OUTSIDE IN TOKYO
Edmund Yeo INTERVIEW

エドモンド・ヨウ『破裂するドリアンの河の記憶』インタヴュー



2014年第27回東京国際映画祭コンペティション部門で上映された『破裂するドリアンの河の記憶』は、十代の男女の初恋を描く”青春映画”であり、グローバリズムが世界を覆う21世紀の政治問題に正面から向き合った”政治映画”であり、記憶装置としての映画の歴史教育的側面を喚起する”映画についての映画”である。そうした複数のレイヤーを映画に織り込みながらも、あくまでパーソナルな親密さをスクリーンに行き渡らせる長編処女作を撮り上げたエドモンド・ヨウ監督インタヴューをお届けする。

このインタヴューは、時間が合えばエドモンド・ヨウ監督のインタヴューをしたかった、との私の呟きにヨウ監督が反応してくれたことを契機に実現した、メールによるインタヴューを掲載したものです。併せて、10月24日のプレス向け上映後に行われたプレス・カンファレンスの内容も掲載しています。メールインタヴューは、このカンファレンスでのヨウ監督の発言を受けて、質問を始めているので、最初にカンファレンス採録、次にインタヴューという流れをとっています。
カンファレンス採録、インタヴュー、テキスト、(クレジットが明記されている箇所以外の)写真:上原輝樹
※場面写真、及びインスタグラム写真は、エドモンド・ヨウ監督の許可を得て掲載しています。

『破裂するドリアンの河の記憶』プレス・カンファレンス(10/24@TIFF)

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エドモンド・ヨウ(監督):みなさん、こんにちは。私たちは、東京国際映画祭でこの作品を上映出来る事を誇りに思います。東京国際映画祭のコンペティションに招待されたマレーシアの作品としては、今回のこの作品が初めてのことだと思うのですが、とても個人的な映画で、私たちの心の中でも最も身近に感じている作品となっています。インディペンデントな作品なので皆110%の力を注ぎ込んで作ってきた作品です。
ダフネ・ロー(フイ・リン役):こんにちは、私はダフネ・ローです!この映画は色々な“初めて”を作ってくれました。まず、私はこの映画と一緒に初めて日本に来ました。それから、マレーシア映画が東京国際祭映画祭のコンペティションに選ばれるのは初めてのことですね。そして、これはエドモンド・ヨウ監督の初めての長編映画です。本当に東京国際祭映画祭に参加できたこと、こういう映画に参加できたことを光栄なことだと思っています。こんなに素敵なチャンスが与えられたことを本当に嬉しく思います。私は、単純に映画が大好きで、今回の撮影では、スタッフの皆が心をひとつにするという体験をさせて頂きました。最初に監督にお会いして台本を読ませて頂いて、その後の撮影の時も私たちの意見をよく聞いてくださって、とても良い映画になったと思います。
ジョーイ・レオン(メイ・アン役):はじめまして、よろしくお願いします!東京国際映画祭に招待して頂いたことを光栄に思います。まるで夢が叶ったような気持ちです。今回は“メイ・アン”という役柄を演じていたのですけれども、台詞はあまり多くはないのですが、もの凄く感情豊かな役柄だったので、この作品をご覧頂いて、彼女の気持ちに触れて頂ければと思います。そして、この作品はマレーシアのことを語っている作品なので、ご覧頂いた後で、私たち、マレーシアの人間がどのようなことを考えているのか、私たちは常に希望を持っている国民ですから、どういう希望を持っているのか、ということを少しでもご理解頂ければ嬉しいと思います。東京に来ることが出来て本当に嬉しいです。

この映画はほとんど全編が中国語で語られている映画です。そして、この映画は私が初めて出演したアート作品なんです。これまで私が演じてきたのは、ホラーとかスリラーとか、商業的な作品が多かったので、今回はこのような作品に出演させて頂いて、とても嬉しく思いました。実は、この映画は、撮影の時に、ちゃんと脚本もあって、事前に脚本を読んで色々考えてから撮影に臨んだのですが、結局、現場には脚本を持って行かなかったんです。それまでに役作りに励んで役に入っていましたし、現場では私たち、俳優の個性を充分に盛り込んで役柄に反映させて人物を作っていったんです。ですから、とてもリアルな人物が映画の中で表現されています。それから、私たちのチームは皆まとまりが良くて、チームの力で映画を撮って行きました。
シャーン・コー(ミン役):みなさん、こんにちは。私は、映画の中で“ミン”という役をやっていますが、本当に私そのもののような役だと思っています。今回は、自分のキャラクターを反映させるということで、撮影の時に自由を与えられたことをとても感謝しています。“ミン”は学生なのですが、授業もあまり熱心に聞いておらず、女の子の友達を追いかけてばかりいる、ということしか監督からは言われていなくて、あとは自由にやってくれと言われてしまったので、最初はちょっと落ち着かなかったんですが、だんだんと自然に役が自分の中に入ってきて、自分の表現が上手く出来たかなと思っています。そして、結果的にこうして東京国際映画祭に来る事が出来ました。1ヶ月程前なんですけれど、エドモンドが突然やってきて、ちょっと秘密の話があるんだけど、実は東京国際映画祭に選ばれたんだ、と教えてくれて、誰にも言うなよ、と言われました。でもその翌日には、おめでとう!おめでとう!と色々な人から言われて(笑)、全然秘密じゃないじゃないか、って思ったんですが、この作品に参加した事は私にとってもエキサイティングなことでした。撮影を通じてマレーシアの色々な所、キャメロン高原やジョホール、都市部にも高地にも行きました、マレーシアの美しい景観を撮影して、真のマレーシア作品にしたいということで作ってきましたので、この作品をご覧になって、私たちマレーシアの情熱を感じて頂ければ嬉しいです。

『破裂するドリアンの河の記憶』
英題:River of Exploding Durians

監督/脚本/編集:エドモンド・ヨウ
プロデューサー:ミン・ジン・ウー
撮影監督:コン・パフラック
音楽:ウォアン・フーン・ウォン
エグゼクティブ・プロデューサー:エリック・ヨウ
ライン・プロデューサー:ティム・キアン・チェン
録音:ソラヨス・プラパパン
美術:エドワード・ユー・チー・ブーン
衣装/メイク:ケイ・ウォン
撮影補佐 : ヴィンス・チェオン
出演:チュウ・チーイン、シャーン・コー、ダフネ・ロー、ジョーイ・レオン

©Greenlight Pictures ©Indie Works

2014/マレーシア/128分/カラー


第27回東京国際映画祭
『破裂するドリアンの河の記憶』
オフィシャルサイト
http://2014.tiff-jp.net/
ja/lineup/works.php?id=23


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