OUTSIDE IN TOKYO
ANG LEE INTERVIEW

アン・リー『ウッドストックがやってくる!』オフィシャル・インタヴュー

3. フェスティバルに行った経験もないからLSDもやったことがない(笑)

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──ロック・フェスには行かれたことがありますか?
ないんだ。唯一行ったことがあるといえば、セントラル・パークで開催されたサイモン&ガーファンクルの再結成の時だけ。フェスティバルに行った経験もないからLSDもやったことがない(笑)。言うのも恥ずかしいけれど!

──音楽はお好きですか?
若い頃はクラシックに傾倒していたんだ。僕はあんまりヒップなタイプじゃないんだよね。耳に入ってくる音楽は聴くという平均的なタイプだね。特にカッコいい人間じゃないんだ(笑)! でも映画作りはまた別のもの。もっと入り込んで、いろんなものを学ばなきゃいけない。映画を完成させたあと、作品について語らなきゃいけないことがあるじゃない。苦々しいことなんだけど、リサーチしたことを本当に覚えてないんだ。終わったら端から忘れてしまうんだよね。

──撮影時の印象に残るエピソードを教えて下さい。
演劇集団のアースライト・プレイヤーズのシーンにふさわしい納屋を探していて、その探索はやっとニューハンプシャーで実を結んだんだ。その納屋を分解してロケ地まで運ばせて、再建したんだよ。そして撮影が終了してから、納屋をまたもとの場所に戻したんだ。

──本作のゲイのシーンは、『ブロークバック・マウンテン』(’05)を支持してくれた人に対する感謝の意味があるのでしょうか?
(肩をすくめて)原作にあったんだよ。例えばタイムズ・スクエアの映画館に行くシーンなど、原作のちょっと重いシーンは使わなかった。汚いものもたくさんあったからね! でもそれはウッドストックじゃないし、それは彼(エリオット・タイバー)の人生であって、ウッドストックとは関係がない。だからある種のゲイの部分は軽く描写するにとどめたんだ。彼がゲイだというのは彼の人生のひとつの事実に過ぎない。リーヴ・シュレイバーが演じたキャラクターみたいに。彼がゲイなのか、服装倒錯者なのか、あるいはおかまなのかわからないだろう。彼をカテゴライズすることなんてできない。でも彼はあらゆる点においてとても気楽にしている。それが僕が考えるウッドストックなんだ。

──ウッドストックの思い出は、オバマが大統領になった今日のアメリカに共鳴するものを持っていると思いますか?
そう願うよ。あんまり説教くさくはなりたくないんだけど。ウッドストックに惹かれ、その映画を作ってみんなと共有したいと思う理由はその心理なんだ。そう思うよ。僕は運命や、僕らが意識しないところで動き続けるもっと大きなものも信じている。本当にそう思うんだ。そんなに意識はしてなかったんだけど、そういうものが雰囲気としてあったのは確かだね。

──この映画についてのメッセージをお願いします。
素晴らしいキャストとスタッフのおかげで、ウッドストックのエネルギーとスピリットを感じることができた。この撮影は本当に楽しかったよ! 皆にもきっと楽しんでもらえる映画だと思う。

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