OUTSIDE IN TOKYO
Frédéric Jardin & Nicolas Saada INTERVIEW

フレデリック・ジャルダン&ニコラ・サーダ『スリープレス・ナイト』インタヴュー

2. どうしても必要な部分については、お金が足りないから出来ないという妥協はしなかった
 (ニコラ・サーダ)

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OIT:拘りのある2人が一緒にやることで、その友情が壊れそうになるというか、製作中に言い合いをするということはなかったですか?
NS:いわゆる密室的な状況で、ディスコという本当に小さな世界の中で、ものすごく無秩序な世界を描いていくわけですから、その辺の部分はお互いに最初の約束として決めていました。ただやっぱりシナリオを書き進めていくうちに2人で色々な話をしたんだけども、シナリオというのは作品ではない。作品を作る上での一過程であるわけだから、シナリオ上で作品を作るにあたっての色々な問題を浮上させて駄目なものは切っていく、シナリオに対してそういう見方をしていた。自分としては、一つのシーンを書く時でもお金はいくらかかるだろうということも念頭に書いていかなければいけない。ストーリー的にはもちろんどういう風なストーリーになるかというのも頭に押さえながら、考えて書きましたね。そんなに大きなバジェットの作品ではないので、尚更そういうことを考えていなければならない。ただやっぱりどうしても必要であるという部分があるとしたら、これはちょっとお金が足りないから出来ないねというようなこともやりたくなかったんです。ですから色々と限られた条件の中で現実的な部分を優先させながら自分達が妥協出来ないストーリーを考えた。


OIT:特にクラブ内でのシーンは、とても効率よく撮られている印象を受けたのですが、基本的に脚本は、例えばサーダさんが脚本の骨格を作って監督に出しているのか、実際どういうプロセスだったのしょう。
FD:基本的にはずっと2人でシノプシスも書き上げましたし、そこからシーン毎に膨らませていく作業も全部2人でやりました。終盤に台詞を整えるためにシナリオライターの方に入ってもらいましたけど、基本的には2人でずっと最後までやった。本当にテニスとかピンポンみたいにお互いに打ち合いながら書いていったという感じですね。物語を書いていきながら、常に逆方向に戻ってその進み方がロジカルかどうか点検する作業がありますし、あとアイデアとしても細かいアイデアをどういう風にそのシーンごとにつけていくかということも2人でやってきました。ただ決まっていたのは、登場人物たちは要するに警察官、それから無秩序な状態、それからヤクザ、あと群衆ですよね。群衆っていうのがやっぱりこの映画の中では非常に重要な登場人物として存在している。この四つの重要な人物達という設定からぶれない、そこに主人公であるヴァンサンがどういう風に潜り込んでいくかっていうようなことです。潜り込んでいったシーンというのは、むしろヴァンサン役のトメル・シスレーが撮影の中で細かい色んな道具を使った演出を作ってくれたから、言うなればトメルも演出に参加したようなことも言えるかもしれません。
NS:今、一つ思い出しましたが、ストーリーを書いていく中で警察官、それからコカインというのがモチーフとして出てくるんですけど、警察官の間でも俗語としてコカインのことを小麦粉と呼んでいる、場所がレストランもあるようなゴージャスなナイトクラブですよね。ですからそこではパンも作るだろうから小麦粉もあるだろうってことで、小麦粉を使ってコカインを作るっていうアイデアが出てきたんです、なんかそれも二人で話をする中から出てきたんですけど、良いアイディアだったと思います。

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