OUTSIDE IN TOKYO
HYUNRI & M. YAMAMOTO INTERVIEW

玄里(ヒョンリ)『水の声を聞く』インタヴュー with 山本政志

4. 父親役は、山本監督ご自身が投影されてるんじゃないかと
 (玄里)

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山本政志:いやー、俺は見てて、最初は確かにぎこちなかったんだけど、三日目くらいから違和感がなくなって、最後の方は全く見分けがつかないというか、本物とどこが違うのかわかんないくらいだった。本当に太鼓判押せるくらいまでなってたね。巫女さんの小道具も本当は全部本物をちゃんと持って行ったんだけど、実際は結構訳分んないものを使ったんだよね。
玄里:いいんですかね、これ言っちゃって?
山本政志:いいよいいよ。
玄里:色々と巫女さんが儀式で使う道具があるんですけど、その中に白いフサフサした棒があって、なんか如何にも偽物っぽいから、よくよく見たら、ご飯を作った時にホコリとか入らないように被せておく物があるじゃないですか。ウソでしょ?こんなのしか用意できないってこと?!って言っちゃったんですよ。
山本政志:怒っちゃてね(笑)。ヤバいなーって思ったけど。
玄里:本当にこんなものしか用意できないの!?って思ったんですけど、それが監督の演出で、これは映画の一番最初のシーンで出てくるんですけど、本当にインチキなものを最初に見せたかったってことなんですよね。後の儀式ではちゃんとした道具を使ってるんです。
OIT:巫女さんを演じるシーンと、素のミンジョンを演じるシーンとがありますが、素の部分はどのように演出されたのでしょう?バーで酔っぱらうシーンとか、とても良かったですよね。
玄里:もっとバカになって、もっとバカになってって言われてましたね。
山本政志:「ブタッ!」て怒鳴るところとかね。
OIT:そうそう。
玄里:あれは本当は違うセリフだったんです。リハーサルで何回もやり直しているうちにアドリブで言ったセリフなんですよね。
OIT:テイクは結構撮ったんですか?
山本政志:以前程ではないね。出来が良かったから、今回は。
玄里:大体1〜2回でしたね。私が凄く記憶に残っているのは、もう1回って言われて、監督はもう1回やるときは必ずその理由を言ってくれるんですけど、その時は、もう1回やると何か出てきそうだからって漠然としたことを言われたんですよね。それは、趣里(坂井美奈役)とのシーンで、信者が自殺してしまって、それでも続けて行くしか道はないって慰められるシーンなんですけど、本当にもう一回やったら趣里と心が通じたって感じがしたんです。その時は監督凄いって思いました。
山本政志:今のいいね(笑)
玄里:いや、一応言っておこうかなと思って(笑)。あとお父さん(鎌滝秋浩)とのシーンは監督は拘ってましたよね。
山本政志:俺はあのシーンが凄く好きなんだよね。
玄里:信者が自殺してミンジョンが落ち込んでる時に、お父さんと二人になるシーンですよね。あのシーンは、フィックスで撮ったり、レール敷いたり、時間をかけましたよね。監督が、鎌滝さんにお芝居のお手本をやって見せてくれるんですけど、滅茶苦茶巧いんですよ。だから、あの役は、山本監督ご自身が投影されてるんじゃないかなって思ったんですよね。
山本政志:鎌滝は頑張ったんだよねえ、『〜プロローグ』の時の“情けない親父”っていうパターンがあったでしょ?本編ではそれだけではない、父親像を出したかったんだよ。もうちょっとふてぶてしかったりとか、それがアイツはいい奴だから、中々出せなくて、でもそれからアイツは凄く頑張ったよ。あのシーンは色々カットを作ったけど、編集で見た時に、あの引きの画のワンカットがやっぱり一番良かったよね。あの長回しのワンカットしかあり得ないと思ったよ。
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