OUTSIDE IN TOKYO
Press conference

トム・クルーズ『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』
記者会見全文掲載


2011年12月1日 リッツカールトンにて
テキスト・写真:上原輝樹
2011.12.16 update

トム・クルーズが製作を手掛けてきたミッション:インポッシブルシリーズの最新作『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』は、アニメーション映画『Mr.インクレディブル』『レミーのおいしいレストラン』で2度のオスカーを獲得したブラッド・バードを監督に迎え、『ハート・ロッカー』『タウン』のジェレミー・レナー、『宇宙人ポール』『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』と話題作への出演が続くギーク役がサマになり過ぎているサイモン・ペッグ、アクション切れまくりのポーラ・パットン、シネフィル男子の心を鷲掴みにしているレア・セドゥといった魅力的な俳優陣を揃え、巨大スクリーンに映えるスケールの大きなアクションシーンで観客を楽しませてくれる。

映画は、プラハの町並みを上空から捉える空撮シーンで開巻する。中世の佇まいを残す赤煉瓦色の屋根のひとつひとつがクリアに大スクリーンに映える、壮観なオープニングから、キャメラはシームレスに、全力疾走する男を捉えるが、明らかにトム・クルーズとは思えないシャープさを欠いた身のこなしを危ぶんでいると、案の定、我らがマテリアル・ガール、レア・セドゥが颯爽と登場し、この諜報員を殺してしまう。レベッカ・ズロトヴスキの『美しき棘』で仄暗い微睡みの時間を過ごした後に、アモス・ギタイの『幻の薔薇』のエンディングで現代のパリの街を足早に歩き去った、その勢いのまま本作に登場したレアは、『幻の薔薇』のマテリアル・ガール度を更にエスカレートさせ、ダイヤモンドの為に人を殺す暗殺者へと進化を遂げていた。いずれ、果たされることになるポーラ・パットンとの一騎打ちは、本作の中で最もB級映画的興奮を呼び起こすバトルシーンとなっている。

当然のことながら、フェイスマスク・マシーンや電磁グローブ、アイカム・レンズと連動するヴァーチャルリアリティ・スクリーンといったスパイ・ガジェット系にも注目すべき趣向が凝らされているとはいえ、やはり最大の見所はトム・クルーズのアクションなわけだが、チャーリー・チャップリン、バスター・キートンの頃から高層ビルの壁面というのはアクションをコミカルに見せるための最高の舞台として活用されてきた通り、今回のイーサン・ハントもこれを最大限に活用し、本作で最高の見せ場を作っている。ただ、キートンやチャップリンの軽業師的な佇まいとは違って、トム・クルーズには登山家のストイックさが漂う。世界一の高さを誇る超高層ビル、ブルジュ・ハリファの窓から外にぶら下がってしまったり、その壁面を駆け下りてしまう(!)離れ業には、高所恐怖症なのかもしれない私は、お尻がムズムズする程の緊張感を味わいいつつ、呆気にとられて笑うしかなかった。やはり、トム・クルーズという男の規格外な野生児ぶりは、尊敬に値する。

そのブルジュ・ハリファが屹立する21世紀の都市ドバイをサンドストームが襲う。 そのサンドストームの中で、あの全力疾走を見せるトム・クルーズ!冒頭のロシア刑務所脱獄シーンからドバイのサンドストームを駆け抜ける映画前半に本作の魅力が詰まっていると言って良いだろう。後半になると、イーサンの過去とジェレミー・レナー演じるウィリアムの過去が交錯するドラマ仕立ての展開と荒唐無稽過ぎる”マッド・プロフェッサー”がスクリーン上の時間を失速させる。それでも!『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』は、最高級の娯楽映画であることに変わりはない。

ここに、プロモーションの為に来日を果たした、トム・クルーズ、ポーラ・パットン、ブレッド・バード監督の記者会見のほぼ全文を掲載する。(トム・クルーズの同時通訳は戸田奈津子さんの名調子を、一部編集したが、ほぼそのまま掲載。)ブレッド・バード監督を初めて拝見し、あの『Mr.インクレディブル』の造形モデルはご自分だったのか、と感じ入りながら、ポーラ・パットンの映画以上の美しさに見とれつつ、トム・クルーズの高笑い、人並み外れた明るさに、新興国に貪欲に進出していくハリウッドパワーの底力を見た。

1. トム・クルーズ、ジェレミー・レナー、サイモン・ペグ、ポーラ・パットン、
 4人が揃うと、バイオリンの四重奏のような素晴らしいハーモニーを醸し出す
 (ブラッド・バード監督)

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トム・クルーズ:また日本にお招き頂きまして本当にありがとうございます。大変名誉に思っております。今回この映画を持って参りました。砂嵐にあったり色々な目にあいましたこの映画を持って参りまして、皆さまのご質問にお答えしたいと思います。ありがとうございます。
ブラッド・バード監督:今回来日出来てとても嬉しく思います。以前2回は『Mr.インクレディブル』『レミーのおいしいレストラン』で来日しましたが、今回が3回目となります。今日ここに砂の作品を作って頂きまして、僕も砂嵐のことを思い出しています。でも撮影時はですね、かなりトムの目や顔に砂が吹きかけられていたんですけど、今日はそういう演出がなくてとてもありがたいです。ありがとうございます。
ポーラ・パットン:私もいま凄くわくわくしていて、今回東京には初めて来たんですけれども、まさに夢がかなったような気分です。ここに皆さんと一緒に居ることだけで、本当に幸運だなと思いますし、もちろん私も砂嵐のことをよく覚えてますけれど、今回はこの初来日を楽しんでいきたいと思います。
Q:今回、孤島ということで、どうしてもサバイバルのイメージがあり、サスペンスに挑戦されていることもあり、サバイバル=孤島というイメージでひとつ伺いたいのですが、もし孤島で、女性と2人きりになったら何をしてくれますか?映画の中では色々と問題を解決していくわけですが、もし孤島に(2人きりで)いたら、あなたは何をしてくれますか?
トム・クルーズ:今回はもちろん素晴らしいチームワークの元に作られた映画でして、ここにいるキャスト、それから監督ですね、そして他の出演者の方も、本当にチームワークを固く組みまして、毎日楽しい仕事をしました。そして長い撮影時間ですね、みんなが僕は何が出来るの、私は何が出来るのって、そういう風な感じで挑んで頂きました。トレーニングも、ポーラなんかは数ヶ月事前にトレーニングして、とにかく映画というのはチームでございます。私は今回のチームを非常に誇りに思っていますし、みんなが全力を尽くしてくれたことに感謝したいと思います。ブラッドは本当に素晴らしくて、彼が恥ずかしいと思うぐらい褒めたいと思います。とにかく監督について一言申し上げたいと思います。本当に彼の仕事を尊敬してまして、『アイアン・ジャイアント』のような素晴らしい映画を作っていらっしゃる人でですが、今回初めてのライブアクションなわけですね、そこで素晴らしい成果をお出しになった。彼はストーリーテリングがとてもお上手で、お客さんを惹き付けていくストーリーテリングの映画をお作りになる、そしてあらゆる要素を映画に持ち込んで、素晴らしいライブの映画をお作りになった。その第一作に関われて僕は本当に名誉だと思っています。そしてストーリーテリングの素晴らしさ、そして人間として彼は素晴らしい、フィルムメーカーとしても最高であるという、お仕事が出来て本当に今回は光栄に思いました。
ブラッド・バード監督:とにかく今回は最高のキャスト、最高のスタッフが揃いました。トムとはずっと仕事が一緒にしたいと思っておりました。でも、なかなか実現出来ないかもしれないと思ったんですけど、今回、本当に実現出来て嬉しく思います。もう一つ今おっしゃっていたのは、チームということなんですけれども、この4人のそれぞれの俳優さん、トム・クルーズさんはもちろん、ジェレミー・レナー、サイモン・ペグ、ポーラ・パットンさん、この4人共凄く違うリズムを持ってるんですね。でも4人が揃うとまるでバイオリンの四重奏のような素晴らしいハーモニーを醸し出すのです。ですから4人が揃ってるシーンが、僕が一番好きなシーンです。

『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』
英題:MISSION: IMPOSSIBLE - GHOST PROTOCOL

12月16日(金)全国ロードショー

監督:ブラッド・バード
製作:J・J・エイブラムス、ブライアン・パーク、トム・クルーズ
原作:ブルース・ゲラー
脚本:ジョシュ・アッペルバウム、アンドレ・ネメック、クリストファー・マッカリー
音楽:マイケル・ジアッキノ
出演:トム・クルーズ、 ジェレミー・レナー、 ポーラ・パットン、 サイモン・ペッグ、 ジョシュ・ホロウェイ、 ヴィング・レイムス、 レア・セドゥー、 トム・ウィルキンソン、 ミカエル・ニクヴィスト、 ウラジミール・マシコ

2011年/アメリカ/132分/カラー
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン

(C) 2011 PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.

『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』
オフィシャルサイト
http://www.mi-gp.jp/
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