OUTSIDE IN TOKYO
GUILLAUME BRAC INTERVIEW

ギヨーム・ブラック『宝島』インタヴュー

2. 最初の編集段階では、6時間くらいあったのですが、それを5時間にして、
 4時間にして、最終的には自然に私に合ったこの長さに落ち着きました

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OIT:今回はかなり沢山の撮影フッテージがあったと思いますので、何を残して何を削るのかが相当難しかったのではないかと思います。場合によっては、フレデリック・ワイズマン監督の作品のように3時間、4時間の作品になり得る可能性があったかもしれないものを、監督作品のいつものコンパクトな尺で100分以内に収めています。その中で、70代の男性が若い女性と知り合う話があったり、歳の差のある男女が付き合おうとしているエピソードが残されたりしています。思えば、『やさしい人』(2013)も、ヴァンサン・マケーニュが年下の女性と知り合うことから始まる物語でした。これらのエピソードを残したのは、年齢差を超えた出会いを描くという視点があったのでしょうか?
ギヨーム・ブラック:まず編集についてですが、あなたの仰る通り、撮影したフッテージは200時間くらいあって、素材が沢山あるので編集にはかなり時間がかかるだろうということは分かっていました。編集担当の女性(カレン・ブネヌ)と6ヶ月間を掛けて編集の作業を行いましたが、その作業は決して苦しいものではなくて楽しい時間でした。最初の編集段階では、6時間くらいあったのですが、それを5時間にして、4時間にして、最終的には自然に私に合った長さに落ち着きました。一つは、リズム感を持たせたいということ、そして、この映画にはコメディ的要素が沢山あるんですね、そのコメディということ自体がリズム感と結びついています。それと、シークエンスとシークエンスの繋ぎが意味を持つ映画ですから、全体をコンパクトにすることによって、繋ぎの部分が生きてくるということになるわけです。ですから、多くの場面は採用しないということに決めざるを得ませんでした。初めはシーンを削ることの辛さを感じてはいたのですが、それでも最終的に良いものが出来るということを考えれば、自然に捨てることは出来るようになりました。

“年齢歳のあるカップル”という点に関しては、私はあまりそのようには感じていませんけれども、唯一、定年退職をした教師が若い女性とクロアチアで出会ったという話をする時はそうかもしれません。他はそれほど、そのような感じはしませんし、『やさしい人』に関しても、そんなに年の差が合ったかな?という感じで、私はあまりそのように意識していなくて、特別にそれがテーマだということではありません。その定年退職をした老齢の教師ですけれども、彼とは撮影の時に何度も出会って、とても孤独にしている姿に心を動かされました。それで彼を撮影するようになっていったのですが、夏の終わり頃になって、実はちょっと物語を語りたいんだって言われたんです。それでこの話をしてくれたのです。このお話は、少し感動するけれども、ちょっと困ったなと感じさせる物語でもあるわけですね。この映画自体が青春時代を扱っていますから、(美青年の)ジェレミーにしても凄く青春を楽しんでいる、若さを楽しんでいるけれども、何となくその期間も終わりつつあって、もうすぐここを辞めるんだという話になります。大人もいるんですけど、大人がまるで大きな子どもになったような感じをこの映画の中では受けると思います。教師の話にしても、凄く自分の若い時代にしがみつくような感じで話をしている。この映画では禁止されていることと許されていることの狭間を描いていますから、その教師の話というのは、この映画の中で受け入れることの出来る、ギリギリの線上にあるような話です。そういう意味でもこのエピソードは残して良かったと思っています。



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