OUTSIDE IN TOKYO
kamen kalev INTERVIEW

初監督作品『ソフィアの夜明け』が第23回東京国際映画祭の開幕と当時に封切りを迎えたカメン・カレフ監督が、映画祭の審査員と『ソフィアの夜明け』のPRを兼ねて来日、本作が去年の東京国際映画祭でグランプリを獲ったことの影響や新作について、お話を伺った。 カメン・カレフ監督が考える“映画”とはどういうものかが伝わるインタヴューになっていると思う。

主演俳優(フリスト・フリストフ)が撮影直後に亡くなってしまうとい悲劇に見舞われた初監督作品は、結果的にはそうした障害を乗り越え、21世紀のリアリティが息づく素晴らしい作品に仕上がった。もちろん監督自身も高い評価を受けたものの、映画作家としての長い道のりは今始まったばかりだ。これからのカメン・カレフ監督のさらなる活躍に期待したい。

1. 相反する文化がクロスすることにすごく興味がある

1  |  2  |  3



Outside In Tokyo(以降OIT):今回の来日の目的を教えて下さい。
カメン・カレフ Kamen Kalev(以降KK):東京国際映画祭(以降TIFF)からの要請で、日本映画・ある視点部門の審査員の一人として来日しました。非常に光栄なことです。またこの映画祭に来れたわけですから。『ソフィアの夜明け』もちょうど公開されているタイミングですし。そしてあなた方のようなジャーナリストや、この公開のために尽力して下さっている方々と会うために来日しました。

OIT:他に目的はないですか?何かを見るためとか、個人的な目的は?
KK:日本という国は、ヨーロッパのバルカン半島に住んでいる者にとっては文化的に非常に異なるものがあります。ですから、そういうものを観察するだけでもとても大きな喜びです。日本の人々は本当に何事も丁寧に、穏やかに行う。そうした仕草の中には美を感じます。そうした内省的に瞑想する雰囲気というのが日本にはあって、自分としてはそうしたものにとても共感しています。先程、茶道のセレモニーに参加してきたのですが、その師範の女性が僕には15歳に見えるほどとても若い人でした。彼女の一つ一つの動作と仕草が非常に洗練されていて、茶道というものの歴史があって今に至っている、そういうものに思いを馳せる時、観察者として大きな喜びを感じます。
僕はそういう風に全く相反する文化がクロスする、クロッシングするということにすごく興味があります。ブルガリアでもたまに都会を離れて祖父の家に行く事がありますが、そこは本当に自然の中にある小さな村で、とても粗野なゴツゴツした環境なのですが、そういう所で、例えばお茶をたてると、本当に過激なコントラストが生まれる。僕はそうしたコントラストを好みます。

『ソフィアの夜明け』
英題:EASTERN PLAYS

10月下旬より、渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開後、全国順次公開

監督・脚本・プロデューサー・編集:カメン・カレフ
撮影監督:ユリアン・アタナソフ
ミュージック・スコア:ジャン=ポール・ウォール
音響:モムチル・ボジコフ / ボリス・トラヤノフ
プロデューサー・編集:ステファン・ピリョフ
編集:ヨハネス・ピンター 
出演:フリスト・フリストフ、オヴァネス・ドゥロシャン、サーデット・ウシュル・アクソイ、ニコリナ・ヤンチェヴァ、ハティジェ・アスラン 他

2009年/ブルガリア/89分/カラー/ビスタサイズ/ドルビーデジタル
配給:紀伊國屋書店、マーメイドフィルム

© 2009 Copyright DCG Plus & NOW Films, GLORIA Films. All Rights Reserved.

『ソフィアの夜明け』
オフィシャルサイト
www.eiganokuni.com/sofia


『ソフィアの夜明け』レビュー
1  |  2  |  3