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7. 恐ろしい話ですけど、起こってしまった以上、 |
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OIT：ネットは見てました？
真利子：ツィッターとかは見てたりしたんですけど、冷静ではありました。とにかくテレビを見てる人は怖がってたっていうのは感じて、いつの間にか自分も本当に気持ち的に参ってしまって、それで出て行きました。出て行きましたって言うか、脚本を仕上げるっていうことを約束していたのに手が付けられなくなって、しばらく外国へ行っていました。上原さんは、どこにいました？
OIT：僕はたまたまその時家で仕事をしてて、家にレコードとかCDとか本が山ほどあるんですけど、それが全部崩れてきて、これは本当にやばいなみたいな感じで、建物も崩れちゃうのかもって初めてその時思ったんですけど、割とすぐに、3歳の子供を保育園に預けていたので、そこにすぐ行って子供だけ引き取って、その時はたまたま家にいたんでそういう感じでしたね。普通に外で仕事をしていたら帰れなくなってたのだと思いますが。
真利子：僕もあの地震で、守るべき子供がいるっていう人と自分みたいな人間とでは、生きていくことに対する心持ちが違うんだと考えさせられましたね。
OIT：それは結構、僕もネットとかで見てると感じるところで、子供がいる人とそうじゃない人で原発に対するリアクションとかも結構違うなって感じがあって、色んなところで違いが鮮明化する、ああいう事があると。
真利子：そうなんですよね。
OIT：それって多分、真利子さんだけじゃなくて、日本の映画作家達がこれを経験して、何らかの影響受けないってことは多分殆どないですよね。何かしら影響受けるのかなぁと思いつつ、一部の人は全く受けないのかもしれないと。だけど作家的な方は多分作っていく上で何か変わっていくのかな、まあやっぱり考えざるをえないのかなと思っちゃったんですけど。作り手は多分悩むと思いますよね。しかもまだ終わってない、原発がああいう状態なんで何となく続いてるし。
西ヶ谷：ちょっと言い方は難しいですが、普通の地震だったら一瞬で終わるじゃないですか、今後どうやって立ち直るかっていうところに直ぐフォーカスされるんですけど、今回の場合はまだ終りが見えないところにいるので、誰も想像つかない。
OIT：ですよね。エネルギー政策、一気に見直すっていう話にもなってるから、そうするとそれに関しては個人的に僕はいい事だと思うんですけど、色々な利害関係の人達がいるなかで、なかなかすっきりしない状態が暫く続くよなっていう感じはしますよね。
西ヶ谷：すっきりしない状態がいつすっきりするのか、一ヵ月後なのかって言ったらそうでもないってなった時に、結局それもひっくるめて生きてくってことの中でどういう風に変わっていくのかってちょっとあると思いますね。解決がない日々で、結局僕らが死ぬまで解決しようがない可能性が高いわけですから、そうなるとそれは日常化した世界なんで、それは3月11日までとは違うっていうのはありますね。
OIT：日本人も遂にタフな精神状況に日常が追い込まれたっていうか。
西ヶ谷：逆に海外から見たらそうだろうなって思うんですよ。色んなもの背負って生きてかなきゃならない。「だけどまだ住むの？君たち」みたいなところではあるんで。哀れみを実際には感じられてるんです。あんな狭いとこであんな地震あって、その前にも経済的にも落ち込んでたところに地震が起こって大変なことになって、しかも原発はこうだよと、あいつら大丈夫かみたいな話ですよね。
OIT：完全にそうですね。でもまあそういう中で映画に関して言えば、結構タフなものが出てくるんじゃないかな、凄いのが出てくるんじゃないかなっていう気はするんです。それを真利子さんが作るのかなぁと。
真利子：そのつもりです（笑）。
西ヶ谷：それに関しては敏感に感じてくれてるタイプの人かもしれませんね、彼は。
真利子：そうですか。そのせいだか知りませんけど、髪の毛が急にすべて抜け落ちるっていう個人的な問題と社会状況が重なるんですよね（笑）。
OIT：髪の毛ってあれですか、ある日突然なんですか？
真利子：ある日突然なんですよ。『イエローキッド』の公開前からですけど、床屋に行ったら脱毛部分を発見されて、そっからじわじわと一年以上かけて広がってきて、まだ進行しています。
OIT：そういうことなら、もう全部切っちゃおうと。
真利子：そうなんです。今もう髪の毛だけじゃなくて眉毛までなくなりました。恐ろしい話ですけど、起こってしまった以上、この事態を受け止めて生きていかなくては。頭の形がいいのが、、、
OIT：形が良くて良かったですね。
真利子：普通に生きているのに、どんどん浮世離れしていきますよ（笑）。
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