元娼婦のサビーヌを引き連れてルルドへと偽の治癒旅行に出発するが......。

「社会風刺、反聖職者主義的劇画を超えて、不条理で詩的なアイディアで溢れる驚くほど豪快な本作で、モッキー映画の常連、セローとポワレがミスキャストをおおいに楽しんでいるように見える。優雅な俳優ポワレが小汚く下品な浮浪者、セローは滑稽で口のきけない保険業者を演じ、まるでサーカスの演目を見ているようだ(...)。モッキーは、この縁日のような作品で多種多様な人々をこれまで以上に鮮やかに浮かび上がらせてみせる。」オリヴィエ・ペール

Jean-Pierre Mocky ジャン=ピエール・モッキー
1933年ニース生まれ。長編だけでも67本の作品を監督し、フランス映画の中でもどこにも分類できない、ユニークな映画作家。法律の勉強を終えた後、フランス国立高等演劇学校に入学後すぐ、舞台、映画界の両方でその美貌と才能で一気に若手俳優として頭角を現す。ルキノ・ヴィスコンティ監督作『夏の嵐』で助監督を務め、その後、脚本を書き、自ら監督を希望した『壁にぶつかる頭』(1958年)は結局、ジョルジュ・フランジュが監督し、主演することに。1959年にようやく処女長編作『今晩おひま?』を監督し、商業的、批評的に成功を収める。「ヌーヴェルヴァーグの従弟」のような作品と評されるが、風刺的でメランコリック、そして類をみない反体制的な作風でほかとは一線を画し、メインストリームから外れた場所で、自由に映画を撮り続ける。ラブコメディから風刺的コメディ、あるいは犯罪映画や軍隊もの、政治的作品から幻想的な作品まで、ひとつのジャンルにおさまることなく、慣例化された制度、価値には反旗を翻し、アナーキーな世界観や荒々しいまでのユーモアを一本ごとに刻印してきた。そうしたモッキーの魅力は多くのスター俳優たち、フェルナンデル、ミシャル・シモン、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジャンヌ・モローを引きつけ、彼の作品に出演している。名優ブールヴィル、ミシェル・セローとは特に多くの作品でタッグを組んできた。2019年8月8日逝去、享年86歳。
ジャン・ドゥーシェ追悼

© 2017 KIDAM-CARLOTTA FILMS. Tous droits reserves.
『ジャン・ドゥーシェ、ある映画批評家の肖像』
(Jean Douchet, l'enfant agité de FabienHagege, Vincent Haasser, Guillaume Namur)
2017/85分/カラー/デジタル/フランス語/日本語字幕
監督:ファビアン・アジェージュ、ギヨーム・ナミュール、ヴァンサン・アセール

2019年11月に90歳で他界したフランスの偉大なる映画批評家ジャン・ドゥーシェ。彼は50年以上前から映画批評家として世界中を旅してきた、映画についての伝道師、「渡り守(パサール)」である。その類まれなる知性、教養、ユーモアによって、映画作家や映画ファンたちに影響を与えてきた。ある晩、三人の仲間たちがドゥーシェと出会い、彼の話にすぐさま魅惑され、ジャン・ドゥーシェという謎も多い男との特権的な関係を持ち始める。

「ジャンは映画の意味を目覚めさせる術を知っている。映画の送ってくる手紙を読み解くように。そして美への思い、配慮する気持ちがジャンをここシネマテークや、他の多くの映画館へと足を運ばせたのです。」アルノー・デプレシャン




<再開!>第2回 映画批評月間 ~フランス映画の現在をめぐって~について、皆様のご意見・ご感想をお待ちしております。
なお、ご投稿頂いたものを掲載するか否かの判断については、
OUTSIDE IN TOKYO 編集部の判断に一任頂きますので、ご了承ください。





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