OUTSIDE IN TOKYO
ENDO MAIKO INTERVIEW

遠藤麻衣子『TOKYO TELEPATH 2020』インタヴュー

5. 台詞の早回しのあの速度は、
 視覚障害者の方々が携帯で本を読む時の速さなんです

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OIT:カメラがアニミズムの役割を果たしているとか、そういう語りも上手かったですね。遠藤監督作品の場合は、もっと人間寄りといいますか、アナ・ヴァスさんの映画は、場合によっては人間が出てなくてもいいかもしれないということを感じさせます。『TOKYO TELEPATH 2020』は特に台詞の入れ方がユニークです、早回しで入っていたり、イコライザーで音色が変わっていたり、そこからユーモアすら漂ってくる、あのスタイルはどういう風に生まれたのでしょうか?
遠藤麻衣子:早回しはですね、あれって視覚障害者の方々が携帯で本を読む時にあのぐらいの速さで読んでるんです。普通の速さだと彼らには遅すぎるから。
OIT:音声読み上げのソフト?
遠藤麻衣子:そう、音声読み上げのSiriみたいなやつで、Kindleとか色々あって、通常あのぐらいの速さで聞いてるんです、彼らは。だからそれをそのまま使いました。彼女たちの台詞についてですが、最初にラフカットを作って編集した時は台詞は全然入ってなかったです。その編集をした後に、最初の撮影が8月で、10月か11月ぐらいに作ったラフに合わせてこういう台詞が必要だなっていうのを、自分の中で浮かんできたものをどんどん書き出していって、それを役者に渡してレコーディングを一緒にするっていうやり方で作ったんです。
OIT:それはとてもユニークな作り方ですね。台詞は基本的に全部遠藤監督が作ったものですか?
遠藤麻衣子:引用とかもあって、色々なものを拾ってきてはいますけど、基本的にはそうです。
OIT:喋り方のディレクションはしたのですか?
遠藤麻衣子:そうですね、まあ、ああいう感じっていうのを何となく。
OIT:あの感じ、いいですね。新しい感じ、要は聞き慣れないというか、全てが合体した中であのトーンで台詞が出てくるから、とても新鮮でした。それは遠藤さん的な感覚でしょうか?
遠藤麻衣子:そうですね、やっぱりバランスです、その映画の内容と他のこととかとの彼女たちのキャラクターのバランスでもあるし、あの映画の中の役割でもある。バランスを考えた時にあのぐらいの軽さが必要なんじゃないかと。
OIT:試行錯誤はありましたか?
遠藤麻衣子:編集しながら最初の二ヶ月で何となくキャラクターの動きとかを見てて、その都度何となくああいう感じだなっていうのは掴んでいました。だから最後の瞬間はスパッと決まるけど、それまでの二ヶ月の積み重ねとか、撮影の時の積み重ねがあって、そのスパッが生まれる。

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