OUTSIDE IN TOKYO
MIYAKE SHO INTERVIEW

青山真治『共喰い』インタヴュー

2. 日活ロマンポルノ的なものをやろうということで始まり、
 その後どんどん、いわゆる芥川賞小説の映画だ、みたいなことになっていった

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OIT:(女がベランダにいる)アパートもですか?
青山真治:アパートもそうです、すぐ側です。

OIT:じゃあ、今回は外観は全部リアルに現地にあるもの。
青山真治:ええ、家だけちょっと離れてるんですけど。

OIT:お庭のある家ですね?
青山真治:はい、車で10分くらいのとこなんですけど。

OIT:ということは、ロマンポルノ的な、あの場面はスタジオで撮ったわけではない。
青山真治:そうですね、スタジオで撮ったのは接見室と神輿蔵、あれだけです。

OIT:家のシーンは、実際の家を色々工夫して撮影に使われた?
青山真治:普通に生活してる態に飾って撮影しました、もとは空き家ですけどね。

OIT:その家の中の円(光石研)と琴子さん(篠原友希子)の夜のシーンで、シルクのような紗でシルエットが作られていましたが。
青山真治:あれ普通の蚊帳ですよ、蚊帳吊ってるだけです。

OIT:そうでしたか。今回は、脚本の荒井さんが嘗てやられていたということもあって、ロマンポルノ的なものを撮ろうということでスタートしたと伺っています。
青山真治:そうですね、お互いのモチベーションですよね。だから僕も平成も25年経って、まあ日活ロマンポルノが無くなったのが昭和の終わりですから、そこから25年経ったところで自分も日活ロマンポルノ的なものを撮りたいなと思っていたところもあるし、それは多分嘗ての日本映画という意味だと思うんですけどね。荒井さんも昔とった杵柄じゃないですけど、そういうものを一本ここでやってみたいなということを考えられたと思うんですね。お互いのモチベーションとしてそこをまずキーワードとして始めたと、あくまでも入り口ですよね。その後の展開としては、いわゆる芥川賞小説の映画だ、みたいな風にどんどんなっていったんですけどね(笑)。

OIT:芥川賞小説の映画化っていうと、キャスティングとか。
青山真治:それもあります、それからスタジオをちゃんと使うっていうことを含めてですね。

OIT:日活ロマンポルノがそうだった?
青山真治:まあ日活もそうなんですけど、東宝でやる、東宝のスタジオで撮影するという、これもまた日活とはひと味もふた味も違いますね。

OIT:それは「映画芸術」の座談会で安井(豊作)さんが仰っていた「ひとり日本映画再生計画」みたいな(笑)。
青山真治:(笑)あれはあれで、あの人の持論なんで、僕はあんまり関与してないですけど。一応その、嘗てそんなことも言ったね、みたいな感じですね。

OIT:僕は、それは非常に面白いし、必要だなと思って拝読しましたけれども。
青山真治:どっかで僕もそういうことに片足突っ込んではいるんですけどね。つまり、どう頑張っても今の日本映画を俺には作れないという感じがしてて、自分で、まあ観てもいないですから日本映画を、だから全然分かんないんだけど、日活ロマンポルノなら分かるっていうような、嘗ての日本映画なら分かるよっていう、そこでそれをやってみましょうかっていうことですよね。

OIT:今の日本映画っていうと、例えば『桐島、〜』とかですかね。
青山真治:キリシマって何ですか?

OIT:『桐島、部活やめるってよ』(12)という映画がありまして、例えばですけど。
青山真治:ああ、知らない。キリシマって聞いたら、『美しい夏 キリシマ』(03)っていう映画が昔あって、そっちかと思っちゃうぐらい分かってないんですけど。


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