OUTSIDE IN TOKYO
KALTRINA KRASNIQI INTERVIEW

藤本楓『サボテンと海底』インタヴュー

4. 伊丹十三監督のように、社会的な問題や、批評性の高いテーマを題材にしながら、
 エンタメとして見て頂けるような作品を作れるようになりたい

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OIT:宮田さんには最後のオチも含めて、全てを明かしていたのでしょうか?
藤本楓:宮田さんに関しては、脚本についても結構相談させて頂いていました。ラストの落とし方は、本当にずっと悩んでいたので、最終的に宮田さんがどう思うかという意見はかなり参考にしました。宮田さんが「面白いんじゃないですか」、と言ってくれたので、「じゃあ、これで行きましょう!」という感じで決定した覚えがあります。

OIT:編集はどのような関わりをされたのでしょうか?ジャンプ・カットもありましたね。
藤本楓:(笑)結構、ジャンプ・カットが気になる、というご意見も頂きまして、、、

OIT:私は、リズムを作っていて良かったと思いましたけれども。その辺も含めて、どのように関わられたのかなと。
藤本楓:そうですね、編集の宮島(竜治)さんとは撮影に入る前からお話をしていて、ここをこうしたいんですけど、そうするためにはどういったカットが必要ですかということを伺ったり、居酒屋のシーンに関しては同ポジでカットを割らずに一連の引き画でずうっと見せたいんです、という相談もしていました。気持ち的には長回しで見せたいんですけど、全体が30分という枠の中では結構リスキーだし、やりたい分量もあるので、どうしたらいいでしょう?と相談したら、いやもうそこはジャンプしちゃえば、と言って頂いて。編集作業に入ってからも、例えば、改訂、改訂、改訂のところなんかは、音楽を入れたいので、もっとバサバサいって大丈夫です、とか自分の意見を反映して頂きながら、自分では思いつかないプロの視点もご提案頂いて、今の形になったという感じです。

OIT:最後の質問になります。きっと沢山いらっしゃるのだろうとは思いますが、特に尊敬している監督、影響を受けたと思われる監督はいらっしゃいますか?
藤本楓:“憧れ”ということだけで言うと、伊丹十三監督にすごく憧れています。

OIT:いいですねえ。
藤本楓:私も今回、コメディに挑戦してみて、それは不安から生じたものですけど、笑いを自ら取りに行くようなボケをかなり沢山突っ込んでいるんですけど、そのボケっていうのは自分にとってはサービス精神なんですよね。でも、私はまだまだ社会的な問題とか、主人公の葛藤だとかを伝えられえていないなと思っていて、伊丹十三監督のように、社会的な問題や、批評性の高いテーマを題材にしながら、それでも見やすいエンタメとして見て頂けるような作品を作れるようになりたいなと思っています。

OIT:素晴らしいです。それはとても楽しみです。ところで、伊丹十三監督が書いた「『マルサの女』日記」という書籍があるのですが、ご存知ですか?
藤本楓:あ、それは知らないです。

OIT:「『マルサの女』日記」には、伊丹監督が『マルサの女』の準備段階から撮影、公開に至るまでに書いた日記が掲載されているのですが、その時に見ていた映画のことや、誰々をオーディションしたけどイマイチだったとか、誰々にはオファーをしたけど断られたとか、全て実名で書かれていて、あの方はとても多才な方ですから、日記自体もものすごく面白いんですよね。機会があれば是非ご覧になってみてください。これからのご活躍を楽しみしております。


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