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3. 今回は、物語を撮るというよりは、 |
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『なっちゃんの家族』
OIT:俳優さんには最初に脚本を読んで頂いてから、リハーサルをしたのですか?
道本咲希:ホン読みをして、リハーサルは出来ませんでしたね。
OIT:じゃあ、お芝居を作ったのは現場で?
道本咲希:そうですね、現場で作りました。
OIT:そういう条件だったので、カメラは手持ちだったのでしょうか?
道本咲希:そうですね、あとは、主役が子役なので、動き邪魔しないようにあまり照明をたかず、ほぼ自然光で撮るという工夫もしました。
OIT:カメラを固定で撮るという選択肢は最初からなかったと。
道本咲希:はい。私が初めに映画をやろうと思った時、私の恩師に、佐々木昭一郎さんの『四季・ユートピアノ』(1979)を見させて頂いて、これをやってみよう!というところから始まっているので、出演している人をナチュラルに撮るには“手持ち”というような感覚があって、それが私の作風になればいいなという気持ちも込めて、全編手持ちでトライしたっていう感じです。
OIT:撮影はどれくらいの期間でやりましたか?
道本咲希:7日間頂きました。その内、6日間は演技を撮って、残り1日で実景を撮りました。
OIT:現場ではどのように撮られたのでしょう?カメラ・ポジションは道本さんが決めたのですか?
道本咲希:カメラをどこに置くかはカメラマンさんにお任せしたのですが、どういう風に見えたいか、どういう距離感がいいかっていうことだけ、現場でカメラマンさんと話をしたつもりでいて、あとは、役者さんの動きはその場でやるという感じでした。今回は、物語を撮るというよりは、なつみが生きている姿を追いかけるっていうことをやりたかったんですよね。だから、白川さんと一緒の場面でも、なつみが写っていたらいいから、白川さんが切れちゃってもいいです、みたいなこととかを話しました。
OIT:なるほど。編集は別の方がやられたのですか?
道本咲希:そうです。とても仕事の早い方(堀善介)で、手際良く繋いだものを見せて頂いて、ここをちょっとだけ、ここをこう修正してくださいというやりとりを何度も繰り返してやっていったという感じです。作業自体は、実質3日半位でやったと思います。
OIT:音もその段階で入れたのだと思いますが、音楽はその後、依頼して作ったという流れですか?
道本咲希:はい、そうですね。私の映画で音楽をつけるのは今回が初めてだったんですけど、こういう見え方にならなければいいな、というイメージだけはハッキリ持っていたので、そのことをお伝えして、良く読み取ってくださる方(入江陽)だったので、あとはお任せしたという感じでした。
OIT:どこにつけるかは指示を出したということですよね。
道本咲希:そうですね、あまり色々なところにつけたくはないという話をしていて、なつみが家出をするところくらいかな、ということと、エンドロールで、そこと同じ曲が流れればいいなということをお伝えしました。
OIT:道本さんのお話を伺っていると、やりたくないことがハッキリしているという感じはありますね。
道本咲希:そうかもしれないです、それはありますね。
OIT:現場で演出していて、そうなってしまった場合はやり直すわけですか?
道本咲希:そうなればやり直しますが、今回の現場ではみなさんがすごく理解してくださったので、そういう苦労はなかった気がします。
『なっちゃんの家族』
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