OUTSIDE IN TOKYO
ENDO MAIKO INTERVIEW

遠藤麻衣子『TOKYO TELEPATH 2020』インタヴュー

6. 未来のビジョンが見えにくくなっている今、
 映画でそれを示すことに挑戦したい

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OIT:“技術”っていうのは、遠藤監督にとって、結構重要なテーマですか?
遠藤麻衣子:自分が生まれ育った時代は、日本が急進的で、ソニーとか、テクノロジー、日本凄いみたいな感じで育ってきましたけど、今は中国とかの方が凄くて、この先どうなるんだろうという感じですよね。日本的視点で言えばそうですけど、世界とテクノロジーの関係っていう大きな括りもありますから、大きなテーマではあると思います。
OIT:そこには、観察するという視点と、こうなったら嫌だなとかという思いもありますか?
遠藤麻衣子:やっぱりどうしてテクノロジーを考えるかっていうと、絶対人間に関わってくるものだから、人間の生活とか、命にも関わってくるからなんですけど、人間という生物がどういう生物になっていくかっていうことにも関わってくる。こうなったら嫌だなっていうのはもちろんあるけど、私の今この時点の視野ではそれが本当にいいのか悪いのかということは分からない、100年先から見て本当はこれが良かった道なのかもしれないしっていうのは今の私には分からないから、その良し悪しって判断が難しいなって思っています。
OIT:3.11が起きて原発がああいうことになって、その直後はこれでみんな脱原発するのかなと多くの日本人は思ったと思うんですけど、全くそうではなかったわけですね。そういう、なんかこっちの方向に行っちゃうんだみたいな感覚っていうのはありましたか?
遠藤麻衣子:まあ、とはいえ難しいだろうなとは思います。そういうこともやっぱりそこからテクノロジーを変えて政治に繋がって、全部繋がっているので。一つのことを取り上げて、出来ませんでしたって凄く言いにくいんじゃないかなと思っています。日本だけの問題でもないし、世界のバランスがあって日本がそういう位置に立たされているっていうこともある。
OIT:世界、日本、自分のルーツとか、そういうことを考えたものが次の作品にも関係してくるのでしょうか?
遠藤麻衣子:私は全てが関係していると思っているので、一つのことだけが重要ではなくて、その繋がりとその関係性がやっぱり世界を作っているから、何も欠くことは出来ないっていう考えです。その中でどれをピックアップするかはもちろんあるんですけど、ひとつの映画の中に全ては入れられないから。
OIT:今はどういう段階なのでしょう?
遠藤麻衣子:脚本はあって、プロデューサーが見つかってない、だから全然資金は見つかってない、キャストも見つかってない、チームはある、まあそういう状態です。
OIT:(『恵比寿映像祭』のトークショーで)自分が育ってきた時代は未来のビジョンっていうのが散々示されていた、しかし、今はもう21世紀になって、今が未来になったけれども、未来のビジョンが逆に見えなくなっている、だからそれを映画で示したいという話をされていましたね。
遠藤麻衣子:そうですね、自分なりのそこに挑戦したいなと思ってます。

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