OUTSIDE IN TOKYO
Peter Landesman INTERVIEW

ピーター・ランデズマン『ザ・シークレットマン』インタヴュー

3. 政府機関の関係者や軍部関係者、スパイ活動に従事してきた人間の場合、
 目はカメラなんだ

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OIT:撮影は実際どのように行いますか?絵コンテを作ったり、リハーサルを結構やったりするのか、その辺を教えていただけますか?
ピーター・ランデズマン:ストーリーボードを作ったりすると、毎回ストーリーボードアーティストをクビにするという、そういう顛末になってしまう(笑)。アクションシークエンスがなければ特にストーリーボード的なアプローチはとらない、というのは僕はギリギリまでビジュアル的にどうしたいかというのは決めないんだ。脚本があって、役者が来て、ロケ現場でカメラが揃って、ブロッキング(俳優の動きやポジショニング)をどうしたいか、フレームの構図をどうするかとかは、当日の朝に決める、そういう感じなんだ。僕の作品の場合は自分が脚本を書いているので、ある程度どうしたいかというのはざっくりとはあるんだけど、やっぱり役者の芝居を見るまでは固められないんだよね。その温度感を見ながら調整していく感じだから。僕は、監督として一番大事な仕事はキャスティングだと思っている。実際その役者のパフォーマンスの感触を掴みながらブロッキングを調整したりするから、役者の芝居ありきという感じだね。

OIT:撮影期間はどれくらいでしたか?
ピーター・ランデズマン:36日間だね。

OIT:リハーサルは毎日シーンを撮る前にやるんですか?
ピーター・ランデズマン:作品によって変わるけれども、『パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間』の場合は、リハーサルはほとんどゼロだった。『コンカッション』の時は、数週間前からリハーサルを始めたんだけど、ウィル・スミスはすごく集中力があって、もの凄くプロフェッショナルなのでとても上手くいった。リーアムの場合は、当日入ってもらってリハーサルをするっていう形だったけど、本当に準備万端でやってくる。彼自身はどうするべきかということをちゃんと分かっているから、どちらかというと周りの役者のためにリハーサルをやっていたという感じだね。例えば7時から撮影開始となれば5時半に来てリハーサルをする、その後ヘアメイクをやってもらって撮影をする、今回はそういう感じだった。

OIT:リーアム・ニーソンの声のトーンとかも、彼が作り込んで現場に入って来たという感じですか?
ピーター・ランデズマン:声のトーンや、表情をどう作るか、身のこなしをどうするかということについては、事前にリーアムとかなり話をしたんだ。ロケ地がアトランタだったんだけど、ロケに入る前に彼と話をした。僕は仕事柄、昔から色々な政府機関の関係者や軍部関係者、スパイの活動も見てきているんだけど、こういう人達の場合、目はカメラなんだ、だから目で何かを訴えかけるとか、何かを伝えるということは一切しない、ポーカーフェイスなんだ。そういうことを意識してほしかったので、そこは重要な点として伝えた。目で何かを語ることは一切しないでほしいと、ただ二カ所だけ例外がある。FBIの長官がパトリック・グレイになるっていうのが分かるシーンがあるよね、車の中のシーン、そこで彼はその後、崩れてしまう。もうひとつは、娘に再会するシーン、その2カ所だけは表情で、目で語って欲しいという話をした、あとはポーカーフェイスで通して欲しいと。



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