OUTSIDE IN TOKYO
REHA ERDEM INTERVIEW

TIFF2010 レハ・エルデム監督インタヴュー

2. 『時間と風』では、撮影が全部終わった後に、現場に音響の仲間が何日も残って、
  風と自然の音を録音しました

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OIT:以前の作品についても同じような映像と音響の関係で作られているのですか?
RE:そうです。でも全ての映画はそれぞれ別々のものです。最初の『月よ』は、初期のイタリア映画のように最初はダイアローグも全くなしで無声で撮りました。まったく違うプロセスがあったのです。

OIT:次の『ラン・フォー・マネー』はいかがでしょう?
RE:『ラン・フォー・マネー』については、ストーリー展開の方が先行していますので、もちろんそれぞれの作品によって違いますけれど、ストーリー展開をベースとして、それに合わせた音になっています。映画らしいストーリーを追っていく、クラシックな映画と言っていいんでしょうか、道を開いていく音響ですね。完全にクラシックとは言えず、もしかしたらモダン映画と言うのかもしれませんが。私の場合は通常と比較すると音自体が自らを表しているということが非常に多いと言えます。

OIT:『ママ、こわいよ』はいかがでしょうか?
RE:これは一番濃厚に音楽を使った作品でして、音楽が多用されています。ミュージカルではないのですが、音楽を使ったあたかもミュージカルであるかのような感じで、空中に浮かんでいるおとぎ話でもあって、それぞれを繋げていくための音響効果という形になっています。一方『コスモス』については、音楽というのはほとんどなくて、音自体がひとつの音声バンドのような形になって続いていくわけです。



OIT:『時間と風』については?
RE:最近の一連の試みの最初のものです。音楽も沢山使っていますが、タイトルにもなっているように風が吹くということで、風の音をたくさん使っています。撮影が全部終わった後に、現場に音響の仲間が何日も残って、風と自然の音を録音しました。それを一つのコレクションに作り上げて、映像の後に合わせていくというバンドを作成したわけです。使っている音楽は、私の最も好きな現代エストニアの音楽家アルヴォ・ペルトの音楽です。自然の音がある、そしてアザーンの音がある、アザーンというのは、モスクのお祈りの時間に使われる呼び掛けのことですね。一つの試験的な試みだったのです。

OIT:『時間と風』を始めとして、『マイ・オンリー・サンシャイン』と『コスモス』がトリロジー的な構成になってるんですか?
RE:そういう意味ではありません。音響というのがいかにラディカルに映画を変えていくかということを始めた作品ではあります。


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