OUTSIDE IN TOKYO
Carla Simón INTERVIEW

カルラ・シモン『悲しみに、こんにちは』インタヴュー

4. 子どもたちには、口頭で台詞を伝えて、彼女たちなりの言葉で台詞を言ってもらいました

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カルラ・シモン:ある日、子供達にたくさんノミがついていました。マルガは午後の間、ずっとそのノミを取り続けたんです(笑)。そうすることで本当の家族のような親近感、特別な感情が生まれたのだと思います。私がフリダのお母さんの役をしてフリダと遊んだりすることもありました。フリダとアナで、フリダがお母さんの真似をして煙草を吸うフリをしながら、「今はすごく疲れているからあなたと遊べないの」と言うシーンがありますね。あのシーンでは、撮影で実際にそのシーンを撮る前に、私がお母さん役になって煙草を吸う場面をやって、フリダに「覚えてる?私が煙草を吸ってたの、あれをあなたが真似してやってね」って言って演じてもらいました。そのようにリーハーサルをして、一緒に過ごした長い時間が、実際の撮影に役立ったのだと思います。

OIT:そのシーンもすごく良かったですね、お化粧してお母さんのブーツを履くんですよね。フリダの台詞で、「人は寝てる間に蜘蛛とか蝿とかをいっぱい食べるんだよ」とか、家出をして帰ってきた後に、「暗いからまた明日にする」とか、自然な、響きの良い台詞が幾つもありましたが、脚本にあったものですか?
カルラ・シモン:「暗いからまた明日にする」は実際にあったことに基づいた台詞です。この映画の中で3〜4場面は実際に私の人生で起きたことに基づいていて、それ以外は完全なフィクションです。「暗いからまた明日にする」っていう場面は私の実体験に基づいています。私が家出をした時は、家の角くらいまでしか行けなかったんですけど、フリダの方が勇敢でもうちょっと遠くに行くことが出来ましたね(笑)。「蝿とか蜘蛛を食べる」っていうのは、子供達同士が遊びの中で「寝てる間に蝿食べちゃうんだよ」とか言っていたことを覚えていて映画に使ってみたのです。

OIT:脚本はしっかり作ってあって、子供達はそれに準じて演じた場面が多かったのでしょうか?
カルラ・シモン:脚本は書きましたけれども、子供達は一度も脚本を読んでいません。でも、私としては脚本通りに演出をしたかったので、私が口頭で言ってもらいたいことを伝えて、それを繰り返してもらうという作業をしました。正確にその通りでなくても良いのですが、彼女なりの言い方で繰り返してもらったのです。遊びのシーンではもっと即興で自由に演じてもらうところもありました。例えば、最後のベッドで遊んでるシーンとか、先程のお母さんの真似をしているシーンなどは自由に演じてもらったものです。脚本通りの台詞を言ってもらったこともありますが、必ず彼女の言葉で言ってもらうようにしたのです。



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