OUTSIDE IN TOKYO
Valérie Donzelli & Jérémie Elkaïm INTERVIEW

ヴァレリー・ドンゼッリ&ジェレミー・エルカイム『わたしたちの宣戦布告』インタヴュー

5. 5時にシャンパンを飲む権利だって僕らにはあるでしょ?(ジェレミー・エルカイム)

1  |  2  |  3  |  4  |  5



Q:音楽、サウンドトラックについてですが、クラシックからロック、グランド・ミュージックなどあらゆるジャンルが入っている素晴らしいサウンドですが、一つだけ、ローリー・アンダーソンのあの曲(「O SUPERMAN」)をあそこで使おうと思った理由は?
VD:最初は、別の音楽がそこに用意されていたんですね。でも編集の時に上手く映像とマッチしなかった。それじゃ、音楽無しにしようかと話して、ジェレミーにあの音楽はやっぱりダメだったと言ったら、彼がかー!って考えて、これを聞いてみてって、それがローリー・アンダーソンのあの曲で、そしたら、これだー!って見つかって。私がそのアルバムを持ってすぐに編集スタジオに入ってやってみたら…。その時、彼はまだ映像を見てなかったんですね。だいたいこういうところよってことは言ってあったんですけど、映像を見てないのにぴったりのものを見つけてくれた。やってみたら本当にぴったりだったんです。それで編集のポーリーヌとまるで私たちには音楽編集の守護神がついてるのね、みたいな話をして。スーパーマンの話で、子供が出てくるというので、すごくぴったりだから本当にパーフェクトだったの。もう一つ、スローモーションのところはまた違う人の曲ですけど、あれなんかも、本当にこれ以上ないくらいぴったりで。
Q:音楽の使い方がクラシックなものと現代的なものなど、さっきバランスという話をされてましたが、そのバランス感覚も含めて選んだのですか?
JE:どちらかというと自然なんですね。僕らにとっても不思議な感じです。僕が選んだと言うけども、この映画を作りたいという想いをより強固にしたのがヴィヴァルディの『四季』の「冬」だった。ヴァレリーがある日、ヴィヴァルディの「冬」を考えたんです。その時に映画が見えた。ヴィヴァルディの『四季』の「冬」が決定的でした。それはヴァレリーから生まれたアイデアです。他のもので僕が貢献した部分もありますけど、まあ、エレクトロニックは僕だし、すごく音楽が好きなのでしょっちゅう聞いているんですけど、別に僕がミュージック・シーンを全て把握している訳ではなく、ごく一部だと思うんですけど、映画にふさわしい音楽を探すという意味において、例えば病院の廊下をジュリエットが走るシーンのあのエレクトロニックでテクノな曲は、まさにあのシーンにふさわしいと思ったからこそやっぱり自分の中に出てくるんですよね。その曲のよさは、息が切れるような、そういう音楽ですよね。ジュリエットは診察結果を待っているところでしょ。だから息が出来なくて苦しくなるという、そういう音楽がぴったりだった訳です。
Q:お2人からこの映画の見所を、一言ずつお願いします。
JE:先程の宣戦布告ということで何に対して戦っているのかという質問に通じてくるのですが、やっぱり社会はレッテルを貼りたがりますよね。我々に対して。例えば病人だったら病人らしくとか、貧しかったら貧しい者らしく。そういうレッテルを社会は我々に貼付けたがるんです。我々はそれに対して反抗して、我々はそんな一つのレッテルで収まるような人間じゃない。人間というのは色んな面を持っているんだ。だから我々の環境とか状況がそうなったからといって、自分自身のアイデンティティを、何が起こっても自然災害が起こっても、ドラマが起こっても持ち続けるんだという意思表明でもあるし、そういうことをシェアするラブ・ストーリーでもあるんです。それを観て欲しいですね。
VD:私たちが望んでいる人生というものを、私たちが望みさえすれば送れるのよという。自分の人生を選択し、作り上げる自由があるのよっていう、そういうところですね。
JE:素晴らしいと思わない?彼女の言ったこと(笑)。我々は社会から押し付けられる必要はない。もし社会の押し付けを受け入れちゃったら僕らは不幸になるじゃないですか。もう生きている気力がなくなるじゃないですか。5時にシャンパンを飲む権利だって僕らにはあるでしょ?(笑)

1  |  2  |  3  |  4  |  5