OUTSIDE IN TOKYO
MIYAKE SHO INTERVIEW

三宅唱『Playback』インタヴュー

4. やっちゃえ、と思えるかどうかが
 そのアイデアを生かすかどうかを決めるときに重要だと思う

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OIT:画からは、ちょっとブルース・ウェバーみたいな雰囲気が漂いつつ、結構アメリカの香りがするのは何なんでしょう?
三宅唱:そうですね、シンプルに言うとアメリカが好き(笑)。誤解されなければいいのですが、アメリカに対する憧れというか興味があります。小さい頃は、邦画は基本的にダサイ、つまらないものだというイメージが強いなかで、アメリカ映画を見ると、なんだこの高校生のパーティーは(笑)、プロムってなんだ、という、そういうティーンエイジャー文化に対する憧れもあれば、おっちゃん達の終わってる感に対する興味もある、そういうものはずっと感じていたんです。

OIT:終わってる感っていうのはミッキー・ロークとか?
三宅唱:一番感情移入したのはニコラス・レイの『孤独な場所で』(50)のハンフリー・ボガートの終わってる感ですね。俺なんでこんな暴力男に感情移入するんだろう、自分はまるでそんな人じゃないのにって思いながら。

OIT:音楽もですかね?
三宅唱:音楽もそうですね、音楽は小6ぐらいの時から日本のヒップホップの波があったから、そこからもうほとんどヒップホップばかりきいています。

OIT:今回のダニエル・クォンて、凄くいいですね、どこから見つけてきたんですか?
三宅唱:プロデューサーに教えてもらいました。かなり気に入りました。

OIT:音楽と音に関してはある程度プランがあったんですか?
三宅唱:まず音に関しては、スケボーの音を映画館でききたい、これをちゃんときかせたい、とは思っていました。音楽は、東京から水戸に車で移動する、そこでカーラジオが流れている、ということだけ決めていました。

OIT:それは、結婚式に参加するために村上淳さんと三浦(誠己)さんが車に乗ってるシーン?
三宅唱:そうです。車に乗ってるはずがバスに乗っていて、高校生になっちゃってました、というトリップ。

OIT:トリップすると、髭ずらのまま高校生になってるという。あのアイデア、面白かったんですけど、大胆ですよね。
三宅唱:やっちゃえ、と(笑)。やっちゃえ、と思えるかどうかがそのアイデアを生かすかどうするか決めるときに重要かもしれません。撮ってみてはじめて、いいか悪いかも含めてわかるようなことをなるべく書こうとしていますね。

OIT:脚本の時点でそれでいこうって判断したけど、現場でこれはねえな、どうしようと思ったりすることはあるんですか?
三宅唱:いや、そういうもんだったんだ、ということで、NGではないですね。

OIT:なるほど、そこが大胆だっていうことかな。


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