OUTSIDE IN TOKYO
Peter Landesman INTERVIEW

ピーター・ランデズマン『ザ・シークレットマン』インタヴュー

4. 今まさにアメリカは、あの狂人からこの国をどう救うかという瀬戸際に立たされている

1  |  2  |  3  |  4  |  5



OIT:このマーク・フェルトという人物ですが、例えば、『大統領の陰謀』のDVDについているボーナルマテリアルとかを見たりすると、色々な言われ方をしています。丁度今の話にもありましたけれども、自分が長官になれなかったことを恨んだんじゃないかとか、色々なことを言われています。けれども監督はこの映画の中で彼のポートレートを、複雑ではあるけれども、高潔な人物として描こうとした、それはそういう風に自分が感じているから、あるいはもう厳然とした事実だと確信しているからでしょうか?
ピーター・ランデズマン:彼が復讐心からこういう行動をとったという説は、事実ではないと思う。それは彼を知らない人達が語るストーリーだ。今回、僕は脚本と監督を担ったけれども、とても孤独な作業だった。というのはマーク・フェルトとずっと接触をして話を聞いて、彼の人となりを知っているのは僕だけだったから。そうして彼の話を聞いていると彼の父としての姿、そして夫としての姿が浮かんでくる、そういうものを見ていると、あれが復讐劇などであったとは思えないんだ。もちろん自分がFBI長官になるべき適任者であるという自負はあったはずだから、他の人が任命された事自体は不本意だし、すごく怒りを感じていたことも確かだろう、というのもニクソンが送り込んで来たのはアサシンだったわけだからね。FBIの内部から誰か適任者が任命されたのならまだ納得出来たと思うけれど、刺客が送り込まれたのだから、さすがに腹が立ったと思う。しかし結局、彼は最後に国を、そしてFBIを腐敗から救った。今まさにアメリカの現状が同じような状況にあって、この国をあの狂人からどう救うかっていう瀬戸際に立たされているところだけど、マーク・フェルトはまさにそうした瀬戸際で国家を腐敗から救うという大変な業績を残したんだ。ただ娘との関係がああいう複雑な関係で、奥さんとの関係も複雑だった、非常に不安定な結婚生活だった。それが影響しなかったと言えばそういうことはないんだろう。人間は、0か1というものではなくて、色々な要素や魂胆が絡み合って行動を起こすものだから、マーク・フェルトの場合もそうした様々な要素が絡み合って行動を起こしたのだと思う。

OIT:その狂人から国をどういう風に救うのかっていうのは非常に重要なテーマですね、日本にも狂人がいますから(笑)。
ピーター・ランデズマン:日本の狂人っていうのは誰のこと?もしかして、ABEのこと?トランプに比べたら随分マシだろう!



←前ページ    1  |  2  |  3  |  4  |  5    次ページ→