OUTSIDE IN TOKYO
TERRY GILLIAM & LILY COLE INTERVIEW

テリー・ギリアム&リリー・コール『Dr.パルナサスの鏡』インタヴュー

2. Dr.パルナサスを存在させるためには、最高の役者を上回る凄い娘が必要だった。
  リリーはその役にぴったりだった。

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Q: 私もあの馬車が好きで、小さい頃、人形で遊んだ時に、人形ハウスというか、リカちゃん人形なんですが、その時の自分の想像力を思い出しました。リリーにもきっとそういう経験があったんでしょうけど、テリーにとって、そんな想像の世界の原点は何だったのでしょう。そしてリリーもそんな想像の世界で戯れることはありますか?
TG: うーん、映画そのものが、実際、あの馬車から始まったと言っていい。映画の最初のショットが全ての始まりでもある。そして馬車が現代的な都市に入場する。そこに圧倒的な、アンティークの、奇妙で不思議な物体がやって来ても、誰も気づいている様子がない。現代社会に何か素晴らしく圧倒的なものが登場したのに、誰にも見えない。そういう時に、隠喩的な遊びが入る余地を感じたんだ。
LC: そうね。私の場合、たぶん子供の時ほどではないと思うけど、できるだけ、私もそんな魔法的な瞬間、魔法的な物体に気づくようにはしてきたはず。でもそうした魔法的な物体を、見て見ぬふりをする時だってあるの。それで怖いものを想像してしまうこともあるから(笑)。でも初めて脚本を読んで、監督に会った時に感じたのは、この映画のそんな秘密めいたところ。私はできるだけ意識を開いて、いろんなことを信じようと勤めてきた。それを想像力と捉えていいか分からないけど。
TG: それは洗脳だよ!
LC: …そして本当の…。
TG: リリーは洗脳されてる。
LC: (笑)違うの、ネガティブな意味での洗脳じゃなくて、反対の方向への洗脳。
TG: 宗教的カルトに洗脳された!
LC: 私は何も信じないように洗脳されていたの。それを、あらゆるものが信じられるように必死でがんばってきたの(笑)。


Q: もちろんストーリーのおもしろさもさることながら、キャスティングも非常に魅力的です。ヒース・レジャーのキャスティングも、リリーのキャスティングもですが、ヒース・レジャー亡き後の、ジョニー・デップ、コリン・ファレル、ジュード・ロウのキャスティング理由も教えてください。
TG: まあ、ヒースについて言えば、『ブラザーズ・グリム』で彼と仕事した後、僕はその後の映画は一生ヒースと作っていこうと決めたくらいだ。とにかく彼は、素晴らしい役者であり、人間であり、偉大な友人であり、一緒に仕事できることが喜びだった。だからヒースのキャスティングは簡単だった。リリーの場合はもう少し大変でね。彼女は超人気モデルだから、一緒に話す機会さえ持てなかったんだ。世界中、彼女を追いかけて、最終的に見つけたのがロンドンだった。ちょうどいいことに(笑)。Dr.パルナサスを存在させるなら、もっとすごい娘がいないとだめだからね。そしてリリーが役にぴったりだった。
LC: 私はクリストファー・プラマーよりすごいってこと(笑)?
TG: そうだよ!最高の役者よりも。
LC: 彼、どこかでくしゃみしてるわよ(笑)。
TG: それに彼は付け髭をつける必要があったけど、君は何もつけなくてよかったよね(笑)。
LC: 確かに。私がナチュラル・ドレッドだからでしょ(笑)。
TG: その通り(笑)!とにかく、リリーより興味深い人を思いつかなかった。そして結果的に、彼女は知的で自信もある女性で、それにノーなんて言えるわけがない(笑)。
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