OUTSIDE IN TOKYO
TETSUYA MARIKO INTERVIEW

真利子哲也『NINIFUNI』インタヴュー

5. ラッシュを見てる時から、面白いと思うんですよって言い続けてます

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OIT:最後に防犯カメラにああいう映像が写っているっていうところも、そこは『イエローキッド』を思い出すんですけど、最後に何か観客を煙に撒くようなところが、ちょっとあるかなと思うんですけど。それは何かあれですかね、真利子監督の何なんですかね?
真利子:何ですかね、例えばPVで踊っているアイドルグループっていうのも映像で写されてそれが消費されてくんですけど、その防犯カメラの映像も再生されてまた巻き戻されてまた再生されてっていうそのオートマチックな感じっていうのが今回の意図にあってるなと思ってましたので、特に煙に撒くっていうこともないんですけど、そういったモチーフがこの映画に適しているなと思ったので。

OIT:煙に撒くというのは、ちょっと言い方変えると余韻を残すなぁっていう、すっきり終わらない、終わらせないという事を含めて、余韻が残るなぁ。
真利子:良かった、いい事だと思います。なんかあれですよね、こうやってワンカット目で長回しで撮った後に、また別の視点から見られているっていうことは好きなのかもしれないですね。別の見方があるっていう事を、過去に撮った短編もそういった主観と客観っていう形でこだわってたので、好きとかいうと漠然とした言い方ですけど。

OIT:やらずにいられないんですかね。
真利子:何なんでしょう、分んないです。何なんですか、ずっとそうですよ、本当に。短編の時も主観と客観っていう事だけは方法が限定されてもこだわってます。

OIT:あれなしで終わっちゃうと、まとまっちゃう?
西ヶ谷:それはあると思います。あそこで、はい、カット、オーケーって終わって、どこでも終われるのかもしれないですけど、もうひとつ、なんか別のファクターを入れ込んでる。元々あのシーンって冒頭に考えてたよね?
真利子:ああ、そうかもしれないです。

OIT:あ、時間軸通り、最初は。
真利子:はい。今回、そのことも面白かったですね。映画では男の方から始まってアイドルグループっていう話ですけど、これを脚本上で入れ替えてみたりしたんです。そしたらそれでまた別のものが見えてきて、西ヶ谷さんからもどっちでもいいっていうような、自分でもそれは思ったんですけど、どっちでもまた違った感触のものになる。

OIT:映画の面白さって編集だと思うんですけど、真利子さんの作品は特にそれを感じますよね。全然違ったものになりますよね。
真利子:全く同じシーンなんですけど、単純に入れ替えただけでも結果的に違うものが見えてくる。

OIT:最終的に、監督として満足のいく仕上がりになりましたか?僕は凄くいい映画だと思ったんですけど。
真利子:ラッシュを見てる時から、面白いと思うんですよって言い続けて、今もずーっと言い続けてます。昨日の試写で判明したんですけど、映画観ると、普通は面白かったですっていう感想を言ってきたりするんですけど、今回は興奮しながら、自分は面白いと思いますって言う人が多くて、殆どがそういう感じなので、結局そういうものになったなぁって思うんです。なんて言うんですかね、面白いですねって言えないというか、なんて言うんですかね?(笑)

OIT:非常にその感じは分ります(笑)。
真利子:自分は思いますっていう形になる映画だなぁと。

西ヶ谷:保険がないんですよ。言いたいことが先にあって、ストーリーで分解提示してくれてる訳じゃないから。事象を並べられてるだけで、あとは轟音がして。答えをくれないんで。観て、感じてもらうだけ。
真利子:そうなんですよね。かなり自分の見てみたいものを追求して作ったので、極端な話ですが、否定的な意見もわかるので、良くないと言われても平気な気がします。ただ、これを観て根本的に面白くないなと思われたら友達になれないかもしれないですね(笑)。


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