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2. 偉大なるマノエル・ド・オリヴェイラの短編サイレント映画 |
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OIT:この映画の冒頭のショットはどういう意図で構成したの?
GK:それは脚本にはなかったもので、編集の段階で思いついたんだ。すぐに二人が惹かれ合う様子が分かる。最初はその空間についてあまり知らされない。どんな状況かも後にならないと分からない。二人の男女が見つめあっている。互いの距離も分からない。それが映画のおもしろいところさ。空間をどのように崩壊させるか。見え方や、互いを見つめる目線から。視線の合わせ方も重要で、映画では交互にカットする。「切り返し」は映画で過大評価されてはいるけれども、映画のテクニックの基本だ。だから「切り返し」のショットでは少し違うことをやりたかった。何かを示唆するか、何かを広げてくれるものとして。映画の後の方で、空間が広がり、時間が広がる、そのことを示唆しているんだ。
OIT:主人公たちが登場する前のショットは?街の紹介として風景が映るシーン。
GK:ポルトという街、その場所にいることを認識してもらうものだ。その場所のエッセンスを理解してもらうために。街の持つ寂しさ、物哀しさ、サウダージをね。でもあの街でそういう場所を見つけるのは難しくない(笑)。それに偉大なるマノエル・ド・オリヴェイラ監督の短編へのオマージュがある。1929年に撮られ、1931年に完成した『ドウロ河』というシティ・シンフォニーのようなサイレント映画で、彼が街に捧げたものだ。彼はポルトの映画の守護神と言ってもいい。それと同じ街が、1929年に撮影されたそのままに存在している。今のポルトと基本的に変わらない。まあ、少しは変わったところもあるけど。我々はその映画を見て、街を撮るための地図として使ったんだ。眺めやアングルや、撮影した通りなどは、オリヴェイラの映画にも見つけることができた。それが映画のビジュアル・ロードマップとなった。それはとても大事なことで、それをきちんと表象したかった。そうしたロケーション、つまり映画のカフェとレストランは、50、60年代にはとても人気のある場所だった。“セウタ”というカフェは、ポルトの共産党員の溜まり場だった。長いことそこで共産党大会が開かれていた。二人が行く“クーニャ”というレストランは、ポルトのアメリカン・スタイルの深夜ダイナーだ。そのデザインは特異で、みんなが知る場所だけど、街の中心街から外れているために知らない人もいる。深夜にハンバーガーが食べたくなったら行くような場所だ。ワインも飲めるし。つまり、その2つはマギーとジェイクが辿り着きそうな場所なんだ。恋人たちが深夜に訪れるような、そんな場所だ。それに中心街に近いから待ち合わせ場所としてもいい。ポルトでもああいう場所はあまり残っていない。タイムレスな雰囲気を備えているのは、片手ほどしかない。僕らが求めていたのはそういう場所だ。実は映画で少し観客を欺いている。みんなレストランでタバコを吸っているけど、ポルトでもほとんどそういう状況は見られない。それはいつの時代か分からないような錯覚を覚えてもらうためさ。
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