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SHIBATA GO INTERVIEW

柴田剛『堀川中立売』インタヴュー

4. 伝説の映画、山本政志監督の『ロビンソンの庭』

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OIT:ミュージシャンはやっぱり天然なパワーがあるっていうか、この映画のモタコさんもそうですけど。
SG:『おそいひと』と『堀川中立売』にも続けて出てもらったバミューダ★バガボンドの直蔵も然りですけど、本当にそうなんですよね。

OIT:石井モタコさんの場合は、どういう経緯でやることに?
SG:これもオシリペンペンズという名前を聞いた瞬間に、すごいバンドだな、バンド名がやばいってことで、もうすごい見た気になったんですよ。関西にいると伝聞で色々なことを聞くんです。ステージングの話とか、体をガラスでひっかいたり、割れたガラスの上で飛び跳ねたり、飲尿したりとか。僕が中学、高校の時に聞いていた外国のバンドでステージでうんこしたりとか。ペンペンズの存在を知って今もそういうバンドいるんだって。一回ちゃんと接近したいなと。何か近いものがあるだろうし、そうしたら絶対に映画に出てほしいなって。でも本当に頭おかしすぎたら遠慮願うというつもりで一度会ってみたかったんです。それで話をしたんです。

OIT:そういう激しいことをしちゃうバンドって80年代だとインディーズのじゃがたらとか、ああいう人達が結構元気モリモリでしたよね。その当時、映画だと山本政志監督が作った『ロビンソンの庭』がとても良くて。
SG:『ロビンソンの庭』僕、大ファンなんです。

OIT:あれを思い出しだんですよね。あの映画は本当におもしろくて、僕は学生だったんですけど、あーこんな映画があるんだ、なんか緑も異様に繁殖していて、藤子不二雄のSF短篇漫画を連想したりして。じゃがたらのライブにはよく行ってたんですけど、こういう映画が日本にもついに出てきたんだと思って、その感覚を久しぶりに思い出したんですよ。
SG:恐縮です。

OIT:音楽とかミュージシャンとかっていうのが、わーっと集まってるっていう雰囲気もあって。
SG:ギズムの横川SAKEBIさんとか、町田康さんとか色んな人いましたよね。レゲエの黒人もいました。

OIT:狭い空間にわーっと集まってる感じ。『掘川中立売』を、どなたかが路地の映画って仰ってたんですけど、ある場所を撮ってるっていう感じもすごくしたんですよ。
SG:京都に移動した理由は、全く映画制作とは関係ないところにあったんですよ。以前『おそいひと』の上映活動で京都に行ったんですけど、そこで映画を撮る事になったわけです。そうなると一番遠慮したいなっていうか、ちょっと懸念しておきたいのが「そうだ、京都へ行こう」に代表されるThat’s京都みたいな、実際そういうポスター見ても写真で森とか苔むした岩とか、色彩あげてレタッチしてる、女性誌、ギャル誌にあるようなああいう感覚じゃないですか、京都が。僕はそれは願い下げだったのと、先ほど仰られた山本政志さんはすごく敬愛している監督で、日本映画を最初に意識したのは『ロビンソンの庭』なんです。じゃあ京都で撮影するならば、というと普通に目に飛び込んでくるんですよね。京都に住んでる場所がもうそういうものなんです。これはやっぱり京都が碁盤の目のように整地されているっていう、京都という都市そのもの。しかもその旅行代理店が作るキャッチコピーじゃない、地元の人達がずっと生活をしている京都っていうのは、普通の観光地図に書いてある通りからじゃ見えないんですよ。最近分ったんですけど、グーグルアースで上からみると理解できるんですよね。奥に入ると路地がうわーって広がっているんです。そこから入る入口は、通常、僕ら関東とか、大阪とかで見ている路地の入口じゃないというか。私有地の道に入っちゃうのってまずいんじゃないのかっていうのが僕の中で植え付けであるんですけど、僕は思いっきり神奈川県の団地出身なので。

OIT:柴田監督は、大学は大阪ですけど、ご出身は神奈川?
SG:神奈川県横浜市の団地なんです。それでもう思いっきりギャップがあるんですけど、その路地を通らなきゃいけないところもあるんですよ。普通、僕みたいな外から来てる人間は遠慮するんですけど、遠慮してたら向こう側に行けないんです、えらい遠回りしなきゃいけないんで。グーグルアースで見るとなんかスッと通ってる。そこで本当に京都で生活してる人達の世界があって、住んでみると私有地通ってもいいわけだし、これはどこでもカメラ回せるんだなぁと。

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