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レオナルド・ディカプリオ『シャッター・アイランド』記者会見全文掲載

2. 『チチカット・フォーリーズ』、『ローラ』、『過去を逃れて』、そして『めまい』

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Q:今回、孤島ということで、どうしてもサバイバルのイメージがあり、サスペンスに挑戦されていることもあり、サバイバル=孤島というイメージでひとつ伺いたいのですが、もし孤島で、女性と2人きりになったら何をしてくれますか?映画の中では色々と問題を解決していくわけですが、もし孤島に(2人きりで)いたら、あなたは何をしてくれますか?
L: あなたに「何をするか?」ですか…? 島で女性にどんなことをするか?
それはたぶん、孤島に取り残されたらたいていの男がすることをするんじゃないかな(苦笑)。

でもこの島は全く違うタイプの島だと思うんだ。この映画の島が表しているのは、おそらく、テディが自分の真実を発見する旅だと思う。この島で起きることは、彼が過去のトラウマについて発見する長い道のりである。他に島が舞台の『ビーチ』(00)という映画もやったけど、そっちの方が今の質問には適当かもしれないね。あの映画で僕の演じたキャラクターが他の女性たちにしたことだよね。でもこの映画はだいぶ違うよね…。
Q:映画の舞台が、閉ざされた孤島ということで、先ほどの質問と少し似ていますが、もしディカプリオさんが孤島に閉じ込められることになった時、ひとつだけ持って行くことが許されたら、何を持って行きますか?
L:まいったね。まず聞いていい?島に食べ物はあるのかな?
Q:あっていいです(笑)。
L:水は?
Q:あると思います。
L:電気は?
Q:あると思います。
L:それなら、たぶん、テレビを持っていくかな。
Q:ありがとうございます。
L:世界で何が起きているか分かるようにね。
Q:参考になりました。
Q:今回演じられた役とご自身との共通点はございますか?
L:それほどないといいんだけど(笑)。まあ、役者としての自分と何らかの関連性があるとするなら、テディは島で捜査を行い、島で起きた真実を探し出し、発見することを執拗に追い求める。そういう意味では、僕が俳優としてやっていることと似ている。そして興味深かったのは、このキャラクターを演じる時、2つの演じ方が出来たこと。テディを2通りに演じることができた。ひとつは、彼が周囲の状況を全て把握していること。もうひとつは、完全に全く分かっていない状態だ。でも同時に、彼が真実を発見しようとする、しつこい番犬のような刑事であるという意味で通低している。それは僕が役者として常にやっていることだから。そこまで入り込んで、実際に起きていることの意味や真実を見出したいという激しい捜索と、自分が役を演じる時にするという類似点かな。
Q:今回の映画は、妻を亡くし、心の傷を持つ役柄ですが、私の情報に間違いなければ、まだ独身でいらっしゃると思います。その上で妻に対する感情とか、前作の『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』もそうですが、子供がいる役で、未体験な場合、どのように役作りをされましたか?例えば、友達の子供に接することが参考になったとか、そういう立場の子供とか妻がいる場合の役作りはどう引き出しているのでしょうか?
L:まあ、役者として一番大事な仕事が、自分ではない人間に成りきり、自分の人生に関連づけて考えることです。つまり、同じキャラクターでなく、同じ繋がりを持つことができれば、例えば人生で人を失った経験があるとか、自分の人生と同じようにある関係を捏造してしたことがあるとか、僕らがしているのはそんなプロセスなんだ。最終的に、映画のリサーチで本当に多くの引き出しができた。まさにこの時代についての『チチカット・フォーリーズ』(67/フレデリック・ワイズマンの監督デビュー作)というドキュメンタリーがあって、ある時代のアメリカの多くの精神病院で、精神を患った者たちが不当な扱いを受けていた。それが僕らの共通認識になりました。それと、撮影の間は本が僕らのバイブルでした。スコセッシは長いプリ・プロダクションのプロセスで、僕らに様々な映画を見せてくれる。この男は愛する者を失う。そこで僕らは『ローラ』(44/オットー・プレミンジャー)を見た。それにロバート・ミッチャム主演の『過去を逃れて』(47/ジャック・ターナー)。当然、女を探し出すことに固執する、ヒッチコックの『めまい』(58)も見た。その女は何者なのか?女は男の想像の産物か、本当にいるのか?男はなぜそこまで女に拘るのか?刑事が必要以上に捜査に入り込み、自分の人生まで飲み込まれてしまう。この役を演じる上で、実感を与えてくれたのはそういうものだった。それから、その時代について知ること。パラノイアの時代だ。戦争の、陰謀のパラノイアだ。それはアメリカにとって特殊な時代だった。第二次世界大戦後の、誰もの人生でこうしたパラノイアが蔓延していた。人々は常に恐怖の中に生き、特にこの時代に生きながら、テディの話、彼が突き進む道のりを理解し、強烈な陰謀のようなものを究明しようとする。そうした全てが僕のプロセスを助けてくれた。いつも言うのは、映画を作る上で最も重要なのは、現場に入る数ヶ月前だ。

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