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フランス映画祭2010でも観客賞に選ばれた、誰もが泣いて笑える最高の感動作『オーケストラ!』がいよいよ公開。ルーマニアで生まれ育ったが、チャウシェスク政権を逃れフランスに移住、独裁政権下で生き残るために秘密警察に密告した男の話を描き、一躍世界の注目を浴びたデヴュー作『Trahir(裏切り)』から早17年、2005年ベルリン映画祭で審査員特別賞と観客賞を受賞した『約束の旅路』(05)での賞賛も醒めやらぬ内に、『イングロリアス・バスターズ』のメラニー・ロランをはじめ最高のキャスティングを得て、骨太な笑いと涙の嵐で観客を包み、市井の人々に希望を与える作品を作り上げたラデュ・ミへイレアニュ監督のオフィシャル・インタヴューをお届けする。
1. メラニー・ロランはコンサートシーンのラストカットを撮り終えたところで気絶してしまった |
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──映画の着想はどのようなものでしたか? ラデュ・ミへイレアニュ:2001年、偽物のボリショイオーケストラが香港に行ったという実話が元になっています。僕は、それに着想した脚本を読むところから参加したんだけど、その脚本そのものは、出来が良くなくて使えなかったので、「偽ボリショイがパリに行く」という部分以外は全て書き直したのです。 ──撮影で苦労したのはどういった点でしょうか?
ラデュ・ミへイレアニュ:出演者も多かったので、どのシーンも大変でしたが、やはりコンサートシーンが一番大変でした。スタッフ、キャスト一同とにかく全力を出し切りました。メラニー・ロランはコンサートシーンのラストカットを撮り終えたところで気絶してしまったのです。奇跡的な撮影でした。 ──オーケストラシーンを撮るにあたっての苦労は?
ラデュ・ミへイレアニュ:12分22秒の間、観客を退屈させないクライマックスを作るべく、あらゆる音楽ソフトを観て研究しました。色々見た上で、ビデオクリップを意識しつつ、映画らしいラストにするにはどういう絵で終わらせるか、というのが最大の課題になりました。テレビコンサートは外側から演奏を描く。僕は、オーケストラの真ん中にカメラを置いて、感情を捉えることに注力した。指揮者は「映画監督」に似ている。人々を統制し、物事をイメージどおりに進める。僕の仕事にとてもよく似ていますね。 ──音楽映画は始めてですか?
ラデュ・ミへイレアニュ:はい。初体験は素晴らしかった!撮影の6ヶ月前は12分22秒のプレッシャーで悪夢を見続けましたが、事前の勉強とシュミレーションで大成功を納めることができました。 ──キャスティングする際に音楽のできるできないはポイントになりましたか?
ラデュ・ミへイレアニュ:そこは気にせず、演技力で選びました。おかげで良い結果が出せたと思っています。 ──クラシックを聞きなれない人でも心酔するラストですね。
ラデュ・ミへイレアニュ:フランスでは2009年クラシックの売り上げno1がチャイコフスキーのバイオリン協奏曲でした。この映画の影響だといわれています。 この曲は、とても多面的な構成だから選んだのですが、この映画が、若い人たちにとってクラシック音楽を楽しむきっかけになってくれたらうれしいですね。 ──逆に、クラシックファンには、「クラシックばかりが音楽じゃない」ということに気付いてもらえるのでは、と思いましたが。
ラデュ・ミへイレアニュ:今回の映画には、クラシックのみならず、テクノ、ジプシー、グレゴリー音楽など、多種多様な音楽を入れました。音楽のルーツや幅、エネルギーを感じていただけると思います。本作では、言語や、音楽、人種のハイブリット感を楽しんでほしい。
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『オーケストラ!』 原題:Le Concert フランス映画祭2010上映作品 4月17日(土)GW Bunkamura ル・シネマ、シネスイッチ銀座他、全国順次ロードショー 監督・脚本:ラデュ・ミへイレアニュ 共同脚本:アラン=ミッシェル・ブラン、マシュー・ロビンス 原案:ヘクトール・カベッロ・レイエス、ティエリー・デ・グランディ 製作:アラン・アタル 撮影監督:ローラン・ダイアン 音楽:アルマン・アマール 美術:クリスチャン・ニクレスク 衣装:ヴィオリカ・ベトロヴィッチ 編集:ルドヴィック・トロフ 出演:アレクセイ・グシュコブ、メラニー・ロラン、フランソワ・ベルレアン、ドミトリー・ナザロフ、ミュウ=ミュウ、ヴァレリー・バリノフ、アンナ・カメンコヴァ、ライオネル・アベランスキ、アレクサンダー・コミッサロフ、ラムジー・ベディア 2009年/フランス/124分/シネマスコープ/カラー/ドルビーデジタル 配給:ギャガ 提供:ギャガ、アスミック・エース エンタテイメント © 2009 - Les Productions du Tresor 『オーケストラ!』 オフィシャルサイト http://orchestra.gaga.ne.jp/ 『オーケストラ!』レビュー フランス映画祭2010 |
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