OUTSIDE IN TOKYO
KOBAYASHI KEIICHI INTERVIEW

小林啓一『ももいろそらを』インタヴュー

2. (脚本を)自分の事を一回リセットして捨て去る努力をして、書き直したんです

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OIT:『ももいろそらを』が長編の一作目で、それまではミュージックビデオとかを撮ってたんですね。
小林啓一:あとはテレビです。テレビ番組の「ASAYAN」っていうオーディション番組から始まって、それからミュージックビデオとか、ライブ映像とか、CMとか、Vシネマもやりました。

OIT:やりながら映画を作る機会を伺ってたって感じですか?
小林啓一:初めの頃は全然そうじゃなかったんです。映画って映像の世界の最高峰というか、お金もかかる。最高峰っていうイメージが植え付けられていたので自分には無理だなと漠然と思ってました。いつかやりたいなっていうのはあったんですけど。

OIT:そこのスイッチが入ったきっかけは何かあったんですか?
小林啓一:これは積み重ねというか、今40歳なんですけど、2年前の38歳の時、あと2年で40歳になっちゃうっていう焦りもあったんですけど、発注される仕事の内容と自分がこうしたらいいのになと思うことのズレがかなり広がってきて、仕事が全く面白くなくなっちゃったんです。もちろん意気投合してやれる作品もあったんですけど。例えば、テレビ番組やってて、細かい話なんですけど、テロップを入れろって言われて、何でこんなに沢山テロップを入れるんですかって聞いたら、小林さん、テロップ入れたら番組が面白くなるんですよって言われたんですよ。えーって思って。

OIT:そういう事を言うのはプロデューサー?
小林啓一:プロデューサーですね、で、もうこれはちょっとついていけないなって感じになっちゃった。内容じゃないのかと。

OIT:耳が聞こえない視聴者向けとかではなかった。
小林啓一:はい、いわゆるなめテロップって言うんですが、言葉を言ったらそのままぽーんと出るやつ。

OIT:違和感が拡大した。
小林啓一:そうですね、結局、下請けから作り手になっていかないと駄目なんだと思ったんですよね。ぐちゃぐちゃ文句言ってても気が滅入るだけだし、どんどん小ちゃくなってく感じがして。丁度、カメラもコンパクトで自分で思い通りの映像も撮れそうになってきたっていうので、じゃあやってみようかと。

OIT:それで最初に脚本を書いたんですか?
小林啓一:そうですね、はい、元々長編を書いていたんですけど、どうも上手くいかなくて。今から考えると、色んな映画のパクリだった(笑)。だから書いてる時も凄い苦しかったんですよね、ウケを狙ったりとか。それで、自分の事を一回リセットして捨て去る努力をして、書き直したんです。

OIT:時間はどれくらいかかりました?
小林啓一:一ヶ月くらいです。

OIT:『ももいろそらを』の台詞は、全部書いてるわけですよね?
小林啓一:脚本の段階で90%〜95%ぐらいで、あとはリハーサルをやってみて合わないとか、ちょっと言えないとか、そういう所は変更しました。あと撮影の当日、気が変わって、その日の朝に、少し変えたりしましたけど、大きな変更はなかったです。

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