OUTSIDE IN TOKYO
ENDO MAIKO INTERVIEW

遠藤麻衣子『TOKYO TELEPATH 2020』インタヴュー

4. 命を粗末にするような世界にはしたくない

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OIT:遠藤監督の映画でひとつ特徴的なのは、実在的なゴツゴツした手触りがある、音もそうなんですけど、非常に物質的なクオリティがある、実在的にそこにあるものを捉えているっていう感触があると思うのですが、これは、ショーンさんとやってる内にそうなっているのか、あるいは、ある程度狙いがあるものなのでしょうか?
遠藤麻衣子:やっぱりどうしてテクノロジーを考えるかっていうと、絶対人間に関わってくるものだから、人間の生活とか、命にも関わってくるからなんですけど、人間という生物がどういう生物になっていくかっていうことにも関わってくる。こうなったら嫌だなっていうのはもちろんあるけど、私の今この時点の視野ではそれが本当にいいのか悪いのかということは分からない、100年先から見て本当はこれが良かった道なのかもしれない、っていうのは今の私には分からないから、その良し悪しって判断が難しいなって思っています。
OIT:新たな映画的な現実感を作りえてると思うんですね、自然の音も強弱が様々ある中で、それが映画的な強度を生んでいるのかなと思いながら観ました。『TOKYO TELEPATH 2020』の物語自体は、東京に地下水脈があって、そこには結界があるけれども大規模開発によって乱れが生じてきているという設定があります。そこには、当然ながら政治意識もあると思いますが、それほど意図的なものではないですか?
遠藤麻衣子:政治というものは、凄く意図的に政治的にというよりも、私達の周りのどこにでも政治があるから、やっぱりそこを避けては通れないし無視もできない、だから何かを語る上で絶対にどうしても反映されてしまうっていう感じなんです。何かを録音していただけでも、政治的なメッセージが入ってくるし、写り込んでくる、としとかいえないようなものですよね。私自身としては、政治もありますけど、それよりも命とか、そういうものを粗末にするような世界にはしたくないっていうのはあります。そこだけはあるかもしれないです。
OIT:(今年2020年に行われた『第12回 恵比寿映像祭』で上映された)アナ・ヴァスの映画はご覧になりましたか?
遠藤麻衣子:観ました。面白いなと思いましたよ、凄く教育された人だなって思った。
OIT:話す内容も含めて非常に上手く作品をプレゼンテーションしていましたね。
遠藤麻衣子:あの映像の作り方にしても、とても教養のある人なんだなっていうのを凄く感じました。その中でもちゃんと躍動感があったりするところが、凄くいいなと思いましたね、強さもあるから。文法からは外れてない、ちゃんと映画の教育を受けてきて、あれが出来上がったっていう感じですね。

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