OUTSIDE IN TOKYO
KALTRINA KRASNIQI INTERVIEW

マーク・ギル『レイブンズ』インタヴュー

6. どんなアートフォームでも同じだと思いますけど、
  こうでなければ、という感覚が大切です

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OIT:最後に“音楽”について聞かせてください。“Pictures of You”(ザ・キュア)が完璧にマッチした使われ方をしています。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの“Venus in Furs”と“I’ll be Your Mirror”も最高の使われ方をしていますね。
マーク・ギル:冒頭の“ゴールデン街ウォーク”のところはまさに音楽にインスピレーションを受けています。デイブ・ブルーベックの「Jazz Impressions of Japan」(1964)というアルバムに入っている“Koto Song”という曲なんですけど、その曲をそこで使っています。私は音楽を聴くと、いつもイメージが浮かんでくるんです。その音楽を聴いた時は、ゴールデン街のお店のイメージが頭に浮かんできたんですね。自分が音楽をやってきたというバックグラウンドがあるから、そういうことが起きるのかもしれません。どんなアートフォームでも同じだと思いますけど、こうでなければ、という感覚が大切で、私の場合は、とりわけ音楽にインスピレーションを受けることが多いのです。ただ、映画で使う音楽が、観客が映画を見る妨げになってはいけないと思っています。あなたが“I’ll be Your Mirror”に気づいてくれたのは嬉しいですね。“Venus in Furs”の方がよりエモーショナルな部分を担っているかもしれないけれど、“I’ll be Your Mirror”と“Pictures of You”は、エモーショナルであると同時に感情的にはフラットで、リリカルな印象を与えるのではないかと思います。“Pictures of You”に関しては、そもそも楽曲の使用許可を得ることが出来たのが嬉しかった。ザ・キュアのキーボード・プレイヤー、ロジャー(・オドネル)が知り合いなので、彼が助けてくれたんです。最終決断をするのはロバート(・スミス)なのですが、映画を気に入ってくれて、使わせてくれました。

OIT:ということは、ロバート・スミスもこの映画を見ているということですね。
マーク・ギル:そう思います。彼らはお金が必要なわけではないですから。この曲が映画に使われるのが、正しい選択なのかどうか、そのことを確認してくれたということですね。

OIT:“I’ll be Your Mirror”の歌詞は映画の物語を反映している内容ですし、“Pictures of You”も、まさにこの映画が二人のラブストーリーである、ということを伝えているわけですよね。
マーク・ギル:まったくその通りです。

OIT:もう次のプロジェクトも決まっているのですか?
マーク・ギル:はい、2つやることが決まっています。一つは日本を舞台にした物語ですので、また日本で撮影をすることが出来るのを楽しみにしています。

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