OUTSIDE IN TOKYO
JOSE LUIS GUERIN INTERVIEW

ホセ・ルイス・ゲリン映画祭 ホセ・ルイス・ゲリン インタヴュー

2. 私にとって一番重要なのは自分のツールを深く知ることです

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OIT:『影の列車』に象徴される初期作品から現在までの間に、モノ(ラル)ということも含めて、音と映像の関係性はやはり変わってきているのでしょうか?それとも常に、自分の持っている理想の音と映像の関係が頭にあって、それを突き詰めたいと思いながら作っているのでしょうか?
JLG:それは後者です。あまり技術の進歩というか、そういうことに取り憑かれてはいないので。映画は言語だと思っています。技術以上に映画的な言語だと。『ゲスト』という作品はこの(と傍らの鞄からハイ8ビデオカメラを出す)すごく古いカメラで撮ったのです。3ヶ月毎に新しいカメラを買う人もいますが、私にとって一番重要なのは自分のツールを深く知ることだと思います。とても親しく、身近に感じられるように、何が出来るかという可能性にどう反応して、たとえるなら、それはもう本当にミュージシャンと同じで、ジャズのミュージシャンがサックスを3ヶ月ごとに変えることはありませんね。そしてもっと悪いことに、今の若者たち、今映画を目指している若い人たちがどちらかというと技術に頼り、新しい技術に全てを頼って映画を作っているところが、私にとってはちょっと不思議に思える点です。

OIT:あなたはそのカメラの音に既に馴染んでいるということですか?
JLG:このカメラは、音がそんなによく録れないんですね。なので、全てを撮り終わって編集が終わった後に、録音技士と一緒に全ての場所を回って音を録りました。

OIT:え、(もう一度)回ったんですか?!
JLG:そうです。これは人の話している言葉、声は全部入っているのですが、街の音とかは全部録り直しました。音だけのために、全ての街に(また)行きました。2時間の映画で音がこれだけというのはとてもきついと思いました。ミキサーも非常に良かったので、音をミックスしてもらい、編集の後でその音をつけてもらいました。

OIT:あなたの映画で見られる記憶の再構築を、そこでまたしているということですか?
JLG:そうですね。記憶もそうですけど、どちらかと言うと街の音を自分でも聞きながら、(たとえば)香港の路面電車はどんな音なのかとか、映画全体にどういう雰囲気というか、どういう温度でいこうかとか、そういうことをずっと考えながら音を録りに行きました。

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