OUTSIDE IN TOKYO
KOBAYASHI KEIICHI INTERVIEW

小林啓一『ももいろそらを』インタヴュー

3. 自分に正直に生きてる人にも色々悩みはある、そこを深く掘り下げたかったんです

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OIT:撮影期間はどれぐらいですか?
小林啓一:実質は45日です。

OIT:その前にリハーサルの期間とかあったんですか?
小林啓一:そうですね、2〜3ヶ月くらい。

OIT:池田愛さんが演じた主人公いづみの人物造形が良かったですね。このべらんめえ調の口調はどのようにして生まれたんでしょう?
小林啓一:当時、脚本を書くちょっと前に、寅さんが大好きで結構見てたんです。それで主人公は寅さんが好きっていう設定にしたいと思って、べらんめえ調なんですけど上手く言えてないっていう設定にしたんです。それを映画の中で説明するとややこしくなるので、そういう前提を全部取っ払って、上手く言えてないけど寅さんに成り切ってる感じが出てれば、観てる人が色々連想してくれるんじゃないかなっていうのがあって、あの形でやったんです。

OIT:印刷屋(桃月庵白酒)とのやり取りでは、兄貴分になってる。
小林啓一:印刷屋を演じた桃月庵白酒さん(落語家)も、最初はまあ乗ってあげてるみたいな感じなんですけど、それが段々板についてくる感じになるっていうところは演出です、二人にそうやってってほしいって話しました。

OIT:男の子も含めて、ジェンダーのテーマが入ってますよね。それは何か考えがあったんですか?
小林啓一:自分に正直に生きてる人を主人公の周りに配置した、そういう構成にしてるんですけど、自分に正直に動物的に生きてる人っていうのは、自分としてはある種憧れでもあって、それでもその人なりに色々悩みもある、そこを深く掘り下げたかったんです。

OIT:まだ大人になる前の状態、ジェンダーも不安定な状態なものに、自由さを感じるっていう事ですか?
小林啓一:そうですね、自由さがある。本来はもっと自由さがあってもおかしくない年頃なんですけど、今は凄く制限されちゃってて、もうちょっと元気に振る舞ってもいいのに、それすらも許されていないみたいな空気があるんで、主役の女の子は元気がある感じにしたかったんですよね。

OIT:高校生だから世の中の事をまだそんなに知らないんだけど、新聞を見て採点して-20点とかつけてしまう、ある種の万能感があるんですよね、まだ挫折してないから。それが青春映画的にちょっと学んでいく。リアルに撮られているけれども、今の時代のリアルな高校生そのまんまをやろうという感じではないですよね。
小林啓一:そうですね。ただ今のテレビとか映画とかで切り取ってる女子高生とか高校生とかにもリアリティをあんまり感じない。電車とか、街を歩いてても見かけると結構元気だし、なんか色々悩みはあるものの、彼ら/彼女ら的にはもう少し自分を盛り上げて頑張ってるっていう、そういうのを取り上げてもいいのかなとは思ってるんです。

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